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日本の林業と木材を考える

木の家づくりが21世紀の本流のになるという背景や必然性、そのための方向性 などについて本誌の前号(第9号)で論考しました。
戦後の歩みを振り返えり、日本の本来の文化、日本らしさを考えるにつけ、 さらには地球温暖化防止をはじめとする地球環境の改善を考えるにつけ、木の家 づくりをもっともっと広げることが一段と大切になってきます。
このことは、これからももっと声を大にして、家づくりに携わる人々が語り続 け、訴え続け、響かせなければなりませんが、そうであればあるほど重要になっ てくるのが、日本の山を育て、建築用材を安定的に出材すること、家づくりに必 要な木材を建築に携わる人々にわかりやすくして提供すること。
生活者に見る木 材の世界を広げることが急を要する課題となってきます。
そこで本特集では、林業と木材のこれからについて焦点を当てて考え、久我全 国木材連合会会長にインタビューをお願いしました。

日本の林業と木材に何が問われているか
伐期を迎えている人工林
日本の山は、国土の70% を超え、豊かな森林を育て、 四季を奏で、日本らしい自然 を演出するメイン舞台となっ ています。
何万年もの昔から日本の山 は、ある時は暖温帯性の常緑 の、ある時は冷温帯性の落葉 の広葉樹を中心とした森林に つつまれていました。
建築用材としての木材の需 要が高まるにつれ、針葉樹が 重用されるようになり、杉や 檜、松の育成や植林が行われ るようになりました。
桃山時 代後半からの植林は、江戸時 代に入るとかなり本格的にす すめられるようになりました し、森林の保全も幕府や各藩 によって行われるようにもな りました。
杉山や檜山、ヒバ の林などが形づくられるよう になってはいますが、大部分 の山は、広葉樹と針葉樹の混 交林であり、雑木が繁る山で 、生態系を維持し、豊かな水 をつくり、四季を奏でてきま した。
南西日本には常緑の広葉樹 (照葉樹)が多く残り、北上 するにつれ落葉の広葉樹が増 え、日本の山の多くは雑木林 でしたが、この山が林相を変 える大きな転機となったのが 戦争と人工林化でした。
戦争用材として平地や里山 の貴重な大径木が信じられな いくらいに伐採され、その後 の再生が無視されたのが特に 第2次世界大戦でした。
林相が大きく変ったのが戦 後の人工林化です。
この人工 林化の背景には、戦後復興と いう名目はありましたが、日 本の林業破壊、木材業の衰退 、外材化への地ならし等の多 くの矛盾を持つものでした。
これにより、日本の林業の 姿が大きく変えられただけで なく、河川のコンクリート化 やダム作り、水質の低下がす すみ、土壌の疲弊や生態系の 混乱がもたらされたのです。
雑木林だけをとっても、江 戸時代に比べて5%程度にま で減少しているといいます。
雑木林の専門家によれば、せ めて20%にまで回復させる だけで、日本の山と自然は大 きく復元すると言っています。
私たちは、いつのまにか今 の姿を当然のように受け入れ てしまっていますが、日本と 地球の21世紀を考える時、 森林の持つ本来の機能が発揮 されるような山づくりを考え るべき時に来ていると言える でしょう。
林野庁では、昨年四月より 、経営改善計画を改め、人工 林の育成・伐採を主にした事 業活動から、長伐期化や混交 林化、公益的機能の重視へと 転換しています。
このことと、用材生産に矛 盾を見る人もいますが、国有 林が率先して公益性を重視し 、本来の自然な山づくりをす ることなしに、自然を回復さ せることはできないと見るべ きでしょう。
しかし、一方の側で、用材 生産のための強力なバックア ップが必要になっています。
森林の3分の1にも及ぶ 1000万haが人工林で、 その大部分は民有林です。
戦前からの人工林は伐期を 迎えていますし、南西日本の 戦後の人工林もすでに直径2 0㎝を超えて伐期を迎えてい ます。
百年程度の長伐期計画 の対象とするものと、50~ 60年生での柱適材の生産と を考えた伐採が必要なことは 言うまでもないことです。
人工林化には様々な問題が あり、今後もこの方式を続け ることは愚かなことだとして も、幸か不幸か、その人工林 材が旬を迎えはじめているの ですから、これを日本の家づ くりに使わない手はないはず です。
九州南部や四国南部で は、直径30㎝前後に人工林が 成長し、板材として使えるま でになっています。
ところが、この人工林の出 材に関して多くの矛盾が未解 決で残されているのが現実で す。
例えば、乾燥の問題、用途 の問題、経費の問題、山守り の問題などがあります。

乾燥材設備への支援と仕組みづくり

乾燥の問題について言えば 、杉材の場合は特に導菅がな く、仮導管という細胞の中に 含まれている水分を抜き出し にくいことがあげられます。
かつての出材は、山で伐採 をして3ヶ月位は放置し、製 材してからまた数ヶ月かけて という天然乾燥が主でしたが 、近年はこんな余裕を持てな い林業家と木材業の経営の厳 しさや人手問題もあり、生材 での出材、製材、販売という ケースが圧倒的な比率を占め ています。
ところが需要サイドからは 、当然のように乾燥材が求め られます。
半乾燥材でも使い こなせる大工技術の減少もあ りますし、建築基準法に基づ く家を建てるには完全乾燥が 前提になります。
住宅の気密 化もまた乾燥材を必要として います。
プレカット化がすす めばこれも乾燥材でないとい けないということになります。
林業試験場などでの研究テ ーマの中心には、以前から杉 材の乾燥問題が大きな柱とな っていますが、これはこれか らも大きなテーマとして続き そうです。
とは言え、すでにいくつも の乾燥方法が開発され、実施 されています。
低温乾燥や蒸 気乾燥、燻煙乾燥、高周波乾 燥などはその代表と言えるも のですが、数ヶ月間の時間を かけた天然乾燥による乾燥状  態と品質の保持には及ばない ものがありますし、設備費を 中心としたコスト高の問題が あります。
乾燥設備が要求されるのは 製材工場が主となるのは当然 ですが、中小の製材業者が導 入するには設備費や場所、維 持・管理なども当然問題にな りますから、乾燥材比率を現 状の10%強から50%程度 に増やすことはそれほど簡単 なことではありません。
林野庁では人工乾燥設備の 整備促進のための事業として 「乾燥関係補助事業、制度融 資」の制度を設け、木材業者 の乾燥材生産施設の整備促進 をよびかけていますので、こ の活用をすすめたいものです。
そのほか、本誌紹介の寺田 建設㈱(第4号)にも見られ るように、工務店などが山元 や原木市場でめぼしい原木を 仕入れ、土場で天然乾燥させ 、必要な時に製材するところ が増えていますし、木材業者 でも本号の阿部木材㈱のよう にストック材を多く持ってい るところもたくさんあります 。
可能なところでは考えてほ しい方法です。
さらにまた、古材の活用が 見直され、民家再生リサイク ル協会での古材流通ネットワ ークづくりや京都の古材バン クの活動も強まっていますが 、古い民家や町家の構造材、 小屋組み材などは、使い回し を想定して使われ、年月を経 てしっかり乾燥され、強度を 増している材ですから、大切 に活用したいものです。

杉材を生かす工夫と研究
多少、林業問題から外れま したが、次に考えたいのは用 途の問題です。
人工林の桧材 に比べて人気が薄いのが杉材 です。
杉は桧よりも若干弱いとは 言え、縦方向の圧縮にはかな りの強度を得ていることから 柱・間柱などの角材としては 使われていますが、軟らかい ということや乾燥問題などで 活用が十分ではありませんで した。
人工林材でも直径が30㎝ 程度の材が出てくるようにな ると、その用途・利用方法の 研究が一段と大切になってき ます。
本誌では、杉材を生かした 事例をなるべく紹介するよう にしていますが、本号では、 丹波篠山の屋外施設の大部分 の構造用に杉の柱材だけでな く、板やタルキを使った事例 、ドライウッド土佐会の床板 や、国産の杉厚板を活用した「板倉の家」などの事例、第 9号の埼玉住まいの会の「杣 の家」、吉野杉風倒木の京都の 家、鳥取県・グリーンアース 21の住宅建築等の事例、第 8号の大阪・清水木材の杉厚 板張りの家の事例などを掲載 しています。
軟らかさを良しとする使い 方、厚板としての利用、板の 自然なたわみの状態で縦圧縮 への強度の利用などや、その ほか角材の組み合わせによる 利用をはじめ十分納得できる 使い方がいろいろ研究され、 地元材の活用への挑戦が始ま っています。
豊富に生産可能である人工 林材を生かしたこれらの研究 と工夫にも学びながら、大い にその活用を広げる努力を期 待したいものです。
それが、特に地元材を生か すことで日本の林業に活力を 与え、地場産業の復興につな がることをめざしてほしいも のです。
ウッドデッキ専門メーカーである中川木材産業のb-SmileShopのネットショップです。b-SmileShopとは大阪商工会議所が運営する大阪商工会議所の会員のオンライン・ショップ開設サービスです。取り扱っている商品は、自作できるウッドデッキシリーズから、昇降運動のためのスローステップ、キッチンツールやステーショナリーなどの木製品の雑貨まで多数あります。メニューとして、マイページ、会員登録、取扱商品一覧、商品の買い方ガイド、当サイトについて、特定商取引法に基づく表記、個人情報保護方針、お問合わせなどがあります。たくさんある施工例のページにもリンクがつながっています。このwebへのリンクは ウッドショップB-smile です。
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