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自然の摂理と明日を拓く日本のこころ

和の食と住が教えるものは何か


● 1人ひとりが問われる転換期 世界と日本は今大混乱の中にあります。20世紀が蓄積してきた矛盾と反自然行為 が抜き差しならない大問題として表面化しています。 狂牛病問題や遺伝子組み替え問題然り、シックハウス症候群然りです。それに世界 は今、テロの誘発を口実にした戦争に世界を巻き込まれ、戦争の20世紀への逆戻り です。 噴出する問題は枚挙にいとまがありません。まさしく歴史の転換期における矛盾の 集中的表出というべきでしょうが、それだけに正しく対処しなければ、歴史の逆戻り 、人類の破滅につながりかねないものです。 歴史の転換期は、その時代に生きる1人ひとりに在り方と生き方の選択を求めます 人々の選択が全体の方向性を決めるのであって、政治や支配者に決定権を持たせては いけないのです。 かつて第2次世界大戦の時に、研究に没頭していた学者が、研究室から出てきたら 戦争が終わっていたという話がありましたが、今はそんな脳天気なことを行っておれ る時代ではありません。社会の動きと無関係で生きていることは100%できない時 代です。 日々の食事も水も家も危険がいっぱいですし、街でも乗り物でもいつ何が起きるか わからない時代です。 あなた任せ、成り行き任せではなく、道理と真相をしっかり見極め、判断し、生き、 行動しなければならない時であり、それが21世紀をどんな世紀にして行くのかを決 めると言っても言い過ぎではないと思います。
●エゴと競争が戦争をつくる 数限りない矛盾を生んだ20世紀の問題は何だったのか、どんな時代だったのか。 本誌では21世紀に入った最初の第15号特集「21世紀を素晴らしい時代に」 のその(1)「人類の新しいステージをつくる21世紀」の中で、20世紀が"戦争" と"破壊"の時代であったことを指摘しながら、戦後日本の政治的・政策的意図と問 題を整理しましたが、もう少し突っ込んで考えてみます。 20世紀を支配したのは「近代」という妖怪であり、その主役は「資本」でした。 「資本」は飽くなき利潤の追求で自己増殖しますが、これは「資本の意志」による ものであるということを、国際アナリストで軍事評論家でもあるサンラ・ワールド㈱ の増田俊雄さんが言っています。 そして、その「資本の意志」の代弁者である国際金融財閥(多国籍企業資本)が資 本主義体制と社会主義体制を操り、その盟主としてのアメリカと旧ソ連による直接的 な支配というのが20世紀の支配の基本的な構図でした。 この近代を貫く原理は、エゴによる競争でした。競争の大規模で過激なものが戦争 で、20世紀は、2つの世界大戦を中心に戦争に明け暮れた世紀で、世界各地に大量 の死者と負傷者、貧者と難民をつくり出し、今なおおびただしい戦禍の跡を残してい ます。 なぜこれほどまでに世界各地で戦争が繰り広げられたのかを見ないわけにはいきま せん。 戦争には必ず仕掛人である死の商人(国際金融財閥)がいて、米ソが背後で武器・ 物資の供与を行っているという図式がありました。民族紛争や権力争いの内戦であろ うと、戦争のキッカケは挑発であったり、謀略であったり様々ですが、決して避けら れない必然ではなかったのです。残虐な戦争の結果がどうであれ、相争わせることで 死の商人たちが肥え太ってきたのです。戦争が治まって武器・弾薬の貯蔵が増えると 何処かで戦争が仕組まれたのが20世紀でした。 米ソの対立図式がなくなった後は、キリスト教とアメリカの支配を受けつけないイ スラム教とイスラム国家に敵対関係を求めていると言えるでしょう。 今回の戦争は、最高の防衛システムを誇るはずのアメリカの金融と軍事の中枢部へ のテロを誘発し、「リメンバー・パールハーバー(真珠湾を忘れるな)」と同じように 「リメンバー・WTC」「リメンバー・ペンタゴン」で世論を操作し、昨日までの敵さ え抱き込み、昨日の味方(手先)を敵に仕立てたものです。 この戦争は、特定できる国とは違い、目に見えない敵である反テロ、反イスラムで すから、従来のような勝利の方程式はなく、長期化の予測と同時に、不安要素と危険 がいっぱいです。

このような戦争に対し、何等の主体性を見せることもなく、唯々諾々として追従す る日本政府の姿勢は、歴史に問われることになるでしょう。 この戦争の背景にあるのも溜まった武器・弾薬の消費と、腐朽しきったアメリカと 資本主義経済を武力で切り抜けて延命させること、ドルの低落で威信の落ちたアメリ カの地位を取り戻すことにあるようです。 こうした戦争の本質と背景を見抜くことが大切なのですが、同時に見抜かなければ ならないのは、どうして一般人を含む大量の殺人を行い、平然と悲劇をつくり出すこ とができるのかについてです。 このような神経は、自然と親しむ森の民・農耕民族 には見られないものです。 これは本誌第19号特集「2極化するのか日本の住まい」のその(2)「洋風住 宅に流れる思想と日本の木の家づくり」その他でも書いてきたように、自然と敵対す ると同時に他民族支配・隷属化を本性とする砂漠の民・狩猟民族のなせるワザです。 テロの根源を探れば、十字軍による侵略と圧迫以来、アングロサクソンとユダヤか らの迫害を受け続け、貧困を強いられてきた深い苦しみと怒りがあります。死ぬこと で苦しみから解き放され、神から認められるという思想が生まれる背景がここにあり ます。 他民族支配と貧困化は20世紀に一段とすすんでいます。アメリカでは僅か1%の 富者が90%の富を占めるまでに富の集中と貧困化がすすんでいますし、世界中で貧 困者の数は増加の一途を辿っています。日本も例外ではなく、極貧者が増加している 以上に圧倒的国民の実質生活水準の低下が続いているのです。 20世紀を振り返ると、戦争に代表される資本の集積と利潤追求のためのエゴ丸出 しの競争の時代であったことがわかります。 それを当たり前のように受け入れさせているのが西洋文明・西洋合理主義による支 配であり、洋風文化が全生活と意識を支配しているのです。 エゴ的になればなるほど、企業も人も目先の利益しか考えなくなってしまいます。 自分だけの欲と快楽、僅かばかりの自尊心と自己満足を求め、人間関係を育てられな くなり、殺伐とした社会になってしまいます。
●狂牛病を呼んだ反自然行為 エゴと競争が呼んだ社会的問題は数知れずあるのですが、ここで触れておきたいの が狂牛病や遺伝子組み替えの問題、化学物質の問題です。 遂に日本にも狂牛病が発生し、狂牛病の羊も発見され、感染者が出るまでに至りま した。 公害、薬害については厚生省(現厚生労働省)の腐敗と責任が厳しく問われなけれ ばなりませんが、狂牛病は農林水産省と厚生労働省です。 早々と牛肉の安全宣言が出されましたが、事態はそれほど単純なものではないはず です。 肉骨粉は輸入していないから被害の拡大はないと発表していますが、輸入統計では イギリスからの肉骨粉は1990~96年間で333t輸入されています。その後肉 骨粉の項目は見当たらなくても、それと同等の骨粉は大量に輸入され、肥料にも飼料 にもエキスにも使われています。その対象は牛だけでなく豚、羊、鶏から人間まで及 んでいます。 統計によれば、イギリスからの骨粉のこの10年余の輸入量は別表の通りです。9 5年までは年間平均86tだったのに対し、イギリスはじめ欧米が肉骨粉を禁止した 96年からの輸入量は数十倍に急増しています。
  欧米が禁止して以降の急増を農林水産省が知らなかったのではなく、肉骨粉でない ということで黙認していたことは明らかで、行政責任は重大です。 同時に、金儲けのためには後の取り返しのつかない被害と危険をも顧みない商社や 取扱業者の責任が問われなければなりません。肉骨粉と同等の骨粉と知りながら使用 してきた畜産業者や食品メーカー等の非人間性も追求されるべきでしょう。 狂牛病を引き起こす肉骨粉の特定部位は、牛の脳、脊髄、眼球、小腸の一部とされ この部位を使用していなければ安全と言われていますが、この病気はタンパク質の一 種「プリオン」の異常型が病原体で、神経組織やリンパ組織に蓄積されますから、あ まり単純に特定部位を定めることができるのかという疑問も残ります。狂牛病につい てはまだ謎が多いとされていますが、はっきりしていることは草食動物に肉食させた ことが原因であることです。 これらの被害が今後発生しないという保証は何ひとつないのです。量により、対象 により、食する人により発症と潜伏期間に差が出るのは当然です。公害等を見ても5 年、10年、数十年後の被害も少なくなく、その多くが因果関係を立証できないとい うことで悲劇と怒りを数多く生んでいます。 これが、エゴによる競争、利益至上主義の近代=20世紀の姿を示すものであるこ とは明らかです。 しかし、ここで本当に考えるべきことは、肉骨粉を動物の飼料にしたりすることの 本源的な誤りです。 牛や豚などは草食動物です。草食動物に反すう動物の肉や骨を食させることで生産 性をあげようとする商業主義、利益主義で、本来あるべき自然の営みを変えたことが 問題なのです。 人間が自然をつくったのではないのですから、人間が自然の掟に背くばかりか、自 然の掟をつくり変えようとした結果としての狂牛病問題であることを知らなければな りません。 人間を生んだのは自然です。自然の子は、自然に従ってこそ正しく生きられること をもっと正しく認識し、自然の原理をすべての行為の中で貫くことこそが21世紀の あるべき基本の初歩です。
●遺伝子操作は悪魔の反自然行為 自然と敵対し、自然を征服・支配しようとする狩猟民族が生んだ西洋文明は、自然 の仕組み、自然の掟、自然の摂理さえも作り替えようとします。 狂牛病問題はその最たるものですが、これに類した問題をいくつか簡単に触れてお きます。 そこには、遺伝子研究がすすんだことから発した問題があります。遺伝子組み替え 食品やクローン動物・クローン人間づくりです。 遺伝子操作による生物種づくりが、自然の営みにどのような被害をもたらすかがま ったく考慮されず、解明もされていないのです。 狂牛病は、草食動物に肉食をさせたという単純な反自然行為ですが、遺伝子操作は もっと傲慢な自然への挑戦です。 遺伝子組み替え食品について言えば、この種子で作られた穀物等は、1代限りです 実った種子からまた新しい世代が育てられるというのが種族保存という自然の循環の ひとつの姿です。遺伝子組み替えはこの自然の摂理を人為的に否定し、毎年穀物メジ ャー(多国籍企業)から種子を買わされることになります。遺伝子操作をして富を収 奪・集中させようとするメジャーの策略であることを見抜くことが必要です。 ヨーロッパなどでは、肉骨粉と同じようにすでに遺伝子組み替え種子の使用を禁止 している国が数多くありますが、日本の農林水産省や厚生労働省は、被害が確認でき ない間は安全だという考えです。これは、単に行政上の怠慢という次元の問題ではな く、被害が表面化するまでは、アメリカと多国籍企業の利益を庇護し、言いなりにな るという本性を示すものでしかありません。 ここには、遺伝子組み替え食品が、近い将来に人間の脳、細胞等に取り返しのつか ない被害をもたらす可能性への危惧も研究対策もないのです。 自然の摂理に反し、穀物メジャーを太らせ、後に取り返しの付かない被害を生む可 能性を持っている遺伝子組み替え食品も直ちに使用を禁止し、正常な農業へと返らな ければなりません。 クローン研究もまた然りです。クローン牛やクローン豚がすでにつくられ、クロー ン人間の研究さえすすめられています。 植物でさえ遺伝子操作が問題なのに、人間や動物の遺伝子を操作することは決して 許されるべきではない行為であり、自然への冒涜です。 人間が自然をつくったのではない、人間も自然が生んだものであることを繰り返し 強調しなければなりません。 人類史上における遺伝子操作は、品種の改良や交配などとして行われてきています が、それはあくまでも改良であり、人間に役立ち、自然の営みの範囲内のものが基本 でした。 今日の遺伝子操作は、植物であれ動物・人間であれ、狩猟民族の思想、西洋文明下 での悪魔の研究、悪魔の実験による利潤追求でしかないのです。
●地球上の異物が問われる時代 自然に背く行為の許されざるものについて見てきましたが、20世紀の西洋文明に よる科学と化学は、あらゆる分野で本来自然界にはないものを数限りなく、しかも大 量につくり出してきました。 人々は、それを科学の進歩の成果と評価し、それによって豊かさを享受できたとし ています。 その面は否定するものではないにしても、その結果が生んだ問題や矛盾も計り知れ ないほど大きく、多いことに目を向けなければなりません。 とりわけ考えなければならないのが、人間をはじめとする地球上の生物に害を及ぼ すもの、自然の生態系や循環のサイクルを壊すもの、自然に還れないものなどです。 自然界にはもともと存在していないこのようなものは、必ず禍いをもたらすことに なります。 人類が生んだ最大の危険物は原子力です。広島・長崎の原爆は、その破壊力の凄ま じさを如実に物語り、熱と放射能汚染の被害を今なお根強く残しています。原発事故 も知られている通りですが、日本はまだ建設を推進中です。原水爆も製造され続け、 地球上に徘徊しています。 原発だけをとっても、いつ事故が起こるかわからない危険があり、廃棄しても危険 を永久に残したままで、大地に還ることができないのです。 近代科学と化学の進歩は、死と隣り合わせの危険物を無限に近いくらいつくり出し てきました。その上に華やいだのは、見せかけの豊かさでしかないのです。 この程度までは許されるという危険の度合いが問われているのではなく、人間が地 球にとっての異物をつくり出す行為が問われるべき時代になったのです。

 

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