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資源・環境保全と木材利用の関係



都市のもう一つの森林


さて、森林というとそのおかれている立場や思 い入れが絡んで捉え方は人それぞれである。
とく に、自然保護あるいは野生保護といった視点の中 では森林は神聖視されることが多く、そのこと自 体は一理ある。
しかしそれと同様に森林で業を営 む人にとっても森林は資源を生産するという神聖 なものなのである。
木材が人間が生活に密着した ものであることから、人間生活する上での資源生 産の場として林業がとらえられてきたのは必然的 であったともいえる。
 一方、建築分野をはじめとして、各種材料の出 現は、木材(あるいは材木)は数ある材料の中の 一つにしか過ぎなくなってしまった。
それは、あ る条件さえ満たせば、安い資源が好まれることを 意味していた。
世界中の安い資源、木材に目が振 り向けられたことも間違いない事実であり、森林 の荒廃、そして、そこで生活が危うくなった地域 が生じた。
それは二つの姿、すなわち、文字どおり樹木のな くなった森林と木材はあるが生産基盤をなくした 林業、森林である。
都市における鎮守の森や雑木 林の保存の問題とスギ人工林や山村の荒廃の問題 の違いを理解し、それらを共に都市の問題として 促えているかというと、いささか怪しい。
木材利用に一般の人々がやや抵抗を感じるのは、 たとえ人工造林からといえども森林の伐採からは じまるので、生態系に係わるイメージ部分が強い ためである。
俗な言い方をするとテレビの映像や マスコミの写真になり易いのである。
それに対し て金属やプラスチック製品は野鳥、昆虫、野草な どの生態系とイメージ的にはなかなか結びつかな い。
確実に資源・エネルギーの減少(すなわち二 酸化炭素CO2の放出)と廃棄物によって生態系は影 響を受けているのであるが、一般には公害や廃棄 物問題のように人間に跳ね返ったとき問題になる。
目につきにくいだけに厄介であり、焼却場でのダ イオキシン問題然りである。
本来そのような危険 のある材料は使用しないか、回収を含めた十分な 管理下にあるべきであるが、ほとんど問題が出た 時の対処が中心となっている。
冷静に考えれば、 「そんなことはわかっているが、現実の経済の中 では仕方がない」のツケであることは間違いない。
 同様に木材や紙などの生物資源をエネルギー利 用もせずに単純に焼却するために資金と人を使う など全く理にあわないはずである。
にもかかわら ず相変わらずゴミ問題はゴミ問題であり、ゴミ問 題が資源問題に置き換えられる機運はあまりみえ てきていない。
都市ゴミ問題は投棄場所と燃焼の 問題に加えて、環境汚染の問題が強調されるよう になったが、木材や紙などの生物資源を循環型の 資源問題として促える具体的施策はほとんどみら れていない。
 炭素税、デポジットの導入すらままならない状 況然り、塩化ビール然り、薬剤然りである。
供給 者から使用者各々の役割分担を果すクローズドな システムへ移行しなければ単なる対立の構図しか 見えてこない。
オジロ鷲だけでなく、人間すらも 生殖機能に異常の恐れがあるという警告もあるく らいで、生態系がある滅亡に向かって、刻々と変 化しているというニュースは少なくない。
 木造住宅や木造建築などの木材利用を「都市の 森林」として位置付けた意図は言うまでもなく、 将来における目指すべき循環社会は森林と都市の 有機的な連携なしには考えられないからである。
それには「森林」という言葉がもっともふさわし いと思われたからである。
 森林を生き物として扱っている人から「CO2を 吸収固定しない木造を森林というなどもってのほ か」といわれることは十分理解できる。
しかしな がら、我が国の住宅に保管されている木材は炭素 量として我が国の人工造林の森林で蓄積されてい る材の炭素量の48%程度に相当する。
たとえば、 一ヘクタールの敷地に木造総二階建住宅(延床面 積140m2で、約20m3の木材を使用)が二十軒(かな りゆったりした一軒当り300m2以上の敷地と共有地 がとれる)建設されていたとすると、400m3の木材 (かなり立派な五十年生以上の人工造林の森林に 相当する材積になる)が保管されていることにな る。
これを資源とみるのか、単なる人の住む箱と みるか、役割が終わったらゴミとみるかが問われ ている。
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