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蘇る民家、広がれ民家再生

日本の民家の良さを見直し

その(1)縄文時代に始まる民家の系譜「民家フォーラム2000」からのレポート

日本民家再生リサイクル協会理事/建築家・大沢匠


日本の民家の良さを見直し、現代に蘇らせ、21世紀に伝えていくため、東京・大阪にき続き今年は東北で第3回目「民家フォーラム2000」が開催された。
「北の風に乗ろう―21世紀に伝える日本の住文化」というテーマを掲げたフォーラムは11月3日の文化の日に仙台市民会館を会場に開催された。
市民会館ロビーには東北地区の会員による民家再生事例や日本曳家協会による曳家技術の展示の他、民家再生無料相談コーナーが設けられ民家再生に関する一般的な相談などに対して会員の専門家が対応していた。
会場には事務局の集計で240人の会員や一般の人が入場した。
●基調講演 お昼から始まったシンポジウムは基調講演者に筑波大学教授の安藤邦廣氏を迎え「民家の再生―その意義と今後の課題」という演題でスライドを混じえた熱のこもった90分の講演だった。
宮城県鳴子に生まれ大学に進むまで仙台に住んでいて、当地はなつかしいという安藤氏はまず民家の定義から話を始めた。
民家とは一般の人の住む家だが、民家再生という時の民家とは、江戸時代に形成された一般庶民である農民や漁民や町人の住まいで、下級武士の住まいも含まれる。
木造の技術的側面から見れば、礎石の上に柱を建て、貫構造で、柱や梁は継手仕口でつながれたものということができると定義した。
次にスライドを映しながら民家の歴史を5千年前の縄文時代の桜町遺跡から説き起こした。
この遺跡は茅葺屋根の実物が出土したことと、ほぞ穴などが発見されたことで木造技術がそれまでのように渡来人が持ち込んだものでないことが証明された重要な遺跡とのことだ。
次に秋田県多古町の芝屋根を見せて古代から屋根は茅葺きの上に土を載せていたと話す。
群馬県の弥生時代の遺跡で実例が発見されているので縄文時代から土を載せていたのではないかと言う。
北欧の芝屋根を見せながら土乗せ屋根は北方文化の系列と説き、北方文化すなわち森の文化である縄文から、南方文化すなわち草の文化の弥生になり、土乗せ屋根は茅葺屋根に移行したと説明する。
次にアイヌや沖縄の民家の共通性から南方文化の系列が民家にあることを話す。
本州はそれら2つの系列の両方を受容可能な自然だったので南北両方の特色を伝える。
例えば日本で最も古いといわれる神戸市の箱木千年家でも屋根は茅葺、壁は柱も含めて土で厚く塗り込められており東北の民家と変わらないとのこと。
つぎに安藤氏は土間のとなりの板床に注目する。
道具としてカンナがない時代、板をノミで蛤のような凹面に丁寧に削って仕上げたもので上座としての客間である。
この空間は東大寺から寝殿作りへとつながる高床建築の系譜の上にあると見る。
そして、その後の民家に共通する奥の座敷は五百年前の銀閣寺で代表される数寄屋建築の系譜と見る。
その時代、日本の風景が根本的に変わるほど森は破壊された。
細い木と粗末な材料しかない時代それを使って美学にまでした発明者が利休だという。
土壁を多用し、木の時代から土の時代へ。
この時代を経て民家のスタイルはほぼ固まったのである。
こうして現在われわれが見る民家には、縄文の系譜としての土間空間と奈良平安の高床建築の系譜としての板の間、数寄屋の系譜としての座敷という3つの建築スタイルが混在する歴史性を持つという安藤氏の説明は大変ドラマチックであった。
スライドによる説明を終えて安藤氏は最後にこのような民家の空間と構造の特徴、形成の歴史を念頭において今日の民家の再生とリサイクルの意義と課題を考えると、いたずらに民家をよそに移築するべきでないとまず主張した。
また民家再生にあたって今日の高気密高断熱の手法をそのまま応用しようとすることに疑問を述べた。
構造については現在の法体制では貫と土壁の優れた特性を評価していないことが問題であり、早急に基準の整備が必要と言い、「多くの市民、建築技術者が民家の再生にかかわり、明日の住まいが構想されることを願う」という言葉で講演は締めくくられた。
●パネルディスカッション 引き続き行われたパネルディスカッションは、舞台に組まれた古材による力強い木組みの下に座布団をしつらえるという、民家の協会らしい雰囲気のなかで始められた。
パネリストは基調講演を行った安藤氏の他に協会の会員で民家再生を手がけている和泉由美子氏、ポルトガル人で陶芸家のジョゼ・ファロンバ氏の3人、そして進行役の協会の副理事長である細野良3氏の四人で始められた。

  まず3人の自己紹介を兼ねた民家への想いが話された。
和泉氏は民家にひょんなきっかけで関わり幾つかの再生を手掛けるまでになったいきさつを、ファロンバ氏は日本に魅せられて十数年居住し現在民家を手に入れて住んでいることを、安藤氏は学生時代の民家調査をきっかけに民家のおもしろさに惹かれこの道に進んだ事を話した。
その後、細野氏のたくみなリードによって民家にまつわる様々な話題が出たがもっとも印象的だったのはやはり外国人の目から見た民家の魅力と、それを平気でこわす日本人にたいする疑問を語ったファロンバ氏の話だった。
ファロンバ氏は自宅の茅葺き屋根の維持に苦労し、地元に茅を葺く職人がいなくなり遂に最近金属屋根に葺き替えたたことを大変残念そうに話した。
民家に住んで寒くないかという会場からの質問に「寒さも含めて民家」と言い切り、家のなかで厚着すればいいことと答え会場からの笑いを誘ったが、安藤氏も民家再生にあたって今日の高気密高断熱の手法をそのまま応用しようとすることは疑問であると述べた。
最後に協会の活動にたいする期待と要望を各パネリストからもらって、なごやかに進行したディスカッションの幕は下りた。
●オプショナル・ツアー フォーラムの翌日には3つの民家ツアー(仙台蔵王方面、山形庄内方面、福島方面)が協会で企画され、100人以上が参加したということだ。
3回目になる民家フォーラムもすっかり会員の年1回の行事として定着してきているようだ。

和田保さん、堀口深次さんによる和歌山県西牟婁郡旧日置川町城川流域での、スギ・ヒノキ丸太材の生産と搬出方法の記録をまとめたホームページです。このホームページは大きく、はじめに、丸太材を造る、出材について、丸太材の管流、谷川・日置川別の管流作業、結びにわかれています。丸太材を造るをとりあげるとさらに、伐採予定林の決定と山分け、伐木、造材作業者を集める、丸太生産単価の取決め、各作業員の伐採受持ち区域、伐採方法と器具類、造材と棚積み、伐木、造材費(賃金)の清算にわかれ、図で造材(丸太)器具、冬季の伐木時用皮はぎ器が紹介されています。フレームに対応しており、フレームを利用せずにみることもできる。 ホームページは 和歌山の杉桧丸太の生産と搬出  です。
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