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平井信二先生の樹木、木材研究

ブビンガ属の樹木(その2)
6.オバンコールの概要
 オバンコールGuibourtia ehie J.LEONARD(異名Copaifera ehie A.CHEVALIER)はリベリアから東方へガボンに至る熱帯西アフリカ産である。リベリアでpia- pia、コートジボアールでamazakoue、hiebaka、zouloue、ガーナでhyeduanini、anokye、ナイジェリアでkaluk ofuon、カメルーンでovangkol、赤道ギニアでovangkol、palissandro、ガボンでovangkol、ovengkolという。
 高さ30~50m、直径50cm~1mになる大高木で、樹幹は円柱状で通直、枝下高は20~25mに達し、高さ2~2.5mまでの狭い板根が出る。樹皮は灰色などではほほ平滑である。托葉はよく発達し長さ2cmまであり、しばしば残存性である。
 葉は2個の小葉が対生する複葉で、小葉は狭い半月形など、長さ3~7.5cm、幅1.5~3.5cm、鋭尖頭、基部は円形、全縁である。中肋は著しく上縁片寄り、下側基部から側脉2~3個が掌状脉様に出て、その上部中肋に側脉2~3個がつく。ほぼ紙質である。葉 柄は長さ5~6mmで、小葉柄は無い。
 花は白色で小さく、短い穂状につき、それらが長さ10~20cmの円錐花序の細い総花序軸に間をおいてつき、これが頂生または腋生する。豆果は広楕円形などで長さ3.5~6cm、幅2.5~3.5cm、広い円頭、基部は楔形、扁平で薄く、紙質で、表面に網状の脉 理が現れる。黒色に熟し裂開しない。中に種子1個を含む
7.オバンコール材の組織、性質と利用
 オバンコールの材については、ドイツの雑誌「Holz als Roh-und Werkstoff」30巻、8号に詳細な研究が発表されている。これと他の文献の記載を参考にして要点を記す。
 材は散孔材。辺・心材の区別はほぼ明瞭で、辺材の幅は4~10cmあり灰白色から淡灰褐色を呈する。心材はほぼ褐色であるが、しばしば黄緑色を帯び、また黄緑色~黒緑色の不規則な縞が出る。木理は通直または浅く交走し、肌目は中位である。
 道管は単独のものが多く、また2~4、ときに6個までが接続する。単独道管の断面形は円形~卵形で、その最大径は0.17~0.23mm、道管の分布数は3~7/mm2である。単せん孔をもつ。接続道管の間の相互壁孔の径は0.006~0.007mmでベスチャー ド壁孔である。中にときに白色のチョーク様物質を含む。
 材の基礎組織を形成するのは放射面に有縁壁孔をもつ繊維状仮道管で、その長さは0.8~1.6mm、径は0.015~0.02mm、壁厚は0.003mmほどである。隔壁繊維は見られない。
 軸方向柔組織では、周囲柔組織は多く翼状柔組織に発達し、また放射方向に3~6細胞層の帯状柔組織(ターミナル柔組織?)が不規則な間隔で現れる。多室結晶細胞があるが多くない。放射組織は1~4、ときに5細胞幅で、3~4細胞幅のものが多い。その 構成は平伏細胞からなる同性である。シリカは含まれない。
 材の気乾比重に0.62~1.00の広い範囲の記載があるが、多くは0.75~0.85程度と思われる。生材から全乾までの全収縮率は接線方向6.6~9.8%、放射方向3.6~5.3%を示す。心材についての強度数値に次の値が求められている。縦圧縮強さ826(541~1, 091)kg/cm2、横圧縮強さは放射方向238(169~349)kg/cm2、接線方向285(158~604)kg/cm2、縦引張強さ1,448(581~2,836)kg/cm2、曲げ強さ1,571(938~2,060)kg/cm2、曲げヤング係数17.2(10.3~22.3)×10(4)・kg/cm2、せん断強さは放射断 面204(159~249)kg/cm2、接線断面222(134~274)kg/cm2、ブリネル硬さは横断面6.2(4.3~8.2)kg/mm2、放射断面3.1(1.7~3.9)kg/mm2、接続断面3.3(2.5~4.3)kg/mm2。
 乾燥は遅いが注意をすれば狂いが出ることは割合少い。乾燥後の寸法は比較的安定している。製材はあまり問題はなく、切削加工はやや困難であるが仕上げ面は良好である。スライス単板切削は可能である。接着性は普通で、釘打ちは前穿孔を要する。
 心材の耐朽性がかなりあるというのと、低いというの両方の評価がある。心材への防腐剤の注入は困難である。
 高級家具、キャビネット、建築内装、フローリング、旋削物、寄木などに素材およびスライスドベニヤで用いられ、walnut(クルミ)の代用材に有望と見られている。ただし供給量はあまり多くない。  
8.ギニア・コーパルノキ
 ギニア・コーパルノキ(コボノキ、シエラレオネ・コーパルノキGuibourtia copallifera J.BENNETT(異名Copaifera copallifera O.KUNTZE、Copaifera guibourtiana BENTHAM)はギニア、シエラレオネからコートジボアールに至る熱帯西アフリカに分布する。近縁属のコパイパバルサムノキCopaifera officinalis WILLDENOWなどと同様にコーパル採取のため、ナイジェリアその他でも植栽されている。英名をGuinea copal tree、Sierra Leone copal tree、kobo treeという。
 高木。葉は対生する2個の小葉からなる複葉で、小葉はやや細長い半月形、長さ6~8cm、鋭頭で鈍端、基部は楔形、全縁である。中肋は著しく上辺に片寄り、基部から下側に掌状様に3個ほどの側脉を出す。豆果は横臥した歪んだ楕円形で、長さ4~5cm、 上端近くに嘴状の小さい凸出部をもつ。
 心材は褐色などで芳香があり、器具材などに用いられる。樹幹に滲出する樹脂を掻きとり軟質バルサム状のコーパルすなわちコパイパバルサムが得られる。また埋没していた化石樹脂のものもある。これらはGuinea copalまたはSierra Leone copalである。工業用ではワニスなどの塗料の製造に用いられ、また石けん、化粧品の香料になり、薬用では粘膜の炎症に使用される。  
9.ベンジェ
 ベンジェ(ムテニエ)Guibourtia arnoldiana J.LEONARDはシエラレオネからカメルーン、コンゴを経てアンゴラに至る西アフリカギニア湾沿岸地帯に分布する。英名をolive walnut、仏名をtropical oliver、カメルーンでkouan、ogbon- eli、ガボンでnom-eyen、コンゴでntene、ザイールでmutenye、benge、mbengeなどという。
 高さ25m、ときに30m、直径80cmになる高木で、樹形はあまり良くない。枝下は12~15mあり、高さ1~2mの板根をもつ。樹皮は煉瓦紅色で、基部近くで割れ目が入り細長い薄片になって剥げる。葉は2個の対生する小葉からなる複葉で鎌形を呈する。豆果 は小さく楕円形で扁平、中に種子1個を含む。
 材は散孔材。辺・心材の区別はほぼ明らかで、辺材の幅は5~7.5cmあり黄白色など、心材は黄褐色、帯緑褐色、褐色で灰黒色の縞があり、ときに紅色の樹脂を含む条線が出る。木理はときに交走し、肌目は精である。
 道管は単独および2~4個がおもに放射方向に接続し、分布数は10~18/mm2、径は小さく0.02~0.18mである。せん孔板は水平に近く単せん孔をもつ。材の基礎組織は繊維状仮道管または真正木繊維が形成し、その径は0.015mmほど、壁厚は0.004mmほどであ る。
 軸方向柔組織では、周囲柔組織の発達が比較的少く0~3細胞層、翼状になるもので接線方向に5細胞まで連なり、また道管孔2~3個を含む運合翼状柔組織になるものがある。ターミナル柔組織は放射方向に1~3細胞層である。少数の多室結晶細胞が現れる 。柔細胞の径は0.02~0.04mm、壁厚は0.001~0.002mmである。放射組織は1~3、ときに4細胞幅、4~45細胞高で、その構成は平伏細胞からなる同性である。シリカは認められないが、細胞中に樹脂様物質を含む。
 材の気乾比重に0.70~1.00の範囲の記載がある。収縮は比重に対応した値を示す。強度では横引張強さがきわめて大きいので裂けにくく、衝撃には脆いとされている。切削加工はやや困難であるが、仕上げ面が良好で、寸法の安定性がある。カゼイ ン接着剤による接着が不良との記載があり、塗装性は良好、釘打ちは困難である。心材は耐朽性がある。
 オバンコールGuibourtia ehie J.LEONARDの材に似ているが、それよりやや重く、肌目は精である。家具、キャビネット、建築内装、フローリング、旋削物その他に素材およびスライスドベニヤの形で用いられる。ビリヤードのキュー、織物の巻心など特殊の用途をあげている記載がある 。ザイールからヨーロッパ諸国ヘの輸出がある。  
10.コパリエ
 コパリエGuiboutria coleosperma J.LEONARD(異名Copaifera coleosperma BENTHAM)はザイール、アンゴラ、ザンビア、ローデシア、ボツワナ、ナミビアにわたるアフリカ中部から南部のカラハリ地域の乾燥開放林に生ずる。英名をcopal wood、Rhodesian copal wood、Rhodesian mahogany、Rhodesian teak、large false mopane、仏名をcopalier、ザイール、アンゴラでmushibiという。
 高6~20mの常緑高木である。樹皮は初め黄白色などで平滑であるが、しばしば暗褐色~黒色の斑状のフレークになり、老大木では全体的に暗黒色の粗い裂片化した肌となる。若枝は著しい紅色を呈する。葉は対生する2個の小葉からなる複葉で、小葉は 卵形、やや湾曲して鎌状になり長さ3~10cm、幅2~4cm、鋭頭で鈍端、基部は広い楔形を示す。中肋が上辺に片寄って著しい左右不同である。無毛で下面に腺点がある。側脉は8~10対あって、葉縁近くでループになり互いに連結する。小葉柄の長さは4~ 7mmある。
 花は小さく黄白色で、頂生の疎らな円錐花序または複成の頭状花序につく。豆果は小さく円形に近い。長さ2~3cmで、褐色~暗褐色、木質である。遅くなって裂開し、片側の弁片が反曲して1個の種子をひきはがすようにあらわす。種子はほぼ円形で、 径は1cmまで、紅色から紅褐色で、黄色の仮種皮をもつ。このものが糸状の柄で外に垂れ下がる。
 材は散孔材。心材は紅褐色などである。木理は交走し、肌目はかなり精である。材の気乾比重に0.50~0.80の記載がある。材はふつうやや重硬で、心材は耐朽性がある。材が美しいので家具、建築内装、フローリング、とくにパーケット・フローリング などの装飾造作材、また構造材、枕木などの用いられる。現地民はカヌーに用いる。材を市場でRhodesian mahogany、machibiという。
 種子と仮種皮は食用とする。種を炒って粉としたものはKing Bushman族の主要な食糧である。葉は咳の薬など、樹皮は皮膚病に、根は傷の薬に用いられる。  
11.チャカーテ
 チャカーテGuibourtia conjugata J.LEONARD(異名Copaifera conjugata MILNE-REDHEAD)はザンビア、モザンビーク、ローデシア、南アフリカのアフリカ東南部の開放林に産する。英名はsmall false mopane、tso tso tree、取引名でchakateという。
 高さ7~9mの小高木である。樹皮は灰白色ないし帯褐色で、ほぼ平滑またはフレーク状となる。葉は対生する2個の小葉からなる複葉である。小葉は卵形でほとんど湾曲しない。長さ3~5cm、幅1.8~3.6cm、円頭、基部は著しく左右不同の広楔形など を示す。全縁で僅かに波状となり、中肋は甚しく上辺に片寄り、下側の基部から掌状に3個ほどの側脉が出て、それらは辺縁で連結したループとなる。小葉柄は無く、葉柄は長さ8~12mmある。
 花は小さく白色~黄白色で、疎らな円錐花序または複成した頭状花序につく。豆果はほとんど円形で長さ約4cm、幅約3cm、扁平で薄い。革質で淡褐色を呈し裂開しない。種子に仮種皮はない。
 材は散孔材。辺材は淡黄色、心材は紅色系で褐色の縞がある。道管は小さく径は0.05~0.07mm、分布数は20~25/mm2である。材は重硬で、加工はやや困難、心材は耐朽性がある。家具、建築内装材、フローリング、柵柱などの土木用材その他に用途 がある。葉は牛の飼料となる。  
12.Gibourtia hymenaefolia J.LIAN
 Gibourtia hymenaefolia J.LIAN(異名Copaifera hymenaefolia MORICAND、Pseudocopaiva hymenaefolia BRITTON et WILSON)はキューバ産で、同地でcaguairan、quiebrachaという。
 小~中高木で、2個の対生する小葉からなる複葉をつけ、小葉は斜形を呈し革質である。花は腋生の総状花序について小さい。豆果は短く扁平で、裂開して種子1個をあらわす。種子は光沢ある黒色を呈し、短い仮種皮をもつ。
 辺・心材の境界はきわめて明瞭で、心材はややにぶい紅紫色を呈し、帯状柔組織によるきわめて微細な縞がある。木理は不規則で、肌目は精、材に匂いと味はないかまたは著しくない。材の気乾比重に1.33の記載があり、石のようにきわめて重硬で強い 。加工は困難であるが、仕上げ面はきわめて平滑である。耐朽性は著しく高いことで知られている。柱や梁などの建築構造材、枕木その他に用いられるが、地方的のほか重要でない。種子を食用にするという。  
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