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木の住まいが育てる日本の文化

●形だけを追い求めた近代モダニズム
和と愛を育て、健康を育てる長寿住宅が、家を考える基礎になるべきで、それに、あとは何を付加するかというのが本筋ではないでしょうか。
安心・安全は、すでに前述の中に含まれています。
残るのは快適さ、利便性、高機能、自己満足くらいではないでしょうか。
それと高断熱はともかく高気密は問題外です。
こう考えると、今日風の住宅、ハウスメーカーや多くの建築家が大合唱したモダン建築が追い求め、大切にしてきたものはまったく逆だということがわかります。
それは、自然と親しんで共生し、宇宙・自然が主人公で、人間も自然の子と考える日本の思想・文化と、神の子である人間が主人公で、人間が自然を支配し、異教徒も支配するという西洋文明の違いそのものであるのです。
ですから一神教を絶対視する西洋文明の下での家は、家族の和から始まるのではなく、まず自然との対決があります。
自然を支配するということは、同時に厳しい自然(嵐、寒暖など)とたたかう堅牢な器にしなければなりません。
さらに、異教徒は敵として侵略することを是認しているということは、同時に侵略される危険とも背中合わせですから、敵である異教徒の襲来に備える砦でもあるのです。
なぜ家の中でも靴を履いているのかという疑問の答えがここにあります。
これではゆっくり家族で寛ぐための家という位置づけは生まれて来ませんし、時には、家族も運命共同体などと言っておれず、個々人が自分を守ることを考えなければならないのです。
(最近言われる〝ジコチュー(自己中心的)はとても心配な症状です)〟  自然対決、自然支配、他民族支配という思想が、個人主義、自己中心主義につながるのは当然の姿でもあるのです。
現実の欧米の人たちが、必ずしも家や家族をこんな風にとらえていない様子は伝わってはきますが、根底に流れている文明・文化は変わることはないのです。
洋風住宅というのは、このような思想を根底に持っているのだということを理解しないで、形だけ洋風化を追い求めると、自分たちの文化も忘れ、遺伝子の中に受け継がれている民族の風俗や習慣、気候・風土にそぐわない家をつくり、文化を歪めてしまうというとんでもない結果を生んでしまうのです。
●日本建築の理念が21世紀を創る
 日本の家の位置づけを見ると、その昔から底流として流れていたのは、和と愛を育み、自然と共生した長寿命の家でした。
建築家の菊竹清訓さんが「風の路」のシンポジウムで語ったように、日本の家は、時代の変化の中で少しずつ改良し、新しい型を見つけるのに4世紀のサイクルがあり、その進化は縄文以来の家から4世紀の高床堅穴の大柱・通し柱造り(古代)、8世紀の寝殿造り(平安時代)、12世紀の書院造り(鎌倉時代)、16世紀の数寄屋造り(室町時代)、そして現代の自在造りと続いていると言います。
その型とは別に、平安時代から江戸時代にかけて武士や町人、庶民の家が造られています。
今でもその姿を残している武士の家とされる六~七百年前の民家や、江戸時代の民家、京都や大阪に見られる町家などがあります。
型は時代とともに変化をしていますが、その通底に流れる理念は何等変わっていないことに注目すべきでしよう。
この点について菊竹さんが「西洋では建築家は型を考える職業との認識で天才をめざすが、日本はひとつの課題に関わる人々と一緒になって技術をつくる〝読み人知らず〟のような家づくりだ。
型をつくることは、社会全体のなかでも誰もが造れるものをつくることで社会の進歩に役立ってきた。
技術も環境も含めて社会に大きな影響を与える型がつくられたが、どのような型を導き出しても、その中心を見つけ、余分なものを取り除くことを大切にしてきた。
住宅は、まわりの環境に対しても責任があるという意識があった」と言っています。
さらにまた「日本の建築は、高度化されている技術だけでなく、生活に結びついている。
木とともにであり、木よりも生活に結びついている」と家と人と木の関係を語っています。
つまり、時代に合った型で、誰もがつくることができ、社会の進歩に役立つもの、中心を見つけて簡素で、自然と調和し、共生したものであったことがわかります。
また、本誌で何回も登場願った数寄屋研究の第一人者で、京都伝統建築技術協会理事長の中村昌生さんは、本誌第9号のインタビューの中で「方丈記にあるように、住む人の心とひとつに結ばれた庵というものは、歴史の表面に余り現われないが、時代をこえて存続してきた、その時代その時代の智恵が生んだ住まいとも言えるでしょう」と住まいの通底に流れるものが、住む人の心がひとつに結ばれた〝和〟を基調にしていると語っています。
さらに中村さんは、そこにある素材を生かすのが数寄屋であり、日本の家だと言っていますし、「日本の建築の基本にあるのは掘っ立て柱です」と言って「大地とともにという思想が根付いています。
自然との共生を表現する大工技術は、床をつくっても柱は大地に続いているのです」と語り、「数寄屋のように自然石を柱底にひかりつけても、その柱に宿る思想が、自然を尊重するところにあります」「そのソフトが、あらゆる技術、あらゆる工法、あらゆる時代に通じているのです」と言っています。
日本の建築の歴史を研究すると、その根底には、これまで触れてきた「和と愛・人との結びつき」「自然を尊い、自然と共生する」思想が脈々と生きていることが明かされるのです。
そして21世紀に向けて菊竹さんは「西洋は生活を拘束する建築に向かっているが、生活と空間の関係をつくりあげてきた日本の建築が21世紀の主流になり、それがまた世界をつくることになる」と、日本の木の家づくりが21世紀の世界の建築を牽引する役割を持っているその必然性を語っています。
また中村さんは「自然石を使い、柱をひかる。
その柱に宿る思想が自然を尊重するところにあり」そのソフトがあらゆる技法・工法に通じ「あらゆる時代に通じているのです。
21世紀を前にして、いま建築が一番求めているものを数寄屋はやり続けてきたのです」「世界の建築が行き詰まり、悩み、苦しんでいる。
そこに救いを呼びかける内容こそが数寄屋のソフトにあるのです」「21世紀には、日本の建築家がローエ等を乗り越えて、自然回帰の新しい典型を作ってほしいものですが、そのために数寄屋のソフトが必要になります」と言っています。
戦後、近代化の下で除け者にされてきた木造の日本の家の根底に流れるものが、和と愛を育て、自然の下で自然と調和・共生するところにあったことは繰り返すまでもないことです。
真面目な多くの建築家が語るように、世界の建築家が行き詰まり、悩み、苦しんでいます。
その近代モダニズムを追い求めた日本の建築家も同様に煩悶しているようですが、その打開の道こそが、日本の木造建築に返り、学ぶことにあるのです。
21世紀初頭の世界的基調が、「自然との調和と共生」「人間関係の新しい発展」「本物主義」にある下で、建築界でそれを実践するものこそが木の家づくりです。
木の家づくりは21世紀の世界的主流であり、本流になることに確信を持って語り、木の家づくりの輪を広げる力が大きくなることを切望してやみません。
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