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21世紀へ木の家づくりの輪を広げよう

価値観の転換が未来を拓く極限まで矛盾を膨らませた20世紀

20世紀は、人類史上に例を見ない画期 的な発展の時代でした。
地中深くまで穴を掘り、宇宙にまで飛 び出し、地上は近代化で溢れ返っていま す。
地球の裏側と瞬時にして会話が出来、 映像が届き、空中にはあらゆる情報が飛 び交い、交通と通信の発達は、地球を小 さく狭くさえしています。
その中で、実 体経済では5兆円しか1日に動いていな いのに、1日の世界の通貨取引は200兆 円という架空の世界まで広がっています。
 日本を見れば、明治維新以降、いくか の戦争を経て急成長し、第二次世界大戦 後、アメリカの支配下で大変貌を遂げ、 経済大国の仲間入りをするまでになりま した。
この大変化と発展は、人類史上から見 れば数千年、数万年の変化に匹敵するほ どの凄まじいものですが、同時にその裏 で、数えきれないほどの多くの矛盾と問 題を生み出し、それを極限まで膨張させ てきました。
 その最たるものが地球環境の破壊と汚染です。
地球温暖化の進行は世界的な気 象異変を呼び、干ばつと洪水、寒波を生 んで甚大な被害をもたらしながら、より 激しく進行しようとしています。
オゾン 層の破壊は、近代化によるフロンガスの 使用が原因ですが、その僅か10数%の 作用で大きな穴をあけ、その拡大を止め る術もなく、地球生命の危機を招いてい ます。
エネルギーや鉱物・森林などの資源の 枯渇も深刻な問題で、石油をはじめとす る膨大な化石燃料の使用は温暖化の主因 となっています。
その上、化石燃料を原 料とする建築用その他の製品が廃棄・焼 却されることで生ずるダイオキシンなど の環境ホルモンは、生物の正常な営みと 成長を狂わせてきています。
科学がもた らした豊かさが、同時に自然破壊をもた らしています。
再生不能にまで減少した 資源の数々や温暖化、環境汚染と自然破 壊は、地球環境の危機的な異変を呼んで いるのです。
 経済を見れば、先進国ほど膨大な財政 赤字を子孫に押しつけながら、まだ経済 成長を追い求めています。
アメリカの貿 易赤字と財政赤字は膨れ上がる一方で止 まりようがないにもかかわらず、ダウは 狂乱価格で、年明けからの乱高下は、い よいよバブルの最後に近づいた姿です。
 日本の財政赤字は、とっくに危険水域 を超えて600数10兆円にまで達してい ます。
国家予算の8倍もの借金を国民と その子々孫々に押しつけようとしている のですから、政治と行政に日本の未来図 を描く能力は皆無と言ってもいい状態で す。
バブル崩壊以降の経済システムの崩 壊さえも、打つ手打つ手が後手であり、 逆効果となっているのです。
経済システ ムを正常化する方策は、現下では望むこ とさえ難しくなっています。
社会を見れば道徳や倫理観も低下し、 荒廃と腐敗、退廃を生み、悲惨な事件や 非人間的所業が続発して、マスコミがそ れを喧したてることで形を変えながら全 国に飛火しています。
教育現場と行政の モラルの低下も目を覆うばかりで、明る い社会への報道は陰を潜めています。
薬 害、公害は次々と表に出てきます。
国家予算の3割を医療関係費に充てながら、 病人は増え続け、現代医学では完治する ことのできない奇病、難病が発生してい ます。
   世界の人口の九割以上の人たちが飢え ているのに、一方では飽食の時代です。
食料危機の進行と人口問題はいよいよ深 刻です。
 これが20世紀末の現実であり、解決 するどころか、ますます矛盾を膨らませ、 その極限にまで来て、まだ矛盾を拡大さ せながらもがいている状況が今です。
 「これではいけない」という多くの想 いがありながら、20世紀は何の打開策も 打ち出せずに終末を迎え、崩壊の度を早 めているのです。
 多くの地球学者や環境問題の専門家、 国連や環境庁をしてまで、このままでは 21世紀初頭の地球の崩壊、人類の滅亡の 危機が迫っているとの警告があるにもか かわらず、20世紀という時代は、その解 決の方策も示せず、解決のための機能を 働かせることもできずにいます。
 何が20世紀をここまで矛盾だらけに 追い込んできたのかを考えないわけには いきません。
20世紀を貫いてきた西洋合理主義、経済至上主義  結局、20世紀を貫いてきた基調にあっ たのは、エゴによるモノ・カネ・欲の追 求、あくなき利潤の追求でした。
そこに は、競争を善とし、勝者と敗者、強者と 弱者、富者と貧者、支配者と被支配者の 存在を当然とする思想、そしてその思想 によるモノサシですべてを割り切る合理 主義がありました。
 これが、戦後50 余年に集中的に表現される20世紀と、 この2~300年の「近代」の姿です。
そ して、その「近代」を突き動かしている ものこそが、あくなき増殖を求め続ける 「資本」の意志であり、それに従う「資 本主義」の論理の行き着いた姿なのです。
 20世紀に発展と隆盛を極めた「近代」 工業化社会=資本主義は、その発展の結 果として矛盾を生み、拡大し、腐朽して 危機的状況を作り出して限界を迎えてき ています。
そして自ら衰退と崩壊へ向か わざるを得なくなり、現状を維持しなが ら終焉へのソフトランディングを始めて いるのです。
 「近代」という妖怪は、資本の代弁人 を操り、一方の側に資本主義を、もう一 方の側に共産主義を作り出し、対立させ、 争わせることで肥大化をすすめてきまし た。
しかし、共産主義は、自己矛盾に陥 ち入って崩壊し、資本主義もまた矛盾を 増大させ切り、20世紀とともに崩壊し、 21世紀に矛盾の解決を委ねるしかなく なっているのです。
20世紀的思考や手法、価値観では、今 日の極限にまで膨らんだ矛盾を解決でき ないことは明白で、新しい価値観での社 会の枠組みと秩序づくりが必要となって きています。
 この「近代」を支配してきたのは、言 うまでもなく西洋文明でした。
 西洋文明を特徴づけるものは、唯一絶 対神の宗教観を根っ子に持った自然対 決・自然支配の思想です。
その思想に基 づく西洋合理主義での競争による飽くな き利益の追求であり、そのための資源の 乱掘・乱伐、大量生産、大量消費、自然 と弱者の支配でした。
そしてこれを合理 化し、正当化する法制度、政治、経済、 文化、教育、マスコミの統制と支配でし た。
 環境の破壊と汚染、資源の枯渇、 民族支配、貧富の差、バブルと不況、経 済不安、気象異変、地場産業の荒廃、教 育の荒廃、社会不安の増大などをはじめ とする今日の矛盾の数々を呼んだものこ そが、この西洋文明の支配にあったこと を見逃すことはできません。
 西洋文明によって突き動かされてきた 「近代」は、その発展の結果として地球 と人類の深刻な危機を進行させ、極限の 矛盾を膨れ上がらせて2000年を迎えて います。
 そして、この危機と矛盾を解決する処 方箋も意志もない「近代」は、10年前の 共産主義の崩壊に始まり、次々と腐朽と 崩壊を呼び、資本主義に代表される制度 そのものへの崩壊へとすすんでいるので す。
「近代」自身が崩壊へのシナリオしか 持っていないだけでなく、危機と矛盾の 進行が「近代」継続を否定しているので す。
「近代」の価値観と枠組みの継続は、 地球の死滅、人類の滅亡へのシナリオで しかないことは「近代」自身が認めざる を得なくなっています。
 「近代」を代表する20世紀の終結は、 そのまま「近代」の終焉へとすすむしか なくなっています。
  2000年は大転換の真只中の年  2000年の今年は、20世紀が生んだ数々 の矛盾を整理しながら21世紀を準備す る年とならざるを得ません。
その転換の 過程としての混乱を伴う年となることも 必至です。
同時に21世紀をシンボライ ズする事象、現象がより顕在化し、21世 紀の姿が見えてくる年ともなるようです。
 20世紀とともに社会の舞台から降り はじめた「近代」・西洋文明の基調となっ ているものが自然支配、自然との対決で あり、ここからの矛盾と崩壊であったこ とを見れば、次に来るものは、生きとし 生けるすべて、存在するものすべてに神 仏が宿ると考える多仏神信仰で、自然と の調和と共生、自然との親和を基調とす る東洋と日本の文明こそが表舞台に立つ のは必然となってきます。
京大名誉教授の村山節さんが説き、同 じく京大名誉教授の岸根卓郎さんが発展 させた東西文明交代説は、文明には必ず 寿命があることを明らかにしています。
文明がその宇宙エネルギーを使い果たす 期間がその文明の寿命で、800年周期で 東西文明が交代していると言います。
紀 元前4400年から正確に800年周期で7 回の交代を繰り返し、2000年が8回目の 交代期になることを解明しています。
文明の交代は、800年目の1年にある のではなく、始まりから完成まで100年 を要すると言いますが、とりわけ1985 年からの30年間が中心であることは、 90年代の激変に見る通りです。
その中で も最も大きな転換がすすむのは2000年 を挟む数年ですから、この2000年は、 文字通り20世紀の大掃除をする年であ り、新しい世紀の扉を開く年という意味 を持たされているのです。
 今日もまだ矛盾は膨らみ続けています が、この打開と解決のカギは、21世紀的 思考、価値観にこそ握られています。
公 共広告機構のコマーシャル放送さえもが 「捨てる20世紀」から「活かす21世紀」 へと言わざるを得ないように、大量に使 って大地と大気と水を破壊・汚染し、捨 てて環境ホルモンをばらまいてきた20 世紀を自嘲しています。
また、某メーカ ーは「20世紀に置いて行くもの、21世 紀に持って行くもの」とコマーシャルを 流していますが、まさしくそれは、置い て行く20世紀的な価値観、育てるべき 21世紀的価値観と言えるのではないで しょうか。
 正月のNHK教育テレビで、100年前 の予言家たちの夢と予言が取り上げられ ていました。
フランスの学者が漫画で予 測し、予言した科学万能主義の負の部分 の拡大による核の危機や新たな難病、廃 棄物問題が予言通りの世紀末となってい ます。
 このように、20世紀が生んだ様々な極 限の矛盾の解決を緊急課題とする21世 紀では、過去の延長線上での価値観や思 考、手法では、解決の糸口さえも見い出 せないのです。
西洋文明による資本主 義・共産主義の近代思想、物心二元論に よる近代科学、資本の論理では解決でき ないことが明らかになっているのです。
   この時代を歴史的大転換期と言うのは、 この2000年を挟んで「近代」が、新し い意志と意識に変わるしかなく、新しい 価値観と社会の枠組みへの転換を必然と しているからです。
そして、その転換の 方向を示す21世紀の基調をしっかり受 け入れて方向と視点を定め、21世紀をめ ざすことが求められています。
21世紀初頭の基調は・自然との調和と共生・新人間主義・本物主義  では、その21世紀初頭の基調とは何 かということになりますが、それはとり もなおさず、20世紀が残した諸矛盾を克 服し、解決することを課題とし、新しい 社会の価値観と秩序をつくるものとなら ざるを得ません。
 そこから考えるならば、21世紀の基調 の第1にくるのは"自然との調和と共生" です。
20世紀が残した最大にして緊急の 課題は、破壊され、汚染された環境を守 り、回復させ、育てることにあります。
しかも、資源の減少と枯渇を考えるなら ば、再生不能な資源の使用は最少限に抑 え、再生可能な資源は大きく育てながら、 循環可能な範囲内での使用に止どめるこ とが必要になります。
 そのために求められる考え方が、自然 調和型・自然共生型の東洋文明にあり、 森林調和的な日本本来の思考です。
それ は、自然が主人公で、人間も自然の産物 であり、自然に生かされているという思 想に立ち返ることにあります。
 自然を壊さず、資源を有効に生かし、 再生可能な範囲で利用させてもらい、再 生産する。
浪費せず再利用する。
自然の 秩序と循環を損なうことなく、自然の摂 理に従うという存在の仕方を貫くことが 必要となります。
 このように自然と調和し、自然に従い、 自然と共生するという基調に立たない限 り、21世紀初頭に危機的状況となる環 境・資源の問題での破滅のシナリオから 脱することはできないのです。
 第2の基調となるのは"心を大切にす る""人間らしさを大切にする"ことにあ ります。
   20世紀は、西洋文明と西洋合理主義に よるエゴと競争の時代でした。
物心二元 論が心の問題を置き去りにしてきたこと で、地球上の全ての存在にある心を無視 して支配したばかりでなく、人間の心ま で踏みにじり、人間らしさを奪おうとし てきました。
 その下ですすんだ心の荒廃、殺伐とし た人間関係と心が生んだ数々の悲惨な事 件やモラルの低下、貧富の差の拡大、歪 んだ様々な競争と他民族支配、そして環 境破壊。
これらは、経済至上主義ではどうする ことも出来ず「21世紀は経済から心の時 代へ」と言われるまでになっています。
 新しい人間主義により、心の通い合う 人間関係へと次元を高め、自他同然で愛 と互恵の精神による人間らしく生きる世 の中を作ることなしに、様々な矛盾と問 題を解決に向かわせる土壌はつくれない のです。
 第3の基調となるのは"本物主義"" です。
 20世紀は「売らんかな」「儲けんかな」 の、企業のエゴから資源を掠奪して、企 業の視点からの製品を大量生産し、購買 欲を煽って売りつけてきました。
その下 で公害も生み、粗悪品も横行し、数多く の被害を生みました。
製品寿命は短年化 し、住宅までもが平均寿命25年の商品 として売りまくられるようになりました。
 企業も商品も前提は利潤の追求で、人 もエゴと欲で動かされるようになり、安 心や健康をはじめ、生活者の立場での良 いものは考慮の対象ではありませんでし た。
 21世紀に求められるのは、逆に、世の ため人のために役立ち、経済的でマイナ スがなく、喜びを広げる本物こそが主役 となる時代です。
 転換期のこの時代の混迷と激動の下で 次々と生み出されているのが21世紀を シンボライズする本物商品、本物企業、 本物人間であり、これまでの常識では考 えられない"ビックリ現象"の数々です。
この"ビックリ現象"の中にこそ新しい 時流が生きています。
人も企業も商品も 本物が求められるのが21世紀です。
 このように21世紀は"自然と調和と 共生の時代""心の時代、新人間主義の時 代""本物の時代"となる必然性を持って いるのです。
 1人ひとりが意識と視点をこの21世紀 の基調に合わせて問いかけ、生き様を考 え価値観を転換して21世紀の扉を開く 2000年をつくる心構えこそが大切にな っていると考えます。
 この基調こそが今日の煩悶や矛盾で混 沌とし、激動する時代から、未来を切り 拓くパスワードと考えています。
家づく りや住まい方もまた、この視点から捉え ることなしに21世紀を展望できないと 考え、念頭に当たり、2000年を真に意味 のある年にすることを願って論考しまし た。
 ここから、「なぜ木の家づくりが21世 紀の主流になるのか」を考えてみたいと 思います。
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