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スギ(杉、榲、椙)

白木の文化を代表する常緑針葉高木

学名Cryptomeria Japan D. Don Cryptomeriaは、cryptos(隠れた)tmeris(関節、部分) 属性スギ科(Taxodiaceae)スギ属

白木の文化を代表する常緑針葉高木
銘木としての価値も高いスギ材
建築用材をはじめ幅広い用途

呼称と由来
ヒノキと並んで日本の針葉樹を代表する樹種 で、中国の一部に"カワイスギ"という変種が自生 しているが、有用性が少ないこともあって、一般 にはスギ属は日本のスギ一種だけとされている。
スギの由来は、「直やかな木」「すぐ木」「まっ すぐな木」からきているとされる。
貝原益軒の 「大和本草」に「木直也故にすぎといふ、すぎは すぐ也」と記されている。
古事記などに出てくる マキの木はスギを主とし、他にヒノキやコウヤマ キも含んで「マキ」と呼んでいたようである。
スギの中でも天然記念物に認定されている屋久 島のスギは"縄文杉"と呼ばれている。
スギは、古くからその有用性が認められ、長寿を 保って巨木になり、植栽にも適しているので、植 栽に関する古い記事が多い。
神社・仏閣の境内に 植えられ、老樹・名木・御神木として保護されて いることが多く、国または県の天然記念物に指定 されているものも少なくない。
属科は違うが中国貴州省に広葉杉と言うスギがあ り、遠い遠い昔から森とともに生きてきたトン族 には、スギは神の宿る木として崇め、決めごとを する時は、村人がみんなスギの木の下に集って衆 議する習わしがある。
その広葉杉を使って各村には高い楼閣=鼓楼が建 っている。
スギの木が鼓楼に姿を変えて村を守っ てくれるのだが、その鼓楼の中心には樹齢二百五 十年以上の大径木が四本使われている。
森の中から出す木を決め、神の許しを乞う祈りを してから根っ子から掘り出して運び、クギを使わ ずに鼓楼を建て、その後には植林をする。
その鼓 楼は三百年は持ち、子孫には三百年の木を残すこ とが伝えられている。
アジアの国々のスギは、神の木として崇められて いる。
またスギは、その有用性や量的な豊富さなどもあ って、日本の国木に推す声もあり、秋田県、富山 県、三重県、奈良県、高知県では、県木に指定し ている。
全国に広がる植栽木
スギの分布は広く、天然林として有名なのは秋 田杉に代表される青森県南部、秋田県をはじめ、 日本海側では山口県までかなり多くの個所に見ら れる。
太平洋側では、神奈川県丹沢、静岡県、奈 良県吉野、高知県魚梁瀬、鹿児島県屋久島などに しか残っていない。
弥生時代の登呂遺跡からは、あぜ道に使われた大 量のスギの矢板が発見されているように、日本人 とスギとの関わりはきわめて深く、西洋の「石の 文化」に対して「木の文化」と言われ、日本の農 耕時代以降の文化をヒノキとともに支えてきた有 用樹種である。
そのため、有史以来、伐採ととも に盛んに植栽が行われていたことから、もともと の天然分布は定かではない。

太平洋側のスギを「オモテスギ」、日本海側のも のを「ウラスギ」と呼ぶこともあるが、その相違 が、ウラスギは、下枝が下垂して地面につくと発 根して独立の樹になるという、いわゆる伏条繁殖 することにあるという説がある。
秋田杉、立山杉、 鳥取県の沖の山杉などが、これに当るともいう。
スギは常緑の高木針葉樹で、樹高五十mになるも のまであり、(日光荒山神社には六十mのものも ある)直径で二~三mになる。
樹齢は千五百年から二千年になるものまであり、 屋久杉は、樹齢七千年という人もいるが、二千年 ~四千年と推定され、大きいものは樹高五十m、 直径五m近くにもなっている。
スギは、土質の種類を問わずによく育つので全国 各地に成育し、植林もされているが、一番良い場 所は、西陽の当らない谷間や北及び北東に面した 山谷、山腹である。
さらに、土壌が深く、肥沃で 適度の湿気を有する所を好み、乾燥地には不向き な面がある。

人工造林樹種としてのスギは、ヒノキに次いで多 く、人工林全体の40%近くを占め、札幌当りを 北限にしている。
人工林材として銘柄をなしてい る林業地で有名なのは、奈良県吉野、三重県尾鷲、 静岡県天竜、鳥取県智頭、大分県日田をはじめ数 多い。
吉野や智頭のスギは、樹齢二百年前後の良材が出 され、銘木として扱われている。
神社・仏閣など の境内から供給される原木は、大部分が植栽されたものではあるが、ほとんどが老樹・大木となり、 銘木としての「材面の鑑賞的価値が特に高い」と いう条件を満たした上で、供給源が極度に限定さ れ「入手が特に困難」で「由緒ある木」という条 件を兼備しているものが多い。
その代表的な材に 伊勢神宮の御山杉、春日大社の春日杉、日光杉、 霧島杉(市房杉、狭野杉を含むこともある)等が ある。
特徴と用途

スギの材幹はきわめて通直で円形に近く、枝下が長く、 一般に枝は細い。
樹冠の形は、円錐形であるが、成長が 衰えると先端が丸くなって卵型を示すようになる。
葉は細い針のような形で、つけ根に向って太く、枝につ ながり、長くはないが二十㎝になるものもあり、互い違 いについている。
花は、同じ樹に雌花と雄花がつく雌雄同株で、雄花は前 年の秋に生れ、翌年の三月に円筒形で先の丸い黄褐色の 長さ十㎝、直径三㎝くらいの花が開く。
この円筒に雄ず いという切れ目が、螺旋状にたくさんついていて、その 隙間にヤクという四十五ケの袋があり、これが割れて花 粉をたくさんまき散らす。
これが花粉症の原因となるも ので、風に運ばれて雌花と結合して実をつける。
実は十 月頃に松かさのように成熟し、一つ一つの木質のクサビ 形のウロコの下に三十五ケの種子を隠している。
種子は 長さ五㎜、幅二㎜で風に乗るための狭い翼をつけている。
材は辺材と心材の区別が明瞭で、辺材はほぼ淡黄色、心 は濃い目の桃色から暗赤褐色、黒褐色まである。
俗に淡 紅色のものをあかじん、黒褐色のものをくろじんと呼ぶ が、あかじんは、日時とともに黒褐色を帯びるものもあ る。
早材から晩材への推移はおおむね急で、年輪幅の広 狭やその整・不整は成育の過程によって様々で、大きな 差異がある。
木理は通直で、年数を経るにつれて年輪幅 は狭くなる。
板目の木理は典型的な山形をしていて肌目 はやや粗い。
柾目は細かく細い平行線が並んだような材 ほど良いとされ、年輪幅が密で均一に並び、糸を敷き並 べたような材を糸柾と呼んでいる。


材質もまた天然木と植栽木による差異が大きく、成育の 場所、地方等の条件によっても差が生ずる。
気乾比重は 平均して0.38前後で比較的軽く軟らかなため、切削・ 加工等は容易であり、表面仕上げの良否はおおむね中庸 である。
乾燥は比較的容易だが割裂性が大きく、心材の 保存性も中庸だが辺材は低い。
また、繊維方向の縦に加わる力に対して強く、木理が通 直であること等からして建築用材として柱などに適して いる。
さらに、水や虫などにも比較的強いので、外壁や 雨戸に使うことが多い。
そのほか、スギ材特有の芳香性 も大きな特長のひとつとなっている。
スギ材の利用の歴史は古く、その範囲も広い。
建築用材 を主としながら土木用材、容器、機具、包装、楽器、経 木、彫刻など広い用途を有している。
建築材としては柱、 母屋、大曳等の角類、敷居、鴨居、廻縁、竿、根太等の 小割物、腰板、床材、野地板、天井板等あらゆる用途に 使われる。
この中でも銘木としての秋田杉、吉野杉、屋 久杉、春日杉、魚梁瀬杉等は、年輪の通直性、細密性、 美麗な模様や光沢を生ずる木肌等が賞揚され、銘木の中 でも大きな位置を占めている。
その多い用途は床柱、柱、 天井板、欄間、腰板、戸障子等で、赤味材の鴨居、長押、 廻縁、竿等にも重宝されている。
このほか京都北山や奈良吉野の紋丸太・磨丸太もその色 艶と紋の見事さから、若齢植栽木ながら銘木として扱わ れている。
このようにスギは、優れた材ではあるが、天然林は減少 し、計画伐採で供給が絞られている。
銘木級の寺社木や 植栽木も大径木が減少している上に、戦後の人工林は、 数十年での伐採が基本とされていたため、百年以上の中 径木も少ないのが現状である。
従って稀少化しつつある大径木を有効に、かつ大切に使 うことと、百年、二百年を要する後継樹の育成に力を注 ぐことが必要となっている。

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