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岡山の木で、岡山の家をつくる

山元から消費者までの一体化をめざして

●「会」のモットーは出会いの窓口
  住まい手と設計者の出会いの場をつくり、住文化の向上をめざそうと活動している「住まいづくりの会」が岡山 市にある。
この「住まいの会」は、岡山市内に在住する気鋭の建築家4人が、住まいづくりを考えている人たちに参加をよび かけて平成10年4月に発足したもので、今は80名の会員を結集している。
「会」を発足させた大きな動機は、一般の人たちが家を建てようと考えたときに「どこに相談すればよいか」とい う一番不安な悩みに、気軽に相談できる窓口をつくることにあった。
「会」のモットーに、「すべては出会いからはじまる」という「出会い」づくりがある。
昔ならば、近くの大工さんに相談すればよかったが、 都市化がすすんだことと、戦後になって住宅メーカーが育成されて「住宅産業」なるものが生まれ、商品としての住宅 が売れるようになった。
華々しい宣伝合戦と営業活動で、生活者は、住まいづくりの相談をするよりも、商品選びを するような感覚にさせられている。
「商品」としての住宅ではなく、建て主の要求を基に、ライフスタイルに合った、美しく、安全で、快適で、質の 高い家づくりを考えれば、建築家、工務店、近所に居れば大工さんに相談するのがよいのは言うまでもない。
その人たちが安心して相談に乗れる「出会い」の窓口として「会」が創られた。
「会」では「地元の建築家と一緒に、あなたのライフスタイルにあった住まいづくりを」と呼びかけ、相談に当っ ての依頼の仕方、設計科、設計者、設計内容、構造の種類、工事費、工事監理、トラブル処理、そして総合評価につい て、建築家と工務店と住宅メーカーによる違いを示し、建築家による相談・施工の良さを知ってもらいたいとしている。
宣伝が上手でなく、まだあまり知られていないと言う「会」ではあるが、毎週土曜日にはセミナーを開催し、自 分達でケイソウ土を塗ったり、土佐和紙や柿渋、接合金物の勉強を重ねている。
また、現場セミナーを開催し、建築中 の住宅を見たり、職人さんの指導で道具を使った体験セミナーも行っている。
これらの催しの案内や報告、耳より情報などは年4回の会報誌「住まい通信」やチラシなどで会員に知らせており、 会報誌は、すでに7号まで発行されている。

●4人の建築家の結束をベースに
 4月に入って訪れたのは、「会」の広報を担当している宇川民夫さんと柴田晴夫さんの待つ宇川建築計画事務所。
宇川さんが、これまでの「会」の活動や家づくりの写真を用意していてくれた。
80名の会員になったが、建築家は発足当時からの4人だけ。
宇川さんと柴田さんのほかに、その日は地鎮祭で顔 を見せられなかった代表の新谷雅之さんと藤田佳篤さんの4人。
ともに50歳前後の団塊の世代で、建築士会の青年 部で一緒に活動した仲間。
共通項も多く、気心が知れている。
そして、4人はともに、86年に結成された「ランドプランニング岡山」という、市内陣屋町足守の町並み保存と伝 統的まちづくりの事業に携わったメンバーだった。
この活動を通して、環境をテーマにしながら、都市に住むにはどうすればよいかを考えながら、町づくり、住まい づくりの関係を考えることができ、それが「会」の発足への引き金になった。
「会」の発足の動機でもあり、同時に基本的性格ともなるものについて、代表を努める新谷さんは次の3点をあげ てくれた。
① 「ランドプランニング岡山」の活動を通してワークショップによる町づくりをする中で、建物、建築、設計を見 直したいと考えた。
それは、住宅づくりワークショップを取り入れたパートナーシップで、建て主と一緒につくらな ければ良いものをつくれないのではとの思いからであった。
建て主と一緒にする活動としてセミナー、相談会、会報、 見学ツアーや体験会などをする新しいパートナーシップによるワークショップ方式の「会」をめざしたこと。
岡山で建てる住まいは、岡山にふさわしい地域型であるべきで、その中心になるのは、岡山の木を使う、少なくとも 近県の木を使う住まいづくりをすることにある。
材料の産直供給ネットワークによる家づくりで、岡山に合った住ま いづくりをすすめること。
③建築家からの情報発信がほとんどされていない現状で、一般の人が相談するにも、その存在すら知られていないの で、相談の対象になっていない。
住まいづくりの依頼をハウスメーカーや工務店だけでなく、建築家もその選択肢と してもらうための情報発信の必要があった。
そのために、岡山の木を使った岡山らしい住まいづくりをはじめとする 特徴とオリジナリティーを持った「会」として活動すること。
これを基本に「会」がスタートし、活動を続けている。
他の建築家からの入会希望もあったりしてメンバー構成については何回も検討したが、「会」の活動スタイルと方向 性の確立を待ちたいということで、当面は4人の建築家と住まい手・建て主の構成で行きたいとの考えでいる。
「会」は、岡山に見合った家づくりをするにしても、普段使っている木材がどこから産出されたのかもわからない ようでは話にならないということで、聞き取り調査を行ったという。
しかし、材木店でも市場でもそれを特定するこ とができなかったので、産地特定をキッチリしようという検討を行った。
そして、岡山の家に使う木は、岡山県産か、せめて近県で、中国地方の木をということで、最初は県北の森林組合 へ行き、美作材が良いと聞いて美作へも調査に行った。
行って見ると欲しい木が宝の山のように沢山あったという。
4人のメンバーは、それぞれの受注とともに、「会」として受けた建築の設計・監理も行っているが、産地での木 材を見てからは、施主に実際に木を見てもらい、納得してもらったものを使うように心がけている。
施主自身の家づ くりへの参加のためのひつつの姿として大切にしている活動がここにある。
さらに「会」では、一般の人にも実際の山を見てもらおうと、昨年5月に40人を募って鳥取林業の地・智頭への バスツアーを実施している。
山へ行って・木を見て・学ぼうという企画は大変好評で、この6月にはバスツアーPA RT2として「高知の杉を見に行こう」を準備している。
●動きはじめた「木のネット・住まいづくり」
 こうした活動を通して構築されたのが「木のネットワークによる住まいづくり」で、住まい手・建築家・木材産地 ・つくり手(工務店)のネットワークによる「岡山にふさわしい木造住宅」づくりの構想である。
その柱は、①「地球・森林・おかやま」~地球温暖化から環境を守るには森づくりが大切。
最低60年後には建築 材料として使うことができ、「おかやま」の木を使って住宅を建て、また植林するという60年サイクルを保つと、 岡山の森林と環境が守られる。
②「『おかやま』の木」~岡山県は全国でも有数の木材産地で、品質も高い。
戦後植栽した木が育って伐期にきてお り、伐採により山を守る必要がある。
県北の製材所には天然乾燥された良質な木材、無垢の厚板等の供給が可能である。
③「木のネットワーク」~産直システムを取り入れて材料のみを産地から購入して「おかやまにふさわしい住まいづ くり」をめざす。
人との出会い、木との出会いを大切にし、品質が高く、人にやさしく、ロープライスな住まいづくり をめざす。
④「住まいづくりの会」~岡山で住宅設計・監理で活躍する建築家が住まいづくりをサポートし、新しい建築材料・ 木造工法・岡山の建材の発掘 ・健康素材等の研究開発、住まい手への住宅セミナー・相談会等を開催するという4項目が揚げられている。
その中でも、いま一番心を向けているのが木材の供給システムづくりで、この確立を通して岡山の木のブランド化 をはかり、山元から消費者までの流れを作りたいというところにある。
すでに「会」としての受注は数棟あり、2棟が完成、2棟が建築中、数棟が設計の段階という。
仕組みはオープンで、広報担当の宇川さんだけでなく、「会」に対して相談や注文が来れば、4人のメンバー全員 を紹介し、家づくりのスタイルや双方のフィーリング等で住まい手に建築家を選択してもらうことにしている。
建築 は、メンバーや「会」と協力関係のある工務店をその都度選んでいるとのこと。
「会」が請け負った住宅は、建築中の現場見学会、完成見学会を行っているが、その中のひとつが倉敷市に建てられ たN邸。

宇川さんが担当したこの家は、45坪の敷地面積に建つ木造2階建て(延床面積40坪)、この設計のポイントは、 ①陽・風・材の自然の恵みを生かす②倉敷の街並みに合うモダンな和風の外観③無垢材・漆喰を多く使う。
床は岡山 産の無垢の松材。
天井は杉板④ホールダウン金物等で耐震性を高める⑤玄関式台、天板、棚板には無垢の厚板を使用⑥ 居間の前には木製デッキを設けてアウトリビングが楽しめるように⑦化粧で見せる丸太の梁材は施工会社手持ちの古 材を使用⑧施主と一緒に柿渋塗りや漆喰塗り、玄関の石敷きなどの作業をする、などとなっている。
家づくりは1棟ごとに、敷地も住まい手の条件も予算も違うのは当然ながら、全体に共通した設計ポイントは、N 邸に見られるように岡山県や中国地方の木材をたくさん使い、自然素材を取り入れ、自然の陽当りを生かし、風の通 りをよくすることにある。
基本はシンプルで自然との共生というコンセプトが生きた家づくりとなっている。
「会」を中心にした家づくりのネットワークが岡山に大きく育ち、全国各地に燎原の火の如く広がる日も近そうで ある。
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