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木材の疑問・質問に答えてなんでも Q&A

監修 佐道 健

なぜ日本の林業は衰退したか


何故、国内の林業がこれ程不採算になってしまったのか。

安い外材だけが原因ではないと思うが。


大変難しい問題ですし、答えにくいことの多い問題ですので、私的 見解として述べることにします。
まず、原因と責任はどこにあるかですが、私は全部だと思っています。
政府と政権党、林野庁、林業と木材関係、建築関係、これら林業、木材と 建築に関わる全てが、日本の住まいづくりと産業、林業を長期的視野で見 ることなく、目先の対策と利益しか考えていなかったことにあると言わざ るを得ません。
まず、政府と政権政党は、戦後復興と日本の将来への基本姿勢を、アメ リカへの追従と大企業の育成に置き、国民と中小業者、地場産業をむしろ 犠牲とする諸施策をとってきたことです。
その最も顕著な例が住宅の洋風 化の推進と大手ハウスメーカーの育成です。
ここから、鉱物資源や石油等を原料とする工業資材への転換、木材使用 量の減少、特に柱類と床・壁用等の木材使用量が激減することになりまし た。
建築工法と建築様式の大転換は、木材使用量の減少にとどまらず、家づ くりの中心であった大工・工務店を圧殺するもので、洋風化への対応は、 後継者の育成を困難にし、価格・工期・見栄え・宣伝力でハウスメーカー の後塵を拝させられ、衰えさせられることになり、木造住宅づくりの減退 の直接要因となりました。
これはすべて政府の基本政策の結果と言うべき ものです。
次に林野庁は、市場への影響が極めて大きかった国有林材販売において、 価格設定の基準で誤りを犯していることが第1です。
銘木クラスは市場や需 要との関係で価格(指値)がつけられていますが、柱用等の人工林材の単 価設定が、立木になってからの伐採時の経費から算入するという計算方法 を取りました。
そのため、地ごしらえ、植林、枝打ち、下刈に始まる伐採以前の費用が 計算されない仕組みになり、民間の林業経営を著しく圧迫することになり ました。
(その後の立木販売では無償ではなく、入札制がとられています が、材価を変える力とはなっていません)  さらには森林組合等への助成を始めとする各種補助金制度の恩恵を得て 販売される材価が、補助金を受けられない業者の経営を圧迫したことも否 定できません。
第2の誤りは、このような材価設定による林業の圧迫の上で、昭和33年 から河野農林大臣の大号令で1千万haの国土にスギ、ヒノキ、マツの人工 林計画が実施されたことです。
このことで山の自然な姿や里山の樹が伐採されたり、水害を呼び、水源 涵養力が低下した上に、幼木の成長を待つことになりました。
ある面では 安い外材導入の地ならしとも言えるものでした。
40年代に入ると年毎に輸入木材の量が増加し、45年には50%を超え、 今は80%近くにまでなっています。
この40年代からすでに日本の林業が急 速な衰退に向かいはじめ、国有林野事業も特別会計制度の矛盾が表面化し ていたにもかかわらず、日本の林業を守る抜本対策は打たれませんでした。
次に木材界はどうであったかを見ると、昭和30年代からの住宅の洋風化 誘導に際し、木造住宅づくりの推進で対抗するのではなく、需要に応える ためとばかりにハウスメーカーに追従し、部材提供業化への道を走るとこ ろが主流化してしまいました。
それは均質な良材(見た目の)の大量供給を求めるもので、価格競争に 走らざるを得なくなり、安い外材導入を積極的に、むしろ大歓迎して迎え ることになりました。
大手メーカー追従化を木材業界が強めれば強めるほど、木の家づくりの 舞台から遠のくことになり、日本の林業にも目を向ける業者が大幅に減っ てしまいました。
さらに建築関係者の多くも洋風住宅論に走り、建築教科でも木材や木造 住宅を学ぶ機会の多くが失われてしまいました。
この中で工務店も業容の 転換や規模の見直しを迫られたところも多く、大工の育成もなおざりにな ってしまいました。
この下で林業は、出材をしても材価が安く、採算がとれなくなり、育林 を放棄する林業家も多く生まれ、手入れのされない人工林の山々が無残な 姿を見せるようになりました。
育林施業の経費が出ない、間伐材を出しても人件費さえ出ない。
そんな 山村からは若者も消えて行くという悪循環ですが、林業家自身がこの悪循 環を打ち破る動きも部分的なものでしかありませんでした。
村おこし、特 産品づくりなどをすすめるには力と数が及ばなかったところが多かったと 言うべきだと思われます。
こうして、これらの工務店、林業・木材関係業者はこの30年間で、40% 前後が姿を消しました。
このように全ての要因が絡み合って日本の林業が衰退の途を辿ってしま ったと言えるでしょう。
その最も大きな責任と要因が政治にあることは言を待ちませんが、その ことを声を大にして叫んでも今は空しいだけです。
いま迎えようとしているのは21世紀です。
20世紀の矛盾をとやかく言う ことより、その本質を見抜いた上で、新しい時代をつくることを考えるべ きだと思います。
その主役は政治ではありません。
一人ひとりが意識を変えることから始まります。
木の文化を取り戻そう、 日本の木の住まいづくりの輪を広げよう、地場に根ざして施主と施工主と 材料生産者が一体になった住まいづくりこそ本道だという声と動きを強め ようというこが大切だと痛切に感じています。
(編集室T・S) ベニヤは強いのか?

合板には本当に耐久性があるのでしょうか。
種類も多いようですし、

住宅にも使われていますが大丈夫でしょうか

現在、日本で作られている合板には用途、目的により特殊なものと、 一般的な普通合板に分類されます。
また、この普通合板には、化粧合板 (表面に天然木ツキ板や印刷化粧紙を貼ったもの)から、コンクリートを 型に流し込んで固める型枠合板、建築材のなかで構造耐力上主要な部分に 使用する構造用合板、難燃処理加工した難燃合板、さらに消防法の制限に 合致する舞台などの大道具、設備用の防炎合板があります。
普通合板の中には、原料を主に南洋材のラワン等で作ったラワン合板と、 北洋材のカラマツなどを原料にした針葉樹合板に分けられ、最近の資源供 給の変化から、南洋材から次第に針葉樹へと代わりつつあります。
耐久性についての質問は、厚さが細かく分かれているほか、合板が使わ れる部署の頻度でも耐久性の差があります。
普通は、農林規格(JAS) に沿って作られ、単板の剥離を防ぐ接着剤が使われ、品質の安全性は極め て高いものばかりです。
わが国で合板生産が盛んになった昭和30年代の初期に製造された壁面材 や床板が、現在でも十分機能を発揮しています。
「合板は接着剤で固めた 資材だからバラバラに離れる」先入観は不要です。
合板を使用するに当たっては、その箇所によって要求される耐水、耐湿 性が異なりますので、その箇所に適した合板を使うことが必要になります。
普通合板のタイプ1は「沸騰水中で4時間煮沸後、60度で20時間乾燥させ、 再度4時間煮沸してから所定の引張り強度を有しているもの」で、これ以上 の強度を求められる場合は「特類」があります。
タイプ2は、「60度の温水中に3時間浸した後、所定の引張り強度を有し ている」ので、それ以下の耐水性で問題のないところは、タイプ3がありま す。
用途に応じたタイプの使用が求められることになります。
腐食を防ぐために防腐処理をしますと、防腐剤が毒物のため浸み出して 二次汚染につながる危険性も考えられます。
また、最近、ホルムアルデヒドの問題がやかましくなり、F1、F2の ホルマリン規制が強化されています。
ノンホルマリン合板を使えば確かに 安心ですが、ホルマリンが除かれているため新たに虫害が発生する危険性 が出てきました。
合板は価格が安くて使いやすさが魅力となって幅広く利用されてきまし た。
しかし、原料が南洋材熱帯産広葉樹のため、地球上の環境を保護する 見地から資源保護への世論が高まってきました。
従って、南洋材を原料に した合板づくりにも様々な規制が強められ、わが国での合板製造が厳しく なってきたわけです。
その合板の代替に、最近ではMDF(中比重木質繊維板)やパーティク ルボード(削片板)、OSB(オリエンテッド・ストラッド・ボード=配 向性ボード)が建築、家具などに向けた供給が行われています。
これらは 膨大な設備により製造されるため、メーカーは限られています。
これらは合板の代替素材ですが、素材の持つ性能に一長一短があり、合 板以上の心くばりが必要です。
日本で利用されている木材全般を捉えた材質データをまとめたホームページです。掲載されているデータは、針葉樹か広葉樹かどうか、学名、英名、標準和名、別名・地方名、分布地域、比重、収縮率(接線方向、半径方向)、曲げヤング係数、縦圧縮強さ、縦引張強さ、曲げ強さ、せん断強さの14項目です。検索方法は、学名で調べる、英名で調べる、和名で調べるの三通りあり、基本はフレームを採用していますが、フレーム無しでも利用することができます。基にしているデータは、日本材料学会「木材化学工業辞典」の資料作成のために、京都大学佐道先生を中心として行われた実験によるものです。 ホームページは 世界の木材905種 材質一覧 です。
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