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環境共生と木材生産木の家づくり 

森と木が地球環境をつくる

 自然は、人知を超えた偉大な存在です が、地球誕生以来の歩みもまた神秘につ つまれています。
 最初に生を受けたのは微生物ですが、 どうして微生物が誕生したのかという最 初からして謎につつまれています。
そこ から水中植物の発生、陸上への進出、植 物の進化がシダ植物から茎植物へ、そし て進化の最後の植物としての広葉樹へと すすんできました。
 30数億年の長い長い自然の試みが今日 の地球環境を作り上げ、地球上の究極の 生き物として550万年前に人類が誕生し ています。
 人類の誕生を準備する自然環境の整備 は、樹木の成長、森林の成長を持って完 成したと言えるのですが、この樹木なし に人類の出現がなかった、樹木の成長で 人間が誕生できたというところにこそ大 きな意味が込められています。
(本誌第5号の「木の生かし方、木の使い方を考 える」参照)  森林と樹木の役割が、①光合成による 酸素の排出と炭酸ガスの吸収、②葉を落 として土を作り育てる、③水源涵養とい う保水能力を持つ、④生態系を維持する 、という4つの働きを中心に、人間の生 存と成長のための様々な力を与えてくれ ていることにあるのは、これまでにも見 た通りです。
 森林が、人間の誕生と生存を始めとす る地球環境づくりの最大にして最良・最 高の存在であるばかりでなく、住まいづ くりを中心とした人間生活においても必 要不可欠の絶対条件と言っても過言では ありません。
 そこで、ここでは、環境保全と木材生 産にも触れながら、環境共生型住宅との 関係での木材を考えてみます。

木を伐ることはいけないことか
 「木を伐ることは、環境破壊につなが る」と90年代を中心に盛んに論じられ 、木材業界が、環境破壊の犯罪者のよう に言われてきました。
 もうすでに決着済みの問題もあります が、一部の異常環境主義論への反論も含 め、木材の生産・使用と環境保全問題を 考えてみます。
 まず第一は、木は伐るべきではないと いう暴論の持つ欺瞞性についてです。
 ここには、いくつもの欺瞞と矛盾が内 包されています。
確かに、数億年の年月 をかけて森林は地球環境を作って来まし た。その樹を切って使ったのは人類だけ であり、近代に入っての乱伐による環境 破壊がありましたし、昔から焼畑農業に よる森林破壊や、中近東・アフリカ・中 国に見る燃料やレンガ造りのための森林 伐採での砂漠化がありました。
これらの 事実を是認して、今日に適用することは 決して許されることではありません。
 しかし、人間が全く手を加えなければ 、森林は育つのかと言えば、決してそう ではなく、適度な伐採と整備によってこ そ森林は育つのです。
人間が絶対手をか けなければどうなるのかを実証しようと する学術的な参考林は、死相を呈してい ます。
 オーストラリアの原住民・アボリジニ ーは、毎年、場所を変えながら一定の林 を焼いていますが、政府がこれを森林破 壊として禁止した結果、生じた現象が防 ぎようのない火事でした。アボリジニー が一定の林を毎年焼いたのは、森林を山 火事から守りつつ、自然と共生する叡智 だったのです。
  これらが示しているのは、森林に一切 手をかけないことが、自然を守ることに なるのではなく、人間との適切な共生関 係の下で自然が維持されることを示して います。
 自然もまた、人間を決して拒絶してい るのではなく、人間の営みを助け、護る ことを是として存在しているのですが、 適度な森林との共生関係とは、何を基準 にするかにあります。
それは、本特集の その(1)「環境共生型住宅を考える」 で見たように、自然の蘇生力、浄化力、 循環力の範囲を基準とすべきことからす れば、木材の再生産可能な範囲内でと考 えるべきでしょう。そして、その心は、 自然の恵みを分けてもらい、生かさせて もらっているという謙虚で、感謝を持っ て使用することにあるのです。
 「木を切るな」論の最大の矛盾は、木 材を使わなければ何を使えということに なるのかです。鉄?コンクリート?塩ビ ?……?。
これらの耐久性、対塩性、耐 酸性などに問題や弊害はないのでしょう か。に問題だらけで、製造時における 熱使用量は木材の無限倍で温暖化に作用 し、有害ガスをも発生させます。
木を切 るな、木を使うなということは、それに 代る材料を使え、環境を害して温暖化を 促進し、健康にも悪影響を及ぼし、洋風 住宅づくりを推進させようということに つながっているのです。
 逆に木材を使うことで、環境を害さず 、健康を損ねず、山を育てることができ るのです。
 人間を地球の主人公と考えて、自然を 自由に支配してもよいとする西洋文明と は違う角度、自然全体の流れから見れば 、森林の成立と成長は、地球環境を作り 上げるという初期の段階から、人間の成 長とともに、人間の暮らしに役立つ最良 の材料として使われるべく存在としての 段階であることがわかります。
 環境至上主義論は、この自然と人間の 関係を見ることもなく、また、木材を使 わなければ、日本の暮らしが成り立たず 、木の代りに地球環境を破壊し、石油メ ジャー等が喜ぶ材料を使えと言っている ことになるのです。
木をたくさん使って環境を育てる
 次に、木材を使うことが、なぜ環境に 良いことなのかについて考えてみます。木材の成長は太陽のエネルギーを得て 、炭酸ガスを吸収し、酸素を排出する光 合成によるものであることは、もう繰り 返すまでもないことです。
木が成長して いる間は、この光合成を、どんな木がよ り多く行うかを見れば、なるべく葉の大 きな木が良いのですが、スギ、ヒノキな ども十分その機能を果しています。
 しかも、光合成を行うのは、成長の著 しい木ほど多いということです。
木の成 長が最も盛んなのは、一般的には樹齢6 0年前後までで、歳をとるにつれてその 能力は低下し、銘木級になるとその量は 僅かになってしまいます。
樹齢の高い木 は別の役割があるのですが、光合成とい う面からだけを考えれば、樹齢百年未満 で切り、次の木を植えることが環境には 良いことになります。
  ところで、木が成長の過程で吸収した 炭酸ガスはどうなるかについては、切り 倒したら炭酸ガスが放出されると考える 人がいます。しかし、実際には、吸収さ れた炭酸ガスは、炭素として木材の中に 固定されてしまい、木材の構成部分となっています。
この炭素が、炭酸ガスとし て放出されるのは、木が燃やされた時と か、腐って死滅する時です。
つまり、木 が、木として役立ち、存在している間は 、炭素としてしっかり木の中に閉じ込め られていることになります。
 木造の百年住宅を建てれば、百年間そ れだけの炭酸ガスが閉じ込められて、地 球の温暖化を防ぎ、その間に、次々と新 しく木を植えれば光合成が盛んに行われ 、環境づくりに役立つことになるのです 。
本誌第2号で、東京大学教授の有馬孝 禮さんが「資源・環境保全と木材利用の 関係」で、都市のもう一つの森林をと呼 びかけているは、まさにこのことですし 、第7号で秋田県立大学教授の鈴木有さ んが、地球温暖化防止に最も有効な方法 が、木を育て、木の家をいっぱい造るこ とだといっているのも、この内容なので す。
 しかも、その木の家は、健康にも良く 、日本の気候風土にも適し、日本の文化 の再構築を促すものとなるのですから、 木の家づくりをもっともっと広げること が、環境にも、健康にも、文化を育てる にも役立つことなのです。

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中川木材産業の代表が今まで作成してきたホームページの紹介ページです。業界貢献、団体、学術、ビジネス、個人奉仕の5つにタブわけされています。業界貢献では21個、団体では6個、学術では3個、ビジネスでは18個、個人奉仕では9個の計57個のホームページが紹介されています。木材や樹木などを中心として15年間も作成し続けています。ホームページのタイトルとURL、作成者自らのホームページの紹介文が載っており、トップページのスクリーンショットの画像をクリックするとそのホームページに行くことができます。右上の自画像に注目です。気になる方は調べてみてください。ホームページは 見て下さい 中川が作るホームページ です。

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