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自然の摂理と明日を拓く日本のこころ

和の食と住が教えるものは何か


●自然を超えられない近代科学 この視点から近代の建築物と家を見るといかに空恐ろしいかということが見えてき ます。 20世紀の建築材料の主力は鉄とコンクリートでした。巨大なビルの林立する様は 近代都市、近代化の象徴のようなものでした。 コンクリートジャングルの都会に華があるかのように夢を持たせ、大量の労働力を 飲み込んでますます肥大化した都会。コンクリートジャングルはますます巨大化し、 近代を象徴するかのように科学の成果を結集した超高層ビルが建てられました。

高層階ほど人間の生理に反して行くことは、高層階に住んでいる妊婦ほど身体から 異変が生ずることが研究によって明らかにされているように、人間の生理は地表で生 活するようにつくられているのです。 この詳論は別に譲りますが、超高層ビルというのは人間(地上の生物すべてですが) にふさわしい所ではありませんし、本来の地球の景観に馴染むものではないのです。 それが近代のひとつの象徴、先進国の姿のようにされているのです。 このコンクリートジャングルの粋で最新のテクノロジーを集めたアメリカの心臓と も言える2つのセンタービルがテロで崩壊しました。その煽りの振動で近隣のいくつ かの高層ビルも倒壊してしまいました。 これは、いかに科学の力を結集しても、ある程度の力が加えられれば、非常に脆く 危険な代物であるかを示しています。 しかし、それ以上に身の毛のよだつのは、崩壊したビルの骨組みの残骸と収集しき れないコンクリート屑の山です。この地の整理が完全に終わるのはいつの日なのか予 想もつきませんが、鉄筋コンクリートとガラスの高層ビルが生んだ恐怖と不気味さが あります。 だからテロを憎み、反テロを組織するという政治的行動とは別の次元で考えれば、 テロでなくても、自然の怒りの猛威があれば、いつ崩壊するかもしれない危険を持っ ているのがコンクリートビルであるということです。 狩猟民族の石の文明観が行きついたひとつの姿としての超高層ビルの思想が、その 終焉を示唆しているのが今回の事件とも言えるでしょう。 旧約聖書創世記には、バベルの街に天まで届けとつくりはじめた塔が、その高慢な 行為を怒った神によって壊されたという「バベルの塔」の話があります。それさえも 忘れた高層ビルづくりは、西洋思想と資本、そして一部の建築家の傲りでしかありま せん。 宙空に価値を求め、それすらも支配しようとしたのが20世紀でした。超高層ビル 飛行機や人工衛生、情報通信などがそれですが、テロによるビル破壊は、何が本源的 な価値なのかを考えろと言っているようです。
●自然に還れない化学品の有害性 戦後を語る上で欠くことのできないのがエネルギー転換政策で、石油に代表される 化石燃料が中心に据えられました。同時に廃油をはじめ、エネルギーとして使用しき れないものの利用研究がすすみ、化学の力で塩化ビニール、ナイロン、プラスチック その他の製品が大量に作られるようになりました。石鹸や化粧品、各種溶剤にもたく さん使われ、身のまわりは化石燃料を原料とした製品だらけです。 これ以外にも化学によるものが数知れず作られていますが、これらが建築資材とし て大量に使われているのも戦後の建築、洋風住宅のひとつの特徴です。 大地に還ることのできないのが化学的に作られたものの持つ根本的な問題です。製 造段階で大量のエネルギーを消費して有害ガスを放散し、使用中にも微量の有害ガス プラスイオンを発散させ、刺激が強くて有害な波長の短い光や音・電磁波を反射させ ます。 火災による死亡の大きな原因は、これらが燃焼時に出す有害ガスによるものですが 、科学と化学の進歩は、被害の結果を考慮することなく利便性と利潤を追求したもの で、薬剤や農薬を含むその大部分は自然界の異物です。 自然が生んだのではないものは自然に還れないのは当然のことで、自然に還れない ものは、自然と自然の子に害毒となるものです。 コンクリートにしても化石燃料資材にしても、不自然を超して反自然の材料とも言 えるもので、その被害の可能性は限りなく大きいと言えます。 自然の生んだ人間の住む家は、自然と共生したものであるべきですが、そこに使わ れる材料もまた自然の素材であってこそ健康と人間らしさを育てることができるので す。 石の文化を最良とする狩猟民族が、どのような文化をつくっていくのかは、他者が 論評すべき問題ではありません。大切なことは、森の民・農耕民族としての文化がど うあるべきかであろうと思います。
●肉食は農耕民族に適さない 20世紀後半の日本は、すべての面で西洋文化を受け入れ、西洋文明に支配されて きました。 以前も書いたように文化の根幹をなす衣食住の主流はことごとく近代化という名で の洋風化でした。 狂牛病の問題について前述しましたが、これは食の洋風化による肉食の普及による 肉の消費量の増加とも大きな関連を持っています。 ここには大きく見て2つの問題があります。 ひとつは、農耕民族が長く続けてきた食文化による身体の組織構成から考えれば、 日本民族に肉食は必ずしも適していないことがあげられます。それに歯には1本ず づの役割があることが指摘されているのですが、それによれば炭水化物、野菜、肉類 の割合は5:3:1が適していると言います。その肉類も牛肉・豚肉だけでなくタン パク質類と考えられるものですから、肉類の量は僅かが適していることになります。 もう1つの問題は、肉食の増加が及ぼす農業の問題です。1食150g前後の肉食 を摂るために必要とされる穀物はその10倍が必要とされますし、水は12倍必要と 言いますから、肉食の増加は食糧不足を招く原因にもなり、水の大量使用にもつなが ることになります。 これらのことから見ても、狩猟民族ではない日本の食の基本は、農耕民族にふさわ しく、米を中心に野菜や魚貝類と少々の肉類というのが、健康にも、食糧の面からも 適していると言えるのです。 ですから、なんでもかんでも近代的だ、先進的だと言って洋風化を取り入れたこと が、むしろ問題だったと言うべきなのです。
●心身の健康を破壊する洋風住宅 そこで肝心の住の問題です。 本誌では、第19号に至るまで機会ある毎に洋風住宅観の問題や洋風住宅の問題を 色々な角度から取り上げて批判してきました。特に第19号の「2極化するのか日本 の住まい」では、洋風住宅に流れる狩猟民族の思想が、森の民・農耕民族の思想とは 根本的に違うこと、その洋風思想に基づく住まいがなぜ日本に適さないかについて論 証してきました。 洋風住宅が日本に適さないというのは、自然を断絶したつくりが、高温多湿な日本 の気候・風土には適していないことが一般論の基本にあります。 ここから生まれる問題が、住宅の腐蝕・老朽化の早さであり、住み人が自然と同化 して育てるべき自己治癒力の低下、気密化による室内汚染物質やダニ・ほこりの充満 からくるアレルギー性疾病などです。 それ以上に問題なのが、自己治癒力の低下やアレルギー疾患とも絡んでいる不定愁 訴と呼ばれる現代病を生むことです。コンクリートと化学物質でつつまれた住まいは 肉体的脆弱化と同時に精神的不健全さを増長し、神経障害さえ生むことになります。 思考力や考察力の低下、情緒不安定などと同時にすすむ神経障害が、暴力や殺人まで を生むことになるのです。 しかも、個室化、子供室づくりなどがすすめばすすむほど家族の絆が弱まるどころ か断絶がすすむことになります。これは、個人主義・利己主義を住まいを通して追求 する結果として出てくる問題でもあります。 洋風住宅の問題のすべてをここで語るものではありませんが、肉体的にも精神的に も健康を破壊し、和のこころを封殺しようとするのが洋風住宅だと言って言い過ぎで はないのです。
●自然に従い、本然に還る 食と住の面だけから洋風化の問題についてのポイントとなることをあげたのですが 最近の問題の根っ子には戦後の洋風文化によってもたらされた弊害や矛盾が数知れず あることがわかります。 テロも戦争も、狂牛病も遺伝子組み替えも、コンクリートジャングルも化石燃料や 原子力も、気密化で病気を呼び家族の絆を断ったのも、すべてが西洋文明の支配によ るものであり、洋風文化と科学至上主義がもたらしたものです。 エゴによる競争・利潤追求の資本主義経済、対立と孤立化での人心の荒廃、ますま す太る数%の富者とますます増大する貧者、荒れ行く自然と破壊される環境・・・。 西洋文明の支配が続く限りこれらの矛盾は解決されることがないのです。西洋文明 の支配は、日本の文化を破壊しただけではなく、西洋文明圏の人々をも苦しめ、国々 を破壊しているのです。 この混乱と混沌から抜け出し、21世紀と人類の未来を明るく希望に満ちたものに するには、人々が人間としての本然に還るしかありません。 それは、繰り返し呼びかけているように"人間を生んだのは大自然である。人間も 自然の子・宇宙の子である"ことをしっかりと認識することから始まります。 自然の子は、自然の摂理、自然の道理に従うのが本来の姿です。 船井総合研究所の船井幸雄会長がことあるごとに語り、著しているように、自然は 開けっぴろげで隠しごとがなく、すべてが調和して共生し、助け合っています。そし て単純で無駄がなく、融合し、循環して成生発展しています。 この自然の下で生み出された人間は、地球上の究極の生物として、地球のすべてを 守り育てる使命と自らの魂の成長を課せられて生きているのです。 地球と自然を大切にし、自然と調和しながら共生し、生きとし生けるすべてに責任 を持つこと。そして、自分の存在に確信を持ち、役割を考え、めざめ、自分らしさ (アイデンティティ)を確立して、良心に従って生き、魂を成長させることが本然と 言えるのではないでしょうか。 そして、これこそが超古代から続く日本のこころなのです。 日本のこころを受け継ぎ、そのこころをもって日本の未来を語り、文化を育てるこ とは、新しい21世紀の日本をつくる道であるだけでなく、競争と戦争に明け暮れ、 傷つき貧困化する世界を新しい時代に導くことにもなるのです。 住まいづくりに関連する私たちにとって、日本のこころ、和の文化の柱のひとつで ある木の家づくりを広げることが、いよいよ重要な責務であると同時に、急がれてい ると言えるでしょう。 木に親しみ、自然に親しみ、和のこころの通う家をつくることを通して、人々の心 の中にやさしさと思いやりを育て、「愛」と「和」の日本のこころを育て広げること ができるのです。 時代が大きく揺れています。戦火が広がろうとし、人間と人間が殺し合い、地球生 物の存在にも危機が広がり、環境と人の心が荒み、明日を求めている今だからこそと の思いで緊急特集を組みました。 戦争と食と住を主にしたこの緊急特集の最後に、かつて日本を訪問した科学者アイ ンシュタインが、帰国後の1922年に書いた予言のメッセージ(詳細は本誌第12 号を参照して下さい)を再度紹介します。
●〈予言のメッセージ〉 世界を導く者 世界の未来は 進歩するだけ進歩し、 その間に 幾度か戦争が繰り返されますが 最後に 戦いに疲れるときが来ます そのとき人類は 世界を 真の平和へと導いてくれる者を 探し出さなければなりません その世界を導く者は 武力や金の力による者ではなく あらゆる国の歴史を抜き超えた もっとも古く また尊い家柄の者でなければなりません 世界の文化は アジアに始まって アジアに帰ります それはアジアの高峰 日本に戻らなければなりません 私たちは 神に感謝します 私たちに 日本という 尊い国を 作っておいてくれたことを アルバート・アインシュタイン

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