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木材は生きているから素晴らしい

森林(もり)の恵み、木の恵みは、人類の誕生と人間生活にとって絶対的な必要条件 です。
特に日本人にとっては、森林があり、木が得られたからこそ数千年の歴史を今日ま でつくってこれたと言えるものです。
太古の昔から森林とともに在り、森林(もり)の民として歴史を重ね、木の文化を育 ててきました。
日本人と人類にとって、かけがえのない天与の恵みである森林と木が軽んじられ、森 林づくりを2の次にして山が削られ、森林が破壊されてきました。
木をないがしろにし て木に代る工業資材・製品が社会と生活の中で大きな顔をしています。
森林の民である日本人の暮らし、文化の中から、木が除け者にされたのは、わずかこ の数10年ですが、この数10年の凄まじい変わりように、疑問を持つこともなく今日を 生きている人のなんと多いことでしょう。
21世紀の基調の中心が、自然との調和と共生であることが、日増しに見えてくるよう になっている今、改めて森林と木の根源を探り、人間の在り方、暮らし方を考えること が大切になっています。
森林の根源を探ると、なぜ木が育ったのかという地球の不思議、森林と人類誕生の関 係が浮かびあがってきます。
そして木の素晴らしさが見えてきます。
そこで、本特集では、地球と森林と人間の関係から考えを起こし、木を生かす住まい づくりへと考えをすすめてみました。
)いのちある木材が住まいを生かす 木は木材になる日を準備する
山に育っている木は、太陽 の光を受けて光合成を行い、 大自然のエネルギーを得て育 ちます。
立っている木は、酸素の排 出、炭酸ガスの吸入をはじめ とする働きで、今日のような 地球環境をつくり、人間や生 物の誕生の条件をつくり、生 存を支えてくれています。
植林という人間の行為を含 め、樹木の存在と成長は、天 与の恵みというほかありませ ん。
地球という星にしかない この大自然の恵みを知る時、 私たちは改めて木という不思 議を考えずにはいられません。
実に有難い存在としか言い ようのない木ですが、立って いる木の役割が自然の摂理を 支えている素晴しい植物であ ると同時に、切られてから、 人間生活の隅々で果たしてく れている役割の素晴しさをも 知ることができます。
切られた木が、木材として 使用されたときに持つ特性は、 折に触れて書いていますが、 それは、木の成長する過程で の働きや、結果として得られ たものです。
木は、一人前の木材として 使われるには百年以上の年月 を要します。
人工林木で、 構造材として使われるにして も50~60年は必要ですし、 百年未満で直径30㎝以上の 材を得られますが、あらゆる 用途への対応ということや、 木材として一人前の形質を備 えるには100~150年が必要 です。
さらに銘木としての価 値を有するには150年生以上 とされています。
100年以上の年月、自然の 下で成育することで、人間生 活に役に立つ木材としてのど んな形質を作り上げているか を見てみます。
その形質は、針葉樹と広葉 樹では明らかな違いがありま すが、ここではその違いを論 ずるのではなく、一般的に木 としてとらえて見ていきます。
まず見えるのは姿形です。
100年以上になれば樹高20~ 30mに成長し、胸高直径も30 ~50㎝に太ります。
4m材でも3玉程度まで採れ、角 材、造作材、板材として建築 用材から器具材、家具材など の幅広い用途に有効に木取り できるようになります。
次にあげられることは、し っかりした年輪が形成される ことです。
年輪の定かでない 樹種もありますが、暖期にな ると旺盛な肥大成長を行い( 早材)、寒暖の季節差のある 地の材は、寒期には肥大成長 よりも身を守ることに働きを 置き、しっかりした木目(晩 材)をつくります。
暖期にな ると旺盛な肥大成長を行い( 早材)。
これが年輪となって 現われ、木材の特質を語る大 きな要素となってきます。
し かも、木材の肥大成長は、50 ~60年を過ぎると次第にゆ るやかになり、辺材に近い部 分ほど年輪がよく詰み、木材 としての価値を高めます。
年 輪と年輪が形づくる木目は木 の生命であり、価値を語る大 切なポイントであるばかりで なく〝ゆらぎ〟を生む要素で もあります。
その次に木材の断面(木口) を顕微鏡で見ると無数の管が 並んだように見ることができ ます。
導管(仮導管)、樹脂 道と軸方向柔細胞ですが、管 の大きさは大小あり、晩材と 早材でもその大きさが違い、 並び方も樹種によって大きく 異なります。
管状の細胞で、 隣り合った細胞の間は液体が 通りやすい壁孔で連なってい ますが、その管と細胞壁の量 は針葉樹では木材の体積の約 九割を占め、その数は1㎜平 方当り約1000~2000と言い ます。
広葉樹は樹種による差 がありますが、それでもその 量は6~8割を占めています。
この管と細胞の働きが、温 湿度の調節や音と光の吸収と 反射、手触り感と温もりをも たらす素となっているのです。
このように、樹木が年月を 経て成長する過程での働きや 結果が、木材として使用され たときに、他に類のない材料 としての役割を果たす要素に なっているのです。
木材は類なき長寿材料
木は成長することによって 環境を作りながら、切られて 材料(資材)となって働くと きの準備をしているのです。
これが自然の営みであり、自 然の超合理性とも神秘とも言 えるものなのです。
付け加えておかなければい けないことは、光合成によっ て吸収された炭酸ガスは、同 化作用でデンプンをつくり、 糖に変わって木の成長に寄与 し、セルロースやリグニン、 ヘミセルロース等の炭素化合 物質として木材の組織に固定 され、決して排出されないこ とです。
木材が炭酸ガスを排出する のは、朽ち果てたり、燃えて 灰になるときですから、形を 保っている間は100年でも 1000年でも、炭酸ガスを炭 素化合物として体内に持ち続 けるという優れ者だと言える のです。
さらに、切られた木材を語 るときに、その木の強度変化 が見事に理にかない、長寿す るようにつくられていること です。
切られた木は、まだ成長を 続けている過程ですから、大 量の水分を有しているだけで なく、水分や糖分などを通す ため、細胞壁は柔らかい状態 です。
一般に木材の強度は、乾燥 されたにしても切られてしば らく後の状態で語られます。
その状態でも建築資材として の強度を持っているのですが、 それから年を経るごとに柔軟 な細胞もしっかりとして強く なり、水分も平衡状態に近づ き、樹脂が全体に浸みわたり ます。
例えば、100年生以上のヒ ノキの強度が最も高まるのは、 切られて200年程度で曲げ 強度、圧縮強度とも2~3割 強くなります。
それからゆっ くり時をかけ、約1000年 (切られてから1200年以 上後)に、切られたときの強 度に戻ることは、以前にも触 れていることですが、切られ た木材というのは、樹種によ る差はあっても平均1000年 程度の寿命を持っているので す。
先日、築約100年の京町 屋の改修を見学した折に、梁 に使われている地松を細工し た大工さんが言っていたのは、 挽いたときのおが粉を握ると、 しっかりとして脂っぽく、握 り固められると言うことでし た。
新しい木よりもはるかに 強く、それも、単に硬いとい うのではなく、強靱な強さと 言うべきもののようで、切ら れてから強くなることを証明 したものでした。
同じことは、古材を扱う方 からも聞かれることで、製品 化したときよりも、使用する ことによって200年前後も の間、強度が増し、風格が出 てくる材料というのは、木以 外には考えられないことです。
ピカピカの製品が年々に劣 化して5年、10年、20年の 寿命を前提とする化学製品や 工業製品との決定的な違いを 持つのが木材だと言えるでし ょう。


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