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木材が育てる健康

木材の特性テン・ベスト

木がその生涯に行う二つ目の大仕事は、様々な形で人間生活を支え、潤いと やすらぎを与えてくれることにあるが、その際に木材故に持つ特性、木材で なければ有しない特性というものがある。 木材の持つ素晴しい特性をテン・ベストとして(財)日本木材総合情報センタ ー発行の「木がつくる住環境」を参考資料に十項目について見てみよう。

1.木材は、温度と湿度の調整機能を持っている。

家材としての木材は、切られても生きて、呼吸しており、室内の温湿度を一定 の水準に保とうとする働きを持っている。木の柱に触れると夏はやや冷たく、 冬は暖か味があっていつも心地良さを感じさせてくれる。 特に湿度調整能力は高く、高湿度になると水分を吸収し、一定の水準を維持す る働きがある。実験でもビニール内装の室内は、百葉箱の中と同じく室内温度 が激しく変化するが、合板内装の室内は湿度50%前後を維持する結果が出て いる。 床も、木材を使うことで表面湿度が平均化して、ダニ、カビ、細菌類の発生を 押える機能を果たしている。さらに、木材はその多孔質さから結露を防ぐ力も 持っている。

2.木材は吸音性と遮音性を持っている

タタミとともに木材は、室内から発生する空気伝搬音を低音、中音、高音とバ ランス良く吸収し、不快感を残さず、適度な残響を残してくれる。コンクリート のようにいつまでも音を室内に残さず、吸音率は250Hzの周波数ではコンクリ ートやビニールの20倍にもなる。
また木材は軽くて強いことが特長でありながら、遮音性もある程度持っている。
同時に人間の耳には聞こえない樹木や自然界が発する超高周波音(都会では少 ないが)は通し、五官の快感覚を育ててくれる。この自然界の高周波音は大体 において1/fゆらぎになっており、マイナスイオンを伴っていると見られて いる。
音と木材の関係では、残響性とともに、音をまろやかにする特性があり、コン サートホールで多く使われるし、適度な共振性を生かして昔から楽器に良く使 われている。

3.木材は優れた断熱性を持っている

普通の断熱材は強度がないため、他の材料と組み合せないと役割を果たさない が、木材は軽くて強度があり、断熱材とほぼ同等の断熱性を有している。これ は木材がパイプ状の細胞の集合体で、中に熱を伝えにくい空気を持っているか らで、例えばスギ材に比べるとコンクリートは20倍、鉄に至っては480数倍の 熱伝導率となる。
鉄筋コンクリートの建物は、熱伝導率が高いので、陽が昇るとすぐに熱くなる くせに、保温率も高いため、明け方まで冷めないことになり、冷房を必然にす るし、冷気もすぐ室内に持ち込み、暖房を必要にさせる。
皮膚の表面温度は環境によって変化するが、床材料による足の温度低下は、コ ンクリートやビニールタイルが強く、木床が一番軽微とデーターされている。

4.木材は光沢と質感があり視覚にも優しい

木材には細胞構造による微少な凹凸があり、それにより光が散乱されるので 「つるつる」も「ざらざら」もしない上質な光沢・ミクロな反射によって、機 械の測定値以上の光沢感が得られる。また、光の方向による反射も樹種によっ て独特の光沢を見せるが、最大の特色は、紫外線を吸収し、赤外線を反射する ことで、「あたたかさ」を感じさせる要素を持っている。 視覚特性を担うのは、材面の木目と色調で、樹種と樹齢によりそれぞれの趣き を見せるが、針葉樹は、年輪の輪郭の明確さと色合いに妙があり、整った木目 が多い。広葉樹は、材面に現れる導管が視覚に作用し、その走行、分布、配列 と樹種による独特の色彩が加味されて味わいのある視覚特性を形成する。

5.年輪のゆらぎが心地良さを生む木材

ゆらぎとは、連続するものの間のズレで、機械的に均質なものからは生まれな いが、自然界はすべゆらぎを持っている。ゆらぎの中でも人間の快感覚を刺激 し、心地良さと活力を生むのが、1/fゆらぎであるが自然界の音、風、光、 流れ、波等は全てゆらいでおり、その多くは1/fゆらぎになっていて、人間 に心地良さを感じさせてくれる。1/fゆらぎでは眠気がさし、まだるっこく、 ズレ(乱れ)が乱雑で激しいときたなく邪魔になるし、雑音、騒音、不快音に なる。
木材のゆらぎは年輪に集中し、等間隔に見えてもズレがあり、それが基本的に
は1/fゆらぎになっている。その年輪が材面に表されるのが木目であり、柾 目も板目も、その間隔と木目の流れがともに1/fゆらぎになるものが多い。
1/fゆらぎが人間の快感覚を刺激するのは、人間の生体リズム(心脈、呼吸 等)が1/fゆらぎになっており、外部のゆらぎと同調し、共振共鳴するから である。木材はイグサ等とともに1/fゆらぎが多い材料で、ゆらぎこそが木 材の命である。

6.木材は適度な弾力性で衝撃を緩和する

木材は衝撃を受けると「局部変形」と「たわみ変形」が起き、これで衝撃を緩 和してくれる。たわみやへこみは、厚さ、材種により多少の違いはあるが、建 築資材としての機能を失わない適度なたわみとへこみで衝撃を吸収する働きが ある。
また、人間は、見たり触ったりするだけでも物の硬さを感じることができるが 実験では木材は、硬い軟かいの中間にあり、快、不快感の実験でもやや快適な 材料と評価され、感覚面でも人間の生理作用に合っているからと見られている。
木材は、衝撃吸収に加え、耐摩擦性、強度、耐久性等、各種機能を適当にバラ ンス良く備えた材料で、住宅材料のマルチ機能材料とも言える信頼のおける材 料である。

7.木材の触感覚の良さは快適・安全のもと

手や足が長時間接したり、何回も接したりする仕上げ材や家具などは、感触も 重要な要素になる。材料に触った時の感覚の中で大切なのは乾湿感と温冷感、 硬軟感、粗骨感の良し悪しと言われる。
木材は、乾湿感においては無塗装の場合、さらさらと乾いている感じ気持ちが 良く、塗装してあるとやや湿った感じを与え、プラスチックタイル、アルミ、 ガラスほど湿った感じが強くなる。
温冷感と硬軟感は、各種材料の中でほぼ中間にあり、やや暖かい、やや硬い材 で、仕上げ材としては最も評価の高い材料とされる。
粗骨感は、表面の粗さと切断面のうねりに最も関係する。切断面のうねりは針 葉樹と広葉樹では多少異なるが、感覚試験では全体にほぼ満足できる粗骨感が 認められている。ヌルッとせず、ざらざらもせずという木独特の粗骨感がなつ かしさを感じさせてくれる。
またこの特性が、床の場合に、やや硬く、ややすべりという快適性と安全性の 元となっている。

8.木の持つ芳香物質が気分を爽快にする。

木は森の中ですがすがしい香りを感じさせるフィトンチットを発散している。
これは、植物が絶えず侵してくる微生物等から身を守るためにつくりあげた ものと言われている。森林には動物等の屍骸や種々の堆積物があるが、悪臭を 感じさせないのは、フィトンチッドの持つ抗菌性や消臭効果、環境浄化能力に よるもので、これには木材の色や臭いのもととなる成分が含まれている。これ を抽出したのが、精油で、樹種によって異なるが、1本の木に50種以上の成分 が含まれ、消臭用、防ダニ用、殺虫用、防カビ、抗菌用に使われている。
新築の家や家具、木製品から臭う木の香りがそれで、防虫等とともに、心のや すらぎやストレスの解消、心身のリフレッシュで爽快な気分にしてくれるもの で、一種のアロマテラピーである。

9.木材はマイナスイオンをもたらしてくれる。

フィトンチッドはマイナスイオンとともにあると思われるが、森林の中のすが すがしさは、マイナスイオンが大変多いからだと言われている通り、木はもと もとマイナスイオンを出している。切られて木材として使用されている時でも 吸排湿機能に見られる呼吸作用を通して、室内にマイナスイオンを放散してく れる。
また木材は、外の自然が発する超高周波音を室内に取り入れ、電磁波を遮断し てくれるが、同時にマイナスイオンも室内にもたらしてくれる。さらに、この 超高周波音もゆらいでおり、基本的には1/fゆらぎになっているので、五官 の快感覚を刺激してくれる。
このような効果をもたらす材料の木材が健康推進の最良の素材であることを示 している。

10.木材は人間の情緒を育てる心の健康素材

古代から人々は森林の中で樹々の緑や動植物と共生し、緑やフィトンチッド、 マイナスイオンで快適さを得てきたが、木は切られても生き続け、その本来の 力を失うことなく暮らしを豊かにしてくれる。 木材は多くの特性の総和として情緒を育ててくれる。情緒は1人ひとりの育っ た環境、気候、風景、住居、生活様式、人間関係等の因子で違いはあるが、木 の物性が人間の情緒を育ててくれるのは五感に対して総和的な「落ち着き」 「安らぎ」「あたたかさ」をはじめとする適度な快刺激を与えてくれるからで ある。 あたたかく、やわらかく、さらりとした感じの触感覚。視感覚には、木の色彩 があり、紫外線を吸収しての自然な光反射、自然が育てた木目の造形や光沢に よる「あたたかい」「なごむ」「落ち着いた」情緒がある。木材内部の細長い 中空の細胞がもたらす「やわらかい」響きを感ずる聴感覚。なつかしさを思わ せ、精神的鎮静作用を呼ぶ臭感覚。食器や箸などを通して食事をおいしく感じ させる味覚感がある。 また木造住宅においては、時とともに住んでいる人と家が一体となれるところ に情緒がある。毎日の生活が「木」に刻まれ、独自の光沢と表情をもって、日 を経るにつれ、表情が魅力的に変容するのも木造住宅ならではのものがある。 これからの住宅に求められるものは、決して機能や性能が中心ではなく、住む人の心と和を育てるもので、情緒的特性こそが生きてくることになる。 日本の文化をもう一度見直し、育てて行く上で、木と木の住まいが偉力と魅力 を発揮する時代が来たようだ。 <注釈>
* 光合成とは、木々は大気中の炭酸ガスを葉から吸収し、一方、根から吸収し た水とともに、太陽エネルギーを利用して炭水化物を合成する同化作用のことで、 生物が無機質から有機物を合成する創造的作用である。樹木は地球の肺のよう な役割で、大気中に酸素を排出し、内部に炭酸ガスを取り込み、炭素化合物と して固定してしまう。
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