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人類の新しいステージを創る二十一世紀

自然と日本らしさが時代を切り拓く

人類の新しいステージを創る二十一世紀
自然と日本らしさが時代を切り拓く
●〝戦争〟と〝破壊〟の時代、20世紀く
 そこで、まず、「21世紀を素晴らしい時代に」というのはなぜかを明らかにしなけれ ばなりません。
 それは、20世紀型、戦後型のシステム全体の矛盾が限界に来ており 、これ以上20世紀の延長線上ではすすむことが出来ないし、許されない現実があるか らです。
 20世紀は概括的に見れば、資本の意志と論理の下で、アメリカを盟主とした〝戦争 と破壊〟の世紀でした。
西洋文明観で洗脳されて唯物論を信じ込まされ、人間の傲慢 さを増長させながら、競争原理でエゴ・我欲を追求してきたのが20世紀です。
 その結果が地球と人類を滅亡に近づけた環境破壊、健康破壊でした。
偉大な発展 を遂げた産業も科学も飽くなき利潤の追求に利用され、核の危機まで地球上につく り出してしまいました。
 日本の戦後は、この競争原理と我欲追求を正当化し、順応させるために、その妨 げとなるものを破壊し、除去することが必要でした。
 認め難い向きもあるかと思いますが、戦後の占領政策にはじまる一連の動きの中 にそれを見ることができます。
●競争社会への地ならしの戦後政策  その第一に集中的に見られるのが、日本のこころ、民族性、「大和魂」を消し去る ことでした。
日本らしさほど、異文化で日本を支配しようとする上での最大の障害 だったのです。
そのために、国民の精神的支柱であった天皇を具象的な存在・象徴 としたことに始まり、学校教育、マスコミ、スポーツ・芸能、産業界を総動員して 日本的なものをことごとく否定して、洋風化へと走らせたことなどはその代表的な ものと言えます。
更にこの支配政策をすすめるための法制化やGHQ指令が矢継ぎ 早やに発せられました。
共産党・社会党・労働組合の左翼勢力の育成とマルクス主 義かぶれが排出され、革新を名乗りながら天皇制反対、憲法擁護、個人主義的権利の 拡大、唯物論の絶対視などが吹聴されました。
これと併せて衣食住の洋風化が押し すすめられ、それらの総称として「進歩的」、「革新的」、「近代的」という名がつけ られたのです。
 
第二に競争原理に従うようにと行われたのが、多量の国民の無産化=プロレタリ ア化です。
私的所有が豊かであれば競争の土俵に上がる必要はなく、第一次産業・ 地場産業が栄えていれば、国民性・民族性を壊せず、新興大企業の育成がおぼつか ないからです。
そのために、財閥解体・山林田畑解放に続いて自営農業や自営業者 を押し潰し、法規制で地場産業を締めあげて無産化へ押しやり、都市へ労働力を駆 り立てたのです。
その労働力を労働者階級として誇るように煽動し、権利意識だけ を強くさせたのも労働組合と左翼政党でした。
 次いで第三に見られるのが、思考回路を西洋合理主義に変えることでした。
これ までの日本的な思いやりや人のためという考え、助け合いの心、阿吽の呼吸では競 争ははじまらないということで、新しい判断の尺度として持ち込まれたのがエゴに よる損得勘定と科学的という合理的判断基準でした。
 まだ未成熟で、物心二元論の枠組みの中で超マクロや超ミクロを探知できず、事 象の断面しか捉えられない科学を絶対化して信じ込ませたのです。
この枠からはみ 出た宇宙の真相や精神に関わる問題、人類誕生以来の縄文期までの高度な精神文化 の歴史などが隠蔽されたり、捏造されたりし、情報が操作されてきました。
 この近代科学はすでに至るところで綻び、どんどんそれが乗り超えられており、 この21世紀の近い将来には近代科学の枠組みが取り除かれるでしょうが、その科 学を絶対的なものとして、そこからはみ出ることを許さない「常識」で支配されて きたのです。
この科学至上主義が自由な探求心や根源への接近を阻み、何につけて も白か黒かの決着を求めるようになったのです。
医療に代表される対症療法で悪い ものを叩き、取り除きさえすれば良しとする考えが蔓延したのも科学至上主義によ るものからでした。
 第四にあげられるのが人間の尊大視と自然支配の思想です。
地球上の究極の生き 物として出現した人間は、他の動物達よりはるかにすぐれた特異な能力を持ってい ることを西洋思想で歪め、全知全能の神の子としての人間観を植えつけ、人間が自 然を支配することに何の疑問も持たないようにされてしまいました。
それが自然破 壊、資源の掠奪、地下核実験を許し、自然と断絶した家づくりを礼讃することにな ったのです。
いつの間にか、人間はすごく偉くて、自然を支配するだけではなく、 自然をつくりかえることが許されるとさえ思わされてきたのです。
エンゲルスの有 名な著書である「フォイエルバッハへのテーゼ」の中には、人間が他の動物と違う のは、最初は自然環境に順応するが、やがてそれをつくりかえることができること を変革的実践と書いています。
ここにはユダヤ教の思想を受けた西洋文明のひとつ の基本的な考え方を見ることができるようです。
 戦後に代表されるこのような20世紀の考え方や価値観の下で、自然も環境も国土 も破壊され、エネルギーはもとより、食料や木材をはじめとする資源類をも70%以 上輸入に依存するようになってしまいました。
 経済も資本と競争の論理の下で富の集中と集積がすすみ、企業淘汰やリストラの 嵐が吹き、勝者と敗者、富者と貧者に分けられ、圧倒的な人々の犠牲の上に繁栄が つくられ、バブル崩壊の負債もまた国民に押しつけられたのです。
 経済成長と繁栄のための競争社会は・モノ・カネ・欲・で人々の心を支配し、人 間らしさやこころの豊かさを踏みにじり、心まで破壊してきたのです。
豊かな心や 人間らしさ、良心などというのは、競争と破壊の支配の本質を見抜く邪魔者でしか ないからなのです。
近年の多発する凄惨な事件や利己主義・ジコチュー人間の増大 などを生んだものこそ競争社会による心の荒み、家族関係の崩壊、教育の歪み、マ スコミの低質番組とセンセーショナリズムな報道などによるところが大きいと言え るでしょう。
●〝蘇生〟〝再生〟〝共生〟の21世紀  このように矛盾を拡大しながら膨張してきた資本主義も80年代末からその矛盾を 隠しきれないところへきたのです。
 資本主義の発展の支え役であった社会主義体制の崩壊、アジアと日本のバブル崩 壊に始まる金融経済システムの崩壊、自民党一党独裁の崩壊、戦後の発展の依りど ころとなっていた株価、地価、銀行などのあらゆる神話が崩壊し、官僚支配の弊害 と腐敗ぶりが露呈されました。
アジアのバブル崩壊を画策し、アメリカに資本を誘 導した演出もすでに限界を過ぎ、転落の途を下り出しています。
 資本主義的発展は、自ら生み出した矛盾の拡大によって終焉へ向かわざるを得な くなっているのです。
ボロボロの政治・経済・官僚体制が限界を迎えているだけで なく、危機的な環境問題、退廃と無軌道化のすすむ社会、人心の荒廃など、社会の あらゆる面で矛盾が極限まで膨張しているのです。
 戦争・競争・破壊の20世紀と資本主義は、21世紀の舞台に残ることはできないの ですから、その枠組み・価値観・常識を延長させることは許されないのです。
地球 と人類の存続のためには、21世紀型の新しいシステムと価値観を打ち立てるしかあ りません。
   20世紀が戦争と破壊の世紀で、地球と文化まで破壊させて、数知れぬ矛盾を膨ら ませて歴史の舞台から去ったのですから、迎えた21世紀は、まず〝蘇生、再生〟と 〝共生〟を基本的な性格とせざるを得なくなっています。
 破壊されたものを蘇らせ、失わせられたり押し潰されたものを再生し、競争と対 立によってもたらされた矛盾を共生によって乗り越えることなしに、地球と人類の 未来を語れなくなっているのです。
 蘇生させなければならない緊急課題は自然と環境であり、再生すべきは人間らし さであり、「和」と「愛」を育んできた日本のこころ、日本らしさです。
そして、人 も、企業も、国々も手を携えてすすみ、自然とともに生きる共生の姿をつくることで す。
 この命題の下で提起される21世紀初頭の基調が「自然との調和と共生」「人間らし さと心を育て」「本物主義を貫く」ことにあることは、本誌第12号の特集「21世紀の 基調を考える」以降、折りに触れて書いてきた通りです。
●荒廃から蘇生へ向かわす日本らしさ  そこで、改めて日本の現実を見て欲しいのです。
 人間が自然を支配するとか人間のために自然があるという西洋文明の傲慢さを受 け入れてきた結果が、恐ろしいほどの環境と健康の破壊、国土と山林・農地の荒廃 、ゴミの山です。
生態系バランスを崩し、生物種の絶滅を早めさせています。
山林 にしても有用木材を乱伐するだけでなく、3分の1を人工林にしたことで林業を成 り立たなくして、多くの死に山をつくり、林業を疲弊させたばかりか、自然の循環 機能にも異変を呼んでいます。
まさしく地域産業・私的所有者の没落とプロレタリ ア化、外国産材の輸入化への政治的リードであったことがわかります。
 徹底した地場産業の破壊と日本の文化の破壊のために住宅の洋風化を強力に推進 し、新興大企業の育成、地下資源の輸入化をはかり、家づくりと住まい方において も日本らしさを否定して、西洋化がすすめられたのです。
 芸術さえ含むあらゆる文化がアメリカ風の西洋文明に席巻され、日本的なものが すみに追いやられたのです。
しかも、伝統的な日本の精神文化に心を寄せなくするよ うに、「古い」「時代おくれ」と日本らしさを迫害し、上古代に始まる縄文期までの文 化を闇の中に押し込んできたのです。
 この現実を見れば、21世紀のすすむべき方向が自ずと明らかになってきます。
 能う限り自然の蘇生化をはかり、科学と化学に頼らず、木を切りながら木を植え、 山を育てなければなりません。
 木は、立っていて人間の生存を支える役割と、切られてから人間生活を支える役 割を持っているのですから、木をたくさん切って炭素化合物でいっぱいのまま100 年、200年上手に使うことです。
そして、切った以上に新しい木を育てることで、 環境を育て、人間の生存条件を良くするという考えに徹することが大切になってき ます。
 切った木を最も有効に使うのは、やはり家づくりに供することです。
行政やメー カーの語る家づくりは、平均25~6年の消費住宅ですが、大地に根づいた、木組み の日本の家は100年、200年を生きる家です。
 日本の文化の掘り起こしや学習がいよいよ大切ですが、生活の拠点であり、ここ ろをつくる家が、日本らしくあれば、和の文化の再興をより早くしてくれるのです。
(住まいと住む人の心の関係は、別の機会に改めて考える予定です)
      
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