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内装にこそ木を生かそう!

内装に木材を使う積極的意義は何か

●内装に木材を使う強い意識を日本の家づくりは、戦後の洋風化と集合住宅の出現によって一変させられました。
このような住まいが数々の矛盾を露見しているにもかかわらず、まだ多くの人びとは、洋風住宅やマンションへのあこがれを強く持っています。
一方の側では、木と木の家への希求を強くしながら、現実には洋風住宅、集合住宅への流れを断ち切れずにいます。
見せかけのカッコ良さ、利便性、機能性の良さがあげられ、なんとなく自尊心を満たしているような感覚があるようです。
マスコミなどがこれを、モダン、おしゃれ、素敵近代風などと煽っていますから、この潮流を変えるには相当のエネルギーが必要となるでしょう。
木の家づくりを広げる努力を一段と強めながら、洋風住宅の問題、集合住宅の問題をもっと世に問い明かしながら、現実の弊害への対応も強めるということが必要になっています。
その現実の対応こそが内装の位置づけで、木を中心とする自然素材をもっと内装に取り入れることです。
読者のみなさんが関わる新築に当たっては、防災・防火をはじめいくつもの規制の関係や施主のかたくなな要求で鉄筋コンクリートにしたり、人工建材の外装にせざるを得ないこともあるでしょうが、内装には強い信念を持って働きかけるようにしてほしいものです。
また、どんどん増えている改築・改装、増築等に当たっては、是非とも木を使う内装への強い意識を働かせてほしいものです。
集合住宅においては、より強くこの意識を持ってほしいと思います。
●驚くべきコンクリートの弊害洋風住宅の問題や家はどうあるべきかについては本誌第19号特集「二極化するのか日本の住まい」や第18号の「住みがいのある家づくり」で論じていますので参照願いたいのですが、そこに至った背景については忘れずにいてほしいと思います。
結論だけですが、大きくは、日本の文化・民族性を喪失させる、西洋文明の支配を徹底することでした。
住宅政策の隠されている根本は、家を住宅と呼ばせ、住宅産業を興こして大企業に集約させ、家づくりに関わる林業から始まる地場産業を破壊し、同時に安上がりの労働力を大資本のために都市に集中させる狙いがありました。
そして、洋風住宅と集合住宅をもてはやす風潮をつくるためのマスコミ・教育による洗脳と行政の指導、法規制があったのです。
こうした一連の企みの下ですすめられた住宅の洋風化や、安上がりの労働力を収容することから発展してきた集合住宅ですから、そこには日本の気候・風土はまったく考慮されていませんでした。
風俗・風習に至っては、それを踏みつぶすことさえ狙いとしてあったのです。
親子の断絶、核家族化を生んだひとつの大きな要因が、個人主義思想につらぬかれた洋風住宅の思想にあったのですし、家庭内暴力や登校拒否、キレル子供を生んだのも、個人主義思想によるものと、洋風住宅のつくり方と材料が、脳の機能障害を生んだり、情操感を破壊したからです。
実は「内装にこそ木材を!」というスローガンを掲げるのは、脳機能や精神機能を異常にしたり、不定愁訴と呼ばれる数々の原因不明の現代病を生む住まいを、正常な営みを可能にする家に変えるための切実な課題に応えるためです。
こうした関係で見たときに、洋風住宅の何が、どう問題なのかを考えてみます。
間取りが個人を主体にしたものであることや、高気密・高断熱が一般的に基本スタイルとしてあるのですが、ここでは、もう少し違う角度から考えます。
明らかにすべき最大の問題は材料です。
洋風住宅にしろ集合住宅にしろ、躯体の中心はコンクリートです。
無機質材は生命活動を伴っていませんから、人体(動植物を含みます)にとって有害性が大きいのですが特にコンクリートを中心に論じてみます。
コンクリートの弊害は驚くほどあります。
それは第1に呼吸していませんから温度や湿度の調整機能がありません。
むしろ、湿度をどんどん吸収しますから、室内を乾燥させ、加湿を必要とし、加湿してもそれをまた吸収しますので、材料自体が劣化を早めることになります。

第2に温度との関係では、床の場合、コンクリートは、木材に比べて体温を著しく奪い取り、冷えの原因となります。
断熱性が低く熱の吸収率が高いので、外気温以上に室内を暑くし、寒いときには一段と室内を冷えびえとさせます。
熱伝導率で木材と比較すると、コンクリートはスギの12倍、鉄は483倍とされています。
熱エネルギーの伝わりかたが早いのですが、日中熱くなったコンクリートは、長時間放熱しきれませんから、夜中でも室内の暑さが残ることになります。
コンクリートの躯体では、当然のように断熱が問題となります。
 熱に関して触れておくべきことは、コンクリートが火災などの熱に弱い上に、相棒の鉄がまた一段と熱に弱く、火災後5分程度で強度がなくなり、避難や消火活動の時間的余裕がない危険な面を持っています。

第3に、電磁波やプラスイオンなど、現代病の原因となる要素を室内に拡散することです。
無機質材や化学製品はプラスイオンを室内に放散するのですが、コンクリートは、それに加えて空中を飛び交う電磁波を吸収して室内に持ち込みます。
コンクリートの躯体は、室内環境を悪化する要素をいっぱい持っているのです。
第4に、コンクリート自体の耐久性の問題があります。
世界には廃墟となったコンクリートの建築物やスラム街が無数にあるように、コンクリートに100年以上の耐久性を求めることはできず、大地に還らない残骸処理もまた大変な問題となっています。

それに、近年のコンクリートは、新幹線の破損落下や亀裂の拡大をはじめ数々の事故が報道されるように、危険でいっぱいです。
このように、コンクリートが持っている問題は、人間生活と地球環境にとって多大な有害性を持っているのです。
静岡県木材協同組合連合会が、子マウスの生後23日の生存率を、材料別の箱で実験したところ、木製85.1%、金属製41%、コンクリート製6.9%という結果を発表していますコンクリートが呼吸せず、湿気を吸い取り、体温を奪い、外気熱を伝導し、電磁波やプラスイオンを放散するなど、生活環境を著しく劣化する材料であることがわかります

●劣化を早めるコンクリートここでもう少しコンクリートの問題について見ておきます。
本誌第8号特集Ⅰその(1)「環境共生型住宅とは何かを考える」でも触れたのですが、近年のコンクリート建造物の劣化や事故は深刻で、耐用年数はより短くなっています。
事故の原因には、手抜き工事の問題もありますが、コンクリートの劣化が早まっていることにあり、その原因には次のことがあげられています。
①セメントや砂に含まれる塩分で、砂利や砂が膨張してヒビ割れの広がるアルカリ骨材反応害②空気中の二酸化炭素が、コンクリートの中に侵入して、もろくなる中性化害 ③潮風や融雪剤の塩分によって、コンクリートの劣化や鉄骨の腐蝕が加速する塩害 ④酸性雨中の硫酸がコンクリートを溶かす酸性雨害⑤コンクリートに浸み込んだ水が、凍結と融解を繰り返すうちに劣化が加速する凍害⑥カビなどが出す硫酸が、コンクリートを溶かす微生物害などが、新聞でも報道されています。
戦後建築の主力資材として、また「近代」建築を象徴するかのようにもてはやされてきたコンクリートは、多くの問題を持っているのです。
数十年の使用期間を経て、いよいよ弊害が表面化しようとしています。
このようなコンクリートの躯体に囲まれた室内が、健康を育てるはずもなく、心と身体の不健康を促進するのが洋風住宅であり、集合住宅だと言えるのです。
どのような住まいであれ、それが不健康を促進するようでは、住まいの基本的な条件が満たされない欠陥住宅に分類されても不思議ではないのです。
この根本的な問題に目を向けさせないように室内に装飾を施し、ビルトインの家具・収納を取り付け、機能性や利便性を「売り」にしているのです。
 ところが悲しいことには、メーカー仕様の住宅は、それさえも安あがりの化石燃料を原料とする規格工業製品を中心に使用し、接着剤と同時に、それ以上に室内環境を悪化させる塗料を塗ってカラーコーディネートを謳っているのです。

自然界に存在しないものを化学によって生み出したものは、自然に還れないことはコンクリートと同じですが、それが室内を覆うことで、一層室内環境を悪化させていますこれらは、絶えず微量の有害ガスとプラスイオンを放散し、電磁波を乱反射させます。
さらにこれらの資材は、光線や音を波長の長短にかかわらず反射しますから、視覚・聴覚にも障ることになります。
当然ながら自然界が持つ"ゆらぎ"も持っていませんから、いかに良さそうに見えても不健康を呼ぶ要因のオンパレードのようなものです。
このような室内環境の結果が、脳機能や神経機能に障害をもたらし、精神性や神経性を主とする現代病、キレルとか無気力、無思考、刹那的な人間にしてしまうのです。
特に幼少時の肉体的、精神的発達をすべきときに、このような環境で育つとモロに被害を受けることになるのです。
●木材は内装の最良材弊害について少し長くなりましたが、洋風住宅や集合住宅が持っている問題や危険を考えるにつけ、木の家の大切さを知ることができます。
それだけに、躯体を鉄筋コンクリート造とするならば、真剣に内装を考えなければならないのです。
被害を断ち、健康を育てる内装こそ、建築の重要課題と言うべきでしょう。
内装に用いるべき材料の基本は何かを考えれば、自ずとそれは木を中心とする自然素材であることは言うまでもないはずです。
逆論的に考えれば、コンクリートや化学的製品・材料が持つ有害性を持たず、それを排除、吸収してしまうものであるべきことになります。
そこからさらに一歩すすんで健康を育てる要素を持つものであるべきという答が自然に出てきます。
そこで、木を中心とする自然素材を考えると、無機資材の弊害を見事に乗り越えた特性を持っていることがわかります。
①木は生きて呼吸し、温度や湿度の調整機能を持っています。
感触的に冬はやや暖かく夏はやや冷たくというのは、外気にかかわらず一定の温度を保とうとしているからで、人間の生理に心地よさをもたらします。
湿度についても同様で、55~60%の湿度を保つように吸排出して室内環境を整えてくれます。

②足などの膚と接しても、体温を奪い取ることが少なく、高い断熱性を持っています。
また、木は燃えるといいますが、柱や梁などの太い木材は、表面の1㎝程度炭化するだけで燃えつきることがなく、火災時の建物全体の倒壊を最大限に防いでくれます。
③電磁波や短い波長の光線・音を吸収して、脳や神経細胞を刺激する害を防ぎます。
逆に、マイナスイオンを放散して快適な室内づくりの立役者となります。
木を中心とする自然素材は、不健康になる物質を一切放散しないどころか、有害なものを吸収し、環境を整え、健康を育てる働きを強く持っています。
特に、木は材面に現れる"ゆらぎ"の働きで、自律神経を活性化させますし、視覚や触覚にやすらぎやうるおいをもたらしてくれます。

④木は、木材として使用されている間に、自らの含水率を調整して最適な状態をつくり樹脂を全体に含浸させるなどで材力を成長させます。
化学工業製品のように、使用初めが最高の品質で徐々に劣化するのではなく、逆に成長するのです。
太い材では特に顕著で、スギでは1000年前後、ヒノキでは1500年以上の寿命を持ちますし、板類でも100年以上、ツキ板貼りの化粧合板でも数10年は十分に長持ちします。
塩ビシートのように10年程で色褪せ、劣化することはないのですから、耐用年数においても極めて優れた材料であることがわかります。
⑤このほかに木材は、香りを放散することで防虫効果を生んだり、心地よさを与えてくれたりしますし、材色のおだやかさや触感の懐かしさなど、すべての働きを通して情操を育ててくれます。
ここにコンクリートにはない文化を生む力があるのです。
●健康を育てる室内を内装に木材と自然素材を積極的に使うにしても、何を、どう使うかも考えなければなりません。

求められるのは、木、土、紙など自然の内装材料と炭などの調湿・マイナスイオン材です。
木の使用については、室内全面の方がより良いのですが、視覚バランスが言われれば少なくとも腰板には木を使うことだと思います。
ムク使用が主流ですが、意匠性が欲しいところはツキ板貼りの化粧合板が適しています。
化粧合板については多少質問もあるようですが、改めて機会を見て書く予定ですし第15号特集「内装に映えるスライスウッド(ツキ板)の妙」などを参照して下さい。
ツキ板の魅力は、意匠性と"ゆらぎ"の演出にあり、木の特性を損なうものではありませんし、不燃、難燃用など各種ありますから適材適所の使い方を考えてほしいと思います。
炭は、埋炭・敷炭だけでなく、粉末の炭を壁の中に混ぜたり、腰板の裏に入れたりする方法や、炭粉入りの紙などの使い方もあります。
液状の炭を塗るのも効果的です(本誌通販商品のコーナーでも紹介しています)木を中心にしたこれらの自然素材を可能な限り内装に使い、なおかつ室内には、植物や備長炭、竹炭などをオブジェとして置くなどして、健康を育てる室内空間づくりがますます重要であると考えます。

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