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エコロジー住宅の奨め


室の内外で緑化を
 敷地の関係で家屋と道路がごく近いこともあり、家の外回りの 庭中や塀沿いに、土地のある限り、多彩な樹種の木を植えました。
松・槙・伊吹・樫など宅地庭木の常連に、椿・馬酔木・金木犀・ 山茶花・木槿・隠れ蓑・クロガネモチなど、花や実を付ける庭木 も加えました。
【写真10】 季節に合わせて小鳥や虫がやって きます。
わが家のシンボルツリーは大輪の白い花を咲かせる 「泰山木」です。
室内にも鉢植えの花や観葉植物を多く置いてい ます。
【写真11】 わが家ではまだやれていませんが、外壁や 屋根につた系の植物で表面緑化をするのも、家の魅力を引き立て ます。
これは夏の強い陽射しを和らげ、室内の温度上昇を抑えま す。
  室内外の緑は光や風や熱の制御に役立ちます。
また、植物 から放散されるアルファ・ピネン(森の香り)はストレスで弱ま った免疫機能を回復させ、フィトンチッド(森林浴の効果)は人 体に有害なある種の細菌を殺す働きを持つことが分かってきました。

写真10 南東側外観、手前側が改築、奥側が増築部分。
形は現代風 だが、地域の景観に馴染む佇まい。
道路に近い外からの視線の制御 を考えて、塀沿いの庭木は殆ど常緑樹。
1本ずつ樹種が違う。
隅に立 つのがシンボルツリーの泰山木。
長い煙突は多重燃焼風呂釜用。

写真11 改造部分1階の居間・食堂。
殆どの日常生活はここで。
 さらに、緑と共に暮らすことは、日常私たちを癒してくれるだ けではありません。
庭木や街路樹が地震による家や塀の倒壊を防 いだり、茂った葉が水の壁として火災の延焼をくい止めるなど、 非常時には被害を抑える防波堤にもなってくれるのです。
あの阪 神・淡路大震災では、こうした事例があちこちで見られました。
【写真12,13】
写真12 庭の街路沿い樹木が家屋の倒壊を防ぎ、人命が護られ、 倒壊による道路の閉塞を免れた事例(神戸市東灘区)。

写真13 庭の外周樹木が周囲からの延焼をくい止め、全焼地域でただ 1軒焼け残った木造住宅(神戸市灘区)。
[佐々木葉二:阪神大震災 ・緑は都市のインフラ、日経アーキテクチュア、1995.9/18増刊号、 139頁の写真を引用]
公共下水道の無い所では、合併浄化槽の設置を
 川や海、沼や湖を汚染する過半の責任は、私たちの家庭から出 る生活排水にあります。
 公共下水道の建設が当分は見込めない地域に立つわが家では、 屎尿浄化槽ではなく合併浄化槽を設けました。
【写真6,14】
写真14 屎尿とともに生活 排水の全てをバクテリアの 働きで浄化するFRP製の合併浄化槽。
10人槽と大きい 上に、市販品中最大規模で、バクテリアが上手く育てば、 浄化能力が高い。
(その上は予備の駐車スペースです)この浄化槽は、屎尿のほか 炊事・洗濯・入浴・洗面などに使われた生活排水の全てを、バク テリアの働きで浄化し、側溝などに放流します。
独立のシステム ですから、わが家ではこの浄化槽からの放流水を再び住宅内に取 り込み、水洗便所の流し水や植栽への散水に再利用しています。
 ところで、わが家では親子2世帯の生活排水を1つの浄化槽で 処理する関係から、建築面積で槽の大きさが決められている現行 法規制により、最大規模の10人槽を設けることになりました。
普段は家族数が少ないので、バクテリアの栄養分が不足がち。
そこで、適切な生ゴミを選んで、粉砕して槽内に送り込みます。
合併浄化槽は、排水の浄化に必要なエネルギーを槽内に生育する バクテリアの浄化力に求める、一種の自然エネルギー活用法ですが、 わが家では生ゴミの自家処理まで、ここで同時に行えることにも なりました。
 浄化後の水質は公共下水道より合併浄化槽の方が優れ、投資コ ストも低いと言われています。
わが家の竣工後でしたが、滋賀県 では、京阪神の水瓶琵琶湖を護るために、合併浄化槽の設置を義 務づける県条例が施行されました。
設備費と設置費の半額が助成 されます。
 また、筆者の勤務地・秋田県能代市の北隣の二ツ井町では、集 落散在の町の特性を考えて、膨大な建設経費を要する公共下水道 設置計画に見切りをつけて破棄し、全戸に合併浄化槽設置の施策 に切り替えました。
現在、住宅への設置費の九割を助成していま すが、それでも公共下水道の建設費より格段に割安との由です。
 大規模システムでは、災害時などの故障や異常の影響範囲が広 く深刻になりがちですが、スポットシステムでは対処も容易で効 率的、個別に再利用もできて、結局は省エネルギーで経済的です。
「生活用水循環システム」が作れたら 
 前の項の雨水利用と、この生活排水再利用を合 わせた「生活用水循環システム」がわが家のエコロジー化の大き な特徴です。
天の恵みとして得た雨水が太陽熱で温められ、給湯 利用後に合併浄化槽に入り、浄化後は中水として水洗便所で使わ れ、また浄化槽に戻るという循環系を形成します。
一部は植裁へ の散水から大地に還元、循環系のオーバーフロー分のみが側溝か ら琵琶湖に流れます。
降雨のある限り、水道水による補水はわず かで、竣工後の水道料はいつも基本料金です。
建築設備は自然のメカニズム利用の補助と割り切ろう
  わが家では、エアコンなど自動制御の建築設備で、室内環境を 常に快適に保とうとする生活態度を改めることにしました。
 先にも述べましたが、夏には、軒の出を深くし簾(スダレ)を 吊して、昼間の日射を遮る。
土地の風の通り道に開口を設けて通 風で涼を取る。
冬には、日の光を室内に充分に取り込み、前室を 設けてその空気層で温熱のロスを少なくする。
夏冬ともに、温度 差で空気が対流する性質を生かして、熱気を抜いたり、逆に連な る部屋を順に暖めたりする。
こうした対処が出来るように、わが 家の構造と間取りとしつらえを工夫しました。
 なお、天井を設けない3階ロフトの物置は、夏場の熱気と湿気 が溜まりやすいので、外壁面の最上部に小さな開口と換気扇を設 けて、必要なときに強制機械排気を続けています。
 自然のメカニズムを上手く利用し、自然と対話しながら、季節 の変化に対処したい。
どうしても難しい時や所、必要な人にだけ、 冷暖房など建築設備の力を借りる、と考え方を変えたわけです。
完全快適より多少の不便を楽しむ
  このことは、自然の摂理に従いつつ自然エネルギーを活用する 生活の基本姿勢だと考えます。
冬は少しくらい寒くても、夏の暑 いときは暑いなりに、季節の寒暖はそれなりに生活の中で楽しも うというのが、自然と共生する姿勢ではないでしょうか。
 わが家では例えば、人体感覚と温熱環境の関係を考えて、足熱 温感で冬は電熱の小さなマットを敷いて床の1部を暖め、通風冷 感・気化冷感で夏は風通しをはかり、炎暑には家周囲に打ち水も しましたので、寒中の暖・暑中の涼を味わって、過ごしやすくな りました。
 話は変わりますが、この基本姿勢の延長で、いま家族のみんな が人並みの健康に恵まれているわが家では、大流行のバリアフリ ーは取り入れていません。
階段に手摺りは付けましたが普通の段 差、便所は板敷きで無段差ですが、和室の敷居は標準通りです。
普段の暮らしが老化防止や機能回復のトレーニングになるように したいと考え、段差の解消は必要に迫られたときに対処します。
特に子育てのためには、完全快適は有害無益、相応の不便さや厳 しさのある生活環境の方が彼らの能力開発につながる、と知るべ きでしょう。
特定非営利活動法人である古材文化の会(旧:古材バンク)のホームページです。古材文化の会は、古建築や古材の保存と活用を促進するために、民家や木造建築の研究者・建築士・工務店・そして家や古材について学ぼうとする人たちのあつまりである調査部会で、古民家や古材などを調査し、地域の中で再び木造建築を甦らせるための活動を行っています。ホームページでは、古材文化の会についての紹介や、活動記録、イベントなどの情報が公開されています。ブログである「事務局日誌」では、古材文化の会のイベントの様子や活動が頻繁に更新されており、充実した内容となっています。 このwebへのリンクは NPO法人 古材文化の会 です。
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