2025年7月28日
【木材の魅力が光る「2025年大阪・関西万博」】 今回の万博は、私たち木材業界にとって非常に意義深いもので、まるで「木材の万博」と呼びたくなるほど、木の魅力が随所に表現されています。1970年の日本万国博覧会、1990年の国際花と緑の博覧会を経て、ようやく木材の価値が徐々に認められてきましたが、2025年の本万博では、さらに多くの国や建築家が木材への理解を深めていることを実感しています。 当社では、木材関係者の視点から見て注目すべきパビリオンや施設をまとめた独自の万博地図を作成しました。地図上には、それらの施設を赤くマーキングしています。 木材に関連するパビリオンは28か所、さらにアート作品やステージ、休憩施設などが9か所あり、2~3日で回るのはとても困難です。そこで、詳細情報を「木の情報発信基地」に一覧として掲載しています。 まだ一部の施設では、使用されている木材の樹種が特定できていませんが、全体像はほぼ把握できました。今後も会期中に可能な限り調査を進めていく予定です。 以下、現時点で確認できた主な施設です。 ■木造建築のパビリオン ・大屋根リング ・イタリア館 ・スペイン館 ・チェコ館 ・ドイツ館 ・バーレーン館 ・ポーランド館 ・日本館 ・住友館 ・いのちあかし ・くらげ館 ■外装や構造材として木材を使用しているパビリオン等 ・アイルランド館 ・アメリカ館 ・インドネシア館 ・ウズベキスタン館 ・カタール館 ・北欧館 ・ハンガリー館 ・フィリピン館 ・ルーマニア館 ・大阪ヘルスケアパビリオン ・三菱未来館 ■内装などに木材を多用している施設 ・アラブ首長国連邦館 ・英国館 ・オーストリア館 ・クウェート館 ・スイス館 ・タイ館 ・マレーシア館 ・文明の森 ・WORMHOLE ・サテライトスタジオ東/西 ・レイガーデン ・ポップアップステージ(東外・東内) ・トイレ6 ・休憩所各所 ■確認できた主な利用樹種 ・国産スギ ・国産ヒノキ ・ダグラスファー ・欧州アカマツ ・スプルース ・セランガンバツ ・ベイヒバ ・ミズナラ ・オーク 木材の多様な使われ方に注目すると、万博の楽しみ方が一層深まります。木材関係の皆様はもちろん、建築や素材に興味のある方も、ぜひご注目ください。
2025年7月25日
【スペイン館のご紹介】 1970年の大阪万博ではスペインは参加していませんでしたが、1992年にスペイン・セビリアで開催された万博では、日本が安藤忠雄さん設計による世界最大の木造建築「日本館」を出展しました。 1970年当時、日本のパビリオンには木材が一切使われていませんでしたが、30年の時を経て、世界の潮流に合わせるかのように木造建築が採用されたのは興味深いことです。 セビリア万博の日本館には、長い階段を上って入館する構造がありましたが、偶然にも今回の2025年大阪・関西万博のスペイン館にも、印象的な大階段があります。 スペイン館は、その木造構造の美しさで注目を集めています。 最大の特徴は、階段状に広がるスロープの床にCLT(直交集成板)を使用し、それを木の柱と壁が力強く支えている点にあります。通常、このような大規模な構造では鉄骨やコンクリートスラブが用いられますが、スペイン館では木材のみでスラブ構造を実現。まさに「木でつくるスラブ構造」という新しい発想が形となっています。 この構造によって、木材ならではの温もりと力強さが調和した空間が生まれました。 梁や柱には、最大25メートルにもおよぶ巨大な集成材を使用。それらを高精度で組み上げるために、鉄骨とのハイブリッド工法が取り入れられています。施工は神戸の村上工務店が担当。巨大木材をクレーンで慎重に吊り上げ、養生を外す瞬間には緊張が走ったと言われています。 外観中央にある大きなアーチや、建物全体に流れる曲線は、「海」と「太陽」というスペインの自然を象徴したデザイン。色や素材の選定にもこだわり、スペインの風土と文化を見事に建築に表現しています。 外壁には、サグラダ・ファミリアにも採用されているメーカーのセラミックタイルを使用。グラデーションが美しい4色のタイルが、夕陽や浜辺を彷彿とさせる情景を創り出しています。
2025年7月22日
【マレーシア館の屋上デッキについて】 マレーシアという国には、個人的にもご縁があります。私は以前、ボランティアとして留学生支援に関わっていた際に、2名のマレーシア人学生と出会いました。その後も家族ぐるみで交流が続き、現地を訪れたこともあります。さらに木材関連の視察としても、2度ほどマレーシアを訪問しました。 また、以前にはマレーシア政府の若手幹部8名がIT視察の一環として当社を訪問され、社内のパソコン環境やネットワーク事情などをご覧いただいたこともあります。 当社のエクステリア部門では、マレーシアから商社を通じてウリン材などの木材を輸入しており、その商社と連携して、ささやかながらウリンの植林活動にも取り組んでいます。 さて、今回注目したいのは万博のマレーシア館の屋上デッキやパビリオン前のウッドデッキに使用されている木材です。マレーシア産の最高耐久材とも言われる「ウリン」ではなく、「セランガンバツ」が使われているのはなぜでしょうか。 セランガンバツは耐久性に優れ、ヒノキよりも強いとされますが、ウリンには及びません。ウリンは非常に硬く、マレー語では「kayu besi(カユ・ベシ)」=「鉄の木」と呼ばれるほど。一方、セランガンバツは「selangan batu(セランガン・バトゥー)」と呼ばれ、「中間の石」といった意味を持ちます。名前の由来からも、ウリンの方が一段と強靭であることがうかがえます。 近年、ウリンは産出量の減少により価格が高騰しており、6か月間という万博の仮設建築に使用するにはコスト的に不合理と判断されたのかもしれません。 なお、セランガンバツは複数の樹種を含む商業名であり、中には耐久性の低い材も含まれるため、使用には注意が必要です。実際に、セランガンバツを使用したウッドデッキが3~4年で腐食した事例を何度か目にしています。 今回の投稿には、興味深い施工方法が使われたデッキの写真も添えていますので、ぜひご覧ください。
2025年7月14日
写真は、1970年の大阪万博における海外パビリオンの様子です。 写っているのは、ニュージーランド館、デルガリア館、カナダ・ブリティッシュコロンビア館、タンザニア館、フィリピン館、チェコスロバキア館、ビルマ館、カナダ館、米国・ワシントン州館などです(上段左から順に)。 この万博では、19の海外パビリオンが木造または木造風の構造を採用していました。しかもそれは、先進国・開発途上国を問わず広く見られた特徴でした。 一方で、日本のパビリオンには木材が一切使われていませんでした。 ゼロです。これはなぜでしょうか? 日本人は木を好む民族ではなかったのでしょうか? 当時の万博には「人類の進歩と調和」というテーマが掲げられていました。 しかし日本では、「進歩」の象徴として鉄やガラス、膜構造などの未来的素材が選ばれ、木材は「古い素材」として敬遠されていたのです。 また「調和」の観点でも、木材が持つ自然との共生に最も適した素材としての価値、さらには再生可能性やCO₂固定といった環境的利点が、十分に理解されていなかったのです。 このことは、日本人の一人として、今振り返ってもとても残念で、恥ずかしく思います。 さて、2025年の大阪・関西万博はどうでしょうか。 大きく進歩しています。日本政府館をはじめ、住友館や三菱未来館など、多くの日本パビリオンで木材が積極的に使われています。 持続可能性や環境配慮が重視される現代において、ようやく私たちも「木材の価値」に目を向けはじめたのかもしれません。
2025年7月10日
万博会場で最初に訪れたアラブ首長国連邦(UAE)パビリオンは、ガラス越しに巨大な柱が林立し、まるで神殿のようでした。 それら90本の柱はすべてナツメヤシの葉軸で覆われ、使用された葉軸は200万本以上。UAE国内外から材料の提供を受け、万博の助け合い精神を体現していました。 館内に足を踏み入れると、まず落ち着いた香りに包まれました。柱が天井高く16メートルまで伸び、囲まれる空間には守られているような安心感がありました。 また、伝統建築「アリーシュ」(ナツメヤシの葉で編んだ壁と屋根を備えた伝統家屋)と現代建築を融合した空間で、自然素材の温もりが全体に感じられました。 パビリオンでは伝統文化だけでなく、宇宙開発や再生可能エネルギーなど先進技術も紹介されていました。太陽の動きに合わせて回転するソーラーパネルや、羊・ラクダの毛で作った織物など、伝統とテクノロジーの融合に強い印象を受けました。 また、1970年大阪万博のアブダビ館模型も展示されており、なつかしく思いだすとともに、UAEの歩みを垣間見ることができました。 奥のシアターでは、3面スクリーンで現代UAEの人々の暮らしと自然とのつながりを描く映像が上映されていました。中央に敷かれた大きな絨毯に腰をおろして鑑賞すると、まるでオアシスでくつろいでいるような心地よさがありました。彼らにとってオアシスとは単なる水辺ではなく、「人が安心してくつろげる場所」なのだそうです。 レストランではデーツとガーワ(アラビックコーヒー)でもてなしを受け、スパイスでマリネした魚料理や空洞のパン「カミール」など本場の味も堪能しました。 デーツは日本のスパーでも売られていますので、一時期よく食べていましたが、館内でより新鮮に感じました。甘いデーツと香ばしいコーヒーの組み合わせは中東文化の象徴でした。 パビリオンを出る頃には、ナツメヤシが単なる用材や果実ではなく、UAEの暮らし・建築・精神性を支える「聖なる木」なのだと実感しました。静かでどこか懐かしく、心が満たされる空間体験でした。 現在でも比較的入場しやすいパビリオンです。
2025年7月7日
今日はフィリピン館のご紹介をします。 業界新聞や建築専門雑誌には何度も掲載されていますが、西尾レントオールさんが関係したもので他にインドネシア館・イタリア館も工事されました。一般流通木材からなるCLTパネルと鉄の組み合わせによる構法によって建てられています。 籐(とう)で外装をしている興味深い建物です。別名ラタンと呼ばれるヤシ科トウ属の蔓性木本の植物です。 軽くて強いのが特長で、そのため家具や籠に利用されています。熱気球のゴンドラ(バスケット)は今でも籐製が主流です。長いものは100メートルを超えるものもあるといいます。東南アジアではラタンの家具はどこでも見かけます。 パビリオン内部は「織物の森」ともいえる空間で、訪れる人々はさまざまな地域の織物や文化に包まれるような体験ができます。 自分の姿が自然のモチーフに変化し、大きなスクリーンに連動して動く姿は興味深いです。 また伝統舞踊やクラフト紹介のライブパフォーマンスがあります。 AIフォトブース、ギフトショップ、マッサージや軽食を楽しめるウェルネスエリアなども併設しています。
2025年7月31日
昨日、11回目の万博見学をしてきました。 今回、これまでと違っていた点の一つは、西ゲート前に新たにテントが1列設置されていたことです。ほんのわずかではありますが、日陰の下で待機できるスペースができ、ちょうど私たちもその恩恵にあずかることができました。 今回の目的の一つはルクセンブルク館の見学でした。入口で待っている際に気づいたのですが、驚いたことに、このパビリオンの外壁には日本製のコンパネ(12ミリ厚のベニヤ)が使われていました。木材業界で言うところの塗装合板で、型枠工事などに用いられるものです。取り外しが容易なように、金具とビニールテープで固定されており、会期終了後にはそのまま土木資材として再利用される予定とのことです。 館内最後の部屋での映像体験も非常に素晴らしく、足元まで見渡せる演出は迫力満点でした。
2025年7月28日
今回の万博は、まるで「木材の万博」と言いたくなるほど、木の魅力が随所に表現されています。1970年や1990年の万博を経て、ようやく多くの国や建築家が木材の価値を理解し活用するようになったと実感します。 私自身、木材に関係するパビリオンや施設をまとめた地図を作成し、「木の情報発信基地」に掲載しています。主なものだけでも、木造建築が11か所、木材を使った外装・構造の施設が11か所あり、2~3日ではとても回りきれません。 まだ調査中の箇所もありますが、会期中にできる限り確認したいと思っています。木材に興味のある方は、ぜひ参考にしてください!
2025年7月25日
1970年の大阪万博にはスペインは参加していませんでしたが、1992年にはスペイン・セビリアで万博が開催され、日本は安藤忠雄さん設計による、当時世界最大の木造建築・日本館を出展しました。 その建設には、私の友人の会社が集成材を提供しており、また大阪商工会議所国際部の友人が日本館のコンパニオンに採用されるなど、個人的にも関わりが深く、所属する団体でスペイン研修旅行を計画しました。ところが残念ながら、研修旅行は万博開催年を避けた1993年に実施されることとなり、日本館を見ることも、友人に会うことも叶いませんでした。 そんな思い出もあり、今年あらためてその団体でスペインを訪れる機会がありました。自由時間にはマドリッドとバルセロナの植物園を巡り、素敵な想い出ができました。 さて今回は、2025年大阪・関西万博のスペイン館をご紹介します。 スペイン館は、正面にそびえる大階段と、その裏側に広がる木造構造の美しさが大きな話題となっています。かつてのセビリア万博の日本館も、長い階段が印象的でした。 このパビリオン最大の特徴は、階段状に広がるスロープの床にCLT(直交集成板)を用い、それを木の柱と壁が力強く支えている点です。通常こうした大規模な構造では鉄骨やコンクリートスラブが使用されますが、スペイン館ではあえて木造スラブ構造を採用。「木でつくるスラブ構造」という革新的な発想が実現されています。 空間には木材特有の温もりと、構造としての力強さが共存。梁や柱には最大25メートルにおよぶ巨大な集成材が使われており、それらを精密に組み上げるため、鉄骨とのハイブリッド構法が採用されています。施工を担当したのは神戸の村上工務店。巨大な木材をクレーンで慎重に吊り上げる作業は、養生を外す瞬間まで緊張感が続いたそうです。 外観中央の大きなアーチや、建物全体に流れる曲線は、「海」と「太陽」というスペインを象徴する自然の力を表現。色彩や素材の選定にもこだわり、スペインの風土と文化が建築に見事に反映されています。 さらに外壁には、サグラダ・ファミリアにも使われているメーカーのセラミックタイルを使用。グラデーションの美しい4色のタイルが、夕陽や浜辺を思わせる情景をつくり出しています。
2025年7月22日
万博のパビリオンの中には、本物の樹木が植えられている場所が数多くありますね。先週訪問したドイツ館ではサルスベリが花を咲かせていました。 さて、展示の一環として植えられている「オリーブ」の木に注目してみました。私が確認したのはフランス、モナコ、オマーンなどで、いずれも立派な木でした。5月末に訪れたオマーン館では、オリーブの花がちょうど咲いていました。これらはすべて屋外展示です。 中でも話題を呼んでいるのが、フランス館にある樹齢1000年を超える「若さの樹(Tree of Youth)」と名付けられた長寿のオリーブです。「奇跡の庭」に展示されているこの本物の木は、重さ4トン、根の長さ2メートルという圧巻の存在感。南仏から運ばれてきたもので、「幹の中から乳酸菌(マイクロバイオーム)が出ているんです。ぜひ触れて、南仏の乳酸菌を体に取り入れてください」と案内の女性が話していました。多くの来館者が、実際に木に触れていました。 この木を納入したのは、池田市の「そら植物園」。プラントハンターとして知られる西畠さんが代表を務める会社です。彼が関わると、木そのものも、植えられた場所もすぐに話題になりますね。 そういえば、2017~2018年に開催された「うめきたガーデン」のメイン展示もオリーブの木でした。高さ約3.1メートル、根元の直径約2.8メートルで、こちらも樹齢1000年以上。太さや大きさでは、うめきたのオリーブのほうがやや上回っていたように思います。 モナコ館のオリーブも立派で、この木は会期後、大阪市に譲渡されるとのこと。きっと長居植物園で、これからの余生を静かに過ごすことでしょう。 ※参考:オリーブについての詳細はこちら https://wood.jp/8-jumoku/wood/m309.htm (より大きなオリーブの木も紹介されています)
2025年7月17日
一昨日、日本館を訪れた際、順路の途中で「火星の石」が展示されており、間近で見ることができました。ゆっくり見られるというほどではありませんが、1970年万博の「月の石」のような大混雑とはまったく違い、スムーズに見学できました。 見終わったあと、アテンダーの方から写真のような記念品をいただきました。よく見ると、シリアルナンバー入りのカードで、「世界に一枚だけの日本館観覧記念カード」とのこと。なくなり次第配布終了とのことで、運よくもらえてラッキーでした。
2025年7月16日
昨日は万博への10回目の訪問でした。9時5分前に西ゲートから入場し、イタリア館(3回目)、ポーランド館(2回目)、フランス館、ドイツ館(2回目)、日本館、チリ館、カンボジア館を回りました。 今回も新たな発見がありました。感動すること、驚くことなど良いこともあれば、残念なことも。それらを通して、特に木材に関係する展示や構造を中心に見て回りました。 木材の仕事という観点では、「やっつけ仕事」と思える部分が所々に見受けられました。当初の設計から簡略化されたと思われる変更もあり、少しテンションが下がったのが正直なところです。 また、以前にもあった身体の異変が再発しました。日本館で両足に痙攣が起こり、冷や汗がどっと出ました。座るとさらに痛みが強くなるため、立ったまま十数分間じっとしていると、次第に回復しました。 海外パビリオンでは、米国館、ルクセンブルク館、アイルランド館、ヨルダン館、ネパール館、アンゴラ館、そして国内パビリオンの多くはまだ未訪問です。 写真は政府館の「チューブに囲まれた幻想的な部屋」です。解説は省略しますが、これは巨大な培養装置「フォトバイオリアクター」です。
2025年7月14日
スプルースという木についてのお話です。 大阪・関西万博では多くの木材が使われていますが、スプルース(トウヒ)がメインに使われているのは、おそらくオーストリア館だけだと思います。 スプルースには産地によっていくつかの樹種がありますが、いずれも楽器や建築内装、そしてかつては飛行機にも使われた似た性質をもった木材です。 たとえば、世界最大の木製飛行機「スプルース・グース」は、全幅なんと98メートルもありました。あのAirbus A380でさえ80メートルですから、驚くべきスケールですね。 さて、オーストリア館の内部に入るとまず目を引くのが、世界最古級のピアノメーカー「ベーゼンドルファー社」(現在はヤマハ傘下)のピアノ。 なんと葛飾北斎の浮世絵をあしらったグランドピアノが出迎えてくれます。このピアノにも、同国産のスプルースが使われています。 でも、最も印象的なのは外観です。 この館の外装に使われているのは、オーストリア北部ヴァルトフィアテル地方で育った、PEFC森林認証を受けたスプルース材。その加工方法もとてもユニークです。 以前注目された書籍『木とつきあう智恵』(地湧社 2003年)で紹介されていたように、接着剤を使わず、木ダボやビスだけで板材を重ねて一体化する技術がここでも採用されています。 外観を構成するのは、全長91メートルの螺旋状の木製構造物。 五線譜をモチーフにし、ベートーヴェンの「歓喜の歌」の旋律が組み込まれ、空に向かって立ち上がるその姿は、まさに音楽の国・オーストリアの象徴です。 しかもこの構造体はすべて、接着剤を使わずビスで固定されており、パビリオン解体後のリサイクルや再利用が可能な、サステナブルな構法となっています。 ただ私が少し懸念しているのは、スプルースは屋外での耐久性があまり高くないということ。 ホームセンターなどで見かけるSPF材(スプルース・パイン・ファー)にはスプルースも含まれており、それでウッドデッキを作った人たちの多くが、数年で腐ってしまったという経験をしています。 スプルースはとても素晴らしい木材ですが、使い方を間違えると大変なことになりかねません。 とはいえ、今回は万博の6か月限定使用ということで、耐久性の問題もクリアできると判断されたのでしょう。
2025年7月10日
写真は1970年万博の無料配布会場マップです。南の野外劇場などはカットされていますが、会場はほぼ印刷されています。これに2025万博の簡易地図を合わせました。思ってたより2025年万博の会場が小さかったものですから、驚きました。千里万博は大きい会場だったことをあらためて思い知らされました。 だから83万人(最大入場者の日)も入場できたのですね。帰ることができなくて、お祭り広場で毛布と寝袋を提供して午前中まで忙しかったことを思い出します。 しかし泊まった人は大よろこび、翌日は会場1番乗りですから。 今回の万博でも電車に乗り切れなくて、バスもなくなり、会場で野宿とかあるかもしれませんね、そうなれば翌日はアメリカ館や住友館に確実に入れますね。 大屋根リングの内径615メートル お祭り広場の屋根291メートルで縮尺を合わせました。 また周道路の東西、会場の東西、南北などをグーグルマップなとで縮尺を確認しました。 追加;1970年の時はいくら歩いても足は痛くなりませんでしたが、今回は2万歩が限度です。
2025年7月8日
『日経アーキテクチュア』を定期購読していますが、昨日届いた7月10日号には驚きました。 写真のように、84ページの別冊付録(本誌と同サイズ)が付いてきたのです。 タイトルは『moku』――中大規模木造・木質建築2025。 「木の万博」で触れる最新木造技術と題されており、万博会場内の大屋根リング、政府館、住友館、ウズベキスタン館、チェコ館、バーレーン館、オーストリア館、イタリア館、フィリピン館、インドネシア館などの木造建築が紹介されています。 さらに、全国各地の大規模木造ビルや中大規模の木質建築についての記事も掲載されており、非常に充実した内容です。 私たち木材業界からすれば、「日本もようやくここまで来たか」という思いです。 時代の要請、技術革新、そして海外特に欧州(米加豪含む)から遅れている中で、木材がようやく正当に評価されるようになったことを、本当にうれしく感じています。
2025年7月7日
万博も折り返し地点を過ぎ、あと99日となりました。 1970年の大阪万博で働いていた当時は、半年という期間がとても長く感じられたものですが、今では年齢のせいか、時間があっという間に過ぎていくように感じます。 今月も何度訪れることができるでしょうか。会期中に、木材や樹木の“証拠写真”をしっかり撮っておかねば…と少し焦りを感じています。 写真はフィリピン館です。外装には「籐(とう)」が使われており、とても興味深い建物です。別名ラタンとも呼ばれるこの素材は、ヤシ科の植物で、木の仲間とも言える存在です。 フィリピンは私が初めて訪れた海外の国です。1970年、東南アジアの熱帯雨林を学ぶ研修旅行で、フィリピンを皮切りにインドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、香港と約2週間かけて巡りました。 その最初の訪問地がフィリピンで、マニラ経由でダバオ空港に降り立った瞬間の光景が今でも忘れられません。灰色がちな日本から一転、目の前に広がったのは総天然色のような鮮やかな世界。とくに樹木の緑が目に染みるように感じられ、あの時から私は海外旅行が好きになったのだと思います。 その後も経済団体の活動などで何度か訪問しましたが、インドネシア語と似た言葉が多く、どこか親しみを感じる国です。
2025年7月1日
万博会場における地図配布方法に関する架空の提案(こんなことを考えました) ― SDGsの観点からより持続可能な運営のために ― 大阪・関西万博では、環境負荷の低減とデジタル活用の推進を目的に、会場案内地図の紙印刷を主催者側では行わず、来場者各自がWebサイトからダウンロードし、必要に応じて自宅やコンビニで印刷する形式が採られています。 この方式は一見、紙資源の削減やCO₂削減に貢献しているように見えますが、以下の点から、SDGsの観点で見直すべき点があるのではないかと考えます。 1.実際には紙の印刷が分散して行われており、環境負荷が高い。 来場者の一定数が事前にA4やA3サイズで地図を個別に印刷しています。 家庭用やコンビニのプリンターは業務用印刷に比べ、インク効率やエネルギー効率が悪く、環境負荷が大きくなります。 印刷に不慣れな方の印刷ミスや複数部の印刷などで、無駄な紙資源の使用が多く発生しています。 2.使い捨てが前提となり、廃棄の管理がなされていない 地図の形式・サイズが個人によってバラバラであるため、リサイクルが難しく、使用後は多くがそのまま廃棄されます。 主催者側で印刷・配布すれば、使用後の回収や再利用体制も整えやすくなります。 3.印刷の責任とコストが個人に押し付けられている 各自の印刷には時間・インク・紙代などの費用負担が伴い、特に高齢者や外国人観光客などには負担が大きいものとなっています。 これは「持続可能な運営」という理念とは矛盾するものです。 4.SDGsの基本理念「つくる責任・つかう責任」に照らして SDGsの目標12「つくる責任・つかう責任」では、資源を効率的に利用し、適切に提供・管理することが求められています。 地図のような基本的な案内情報については、主催者側が責任を持って効率的に印刷・配布する方が合理的であり、資源管理の点からも望ましいと考えられます。 ■ 提案内容 地図を一定数印刷し、会場にて配布・掲示を行う。 → 希望者には無料または実費(例:100円)で配布。 → 再利用可能な素材(再生紙、薄手の紙)を使用。 使用後の地図を回収する仕組みを導入。 → 会場出口などに回収ボックスを設置。リサイクルや再配布に活用。 高齢者やスマートフォン未使用者へのサポートとしても有効。 ■ まとめ 個人印刷に任せる形では、資源管理が見えづらく、環境負荷の総量が増す可能性が高いことが懸念されます。 主催者が一定量の地図を責任をもって印刷・提供することは、来場者の利便性を高めると同時に、SDGsの理念にもかなった持続可能な方法といえます。 今一度、案内地図の提供方法についてご検討いただければ幸いです。 写真はつじ@万博という民間人が作成した万博MAPで個人使用フリーで使えるものです。とても良くできています。協会関係の地図があまりにも使いにくいためボランティアでこのようなものがでてきたのです。