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平井信二先生の樹木、木材研究

フカノキ属の樹木(その2)
6.タラバフカノキ
 タラバフカノキの学名は Schefflera heterophylla HARMS で、異名に Heptapleurum heterophyllum SEEMANN,Schefflera junghuhniana HARMS がある。マレー、スマトラに分布し英名はgreat-leafed ivy palm,マレー名akar chabang lima という。高さ4mまでの低木~小高木である。フカノキ Schefflera の種類のほとんどが3~11個の小葉からなるととのった掌状複葉を持つのに対し此の種は著しく違った構成をしている。全体の長さは60~120cmの大きな複葉であるが下部の葉で3~4回3~5出の掌状様複生、上部の葉で2~3回の同様の掌状様複生となる。それはタラノキAralia elata SEEMANN の葉に似た感じ羽状複葉の様態が混じったもので、掌状複葉の中央1個または3個の小葉相当部分のみが長柄その先端で同様の複葉化が繰返されるものである。個々の小葉は長楕円形などで形と大きさに変化があり長さ5~18cm、鋭尖頭、ときに先端近くで1 ~2個の切れ込み様の鋸歯がある。花序は頂生の長さが30~60cmある大きな複生の円錐花序で花軸分枝に10~15個の花からなる小散形花序が総状につく。花軸は黒色に近い色を呈す。花弁は褐色で早落性である。果実は長楕円形で長さ6~10㎜、5個の隆条 があり黄色から暗褐色に熟する。  
7.Schefflera roxburghii GAMBLE
 インド北部、バングラディシュ、ビルマからマレー半島にかけて広く分布する種類で、Schefflera venulosa HARMS または Heptapleurum venulosam SEEMANN として諸書に記載されているものの多くはこれに当たるという。インド名 kathsemal,dani,ネパール名  singhata ビルマ名 myauk letwa,taukte letwa,balu letwa がある。よじのぼり性の低木で気根を出す。樹は灰色。掌状複葉は5~6個の小葉からなり小葉は長楕円形、楕円状皮針形などで長さ10~20cm、鋭頭、基部は鈍~円形、全縁である。花序は大きな複生の円錐花序で花軸分枝に小散形花序が不規則な総状につ き、その小花序柄は長さ1.3cmほどあって個々の花の小花柄より遥かに長い。小花序は約10個の花よりなり花は黄緑色または黄白色で5~6数性である。D.BRANDIS の記載によれば雑性花(両性花、雄花、雌花が混じる)であるという。果実に5隆条がある。材は淡褐色で軟らかい。  
8.アジア地域のその他のフカノキ属の樹木
 熱帯、亜熱帯のアジア地域あるいはその周辺に多数のフカノキ属の種類を生ずるが、そのいくつかをあげる。
 (1)トガリバフカノキ Schefflera hainanensis MERRILL et CHUN:海南島固有で中国名は海南鵝掌柴である。高さ9mになる高木。小葉16個からなる掌状複葉で小葉は卵形~長楕円状卵形、長さ6~13.5cm、漸尖鋭尖頭、基部は鋭形、全縁、無毛で下面粉白色を呈する。花序は小花が総状につく分枝が複生する円錐花序 である。果実は卵形で5稜がある。
 (2)Schefflera impressa HARMS:異名に Heptapleurum impressum C.B.CLARKE がありシッキム、ネパール、ブータン、広東に分布する。ネパール名:balu chinia,中国名:広東鵝掌柴。大高木になり樹皮は褐色で厚く樹脂を分泌する。小葉8個からなる掌状複葉をもつ。小葉は皮針形で長さ15~25cm、全縁であるが若木のものはしばしば疎い鋸歯が出る。上面は葉脉の凹入が顕著に見られ光沢があり下面に軟ら かい星毛を布く。小散形花序が多数集まって大きなピラミッド形の複生円錐花序になる。花は5~8数性。果実は乾いて鈍い5稜が出る。材は白く肌目が均一で軟らかい。
 (3)Schefflera racemosa HARMS:異名にHeptapleurum racemosum BEDDOME がありインド南部、スリランカ産である。大きな高木になる。数個の小葉からなる掌状複葉で小葉身の長さは7.5~13.5cm、全縁であるが、縁は波うつ。花は花軸分枝の先端部分を除き通常小散形花序をなさないで長い総状につき、全体として大きな複生 の円錐花序を形成する。果実の頂端に合着した長い花柱を残存する。材は灰色で軟らかい。
 (4)Schefflera elata HARMS:異名にHeptapleurum elatum C.B.CLARKE があり、 シッキム、ネパール、ブータン、ビルマに分布しネパール名をchinia という。常緑の大低木~高木で掌状複葉、小葉は楕円状皮針形で長さ10~17.5cm、ほとんど全縁、無毛である。花は雑性花で小散形花序は花軸分枝に総状につき全体として円錐状に複生する。小花序柄、小花柄、花弁外面などに銹色の脱落性の毛を布く。
 花弁は4~5個。果実に鈍い5稜がある。材は白く肌目が均一で軟らかい。
 (5)Schefflera subulata VIGUIER:異名にSchefflera klossii RIDLEY,Schefflera subracemosa VIGUIER がありマレー産である。大きなよじのぼり植物でときに蔓性あるいは気生となる。3~6個の小葉からなる掌状複葉で小葉は楕円形~長楕円形、長さ4.5~18cm、鋭尖頭、基部は狭い。きわめて短い小花柄をもつ3~5花が小散形花序を作り短い小花柄で花軸 分枝に総状について一見穂状のようになり全体として複生の円錐花序を形成する。ただし花軸の分岐は少ない。花は緑色で5~6数性。果実は長楕円形で鈍い5稜がある。
 (6)Schefflera singularis B.C.STONE:マレーの山地産。藤本。きわめて特異な種類で 1小葉のみからなる複葉または単葉、長倒卵形、長さ5~10cm、鈍~円頭、狭脚、きわめて厚い革質で縁が反捲し葉脉は不明瞭である。花序は短く複生2回の散形花序様である。
 (7)Schefflera polibotrya VIGUIER:異名に Paratropia polybotrya KOORDERS が ありジャバ産。繊細な小枝の多い低木で枝は半球形のこぶで覆われている。小葉は5~9個からなる掌状複葉をもち、小葉は卵状楕円形、長さ15~20cm、鈍頭、鈍脚、全縁。花は緑色、果実は球形。観葉植物として植栽される。
 (8)キノボリフカノキ Schefflera odorata MERRILL et ROLFE:フィリピンおよびミクロ ネシアのパラオ島産でパラオ名をブンガルワオという。よじのぼり植物で高さ2~4mとなる。小葉5~6個からなる掌状複葉で小葉は広卵形~長楕円形、長さ10~15cm、やや鈍頭、鈍~円脚、全縁であるがときに疎鋸歯が出る。花は緑色で複散形の花序につ きそれらが全体として広がった集散花序の様態を示す。花は5~6数性、果実は球形。観葉植物として植栽される。
 (9)Schefflera pachyclada KANEHIRA:ミクロネシアのトラック島に固有の種類でトラック名をウルサという。小~中高木で直径60cmとなるが高さ6m以上のものは少ない。直幹をなさず叢生状のことが多い。小葉8~11個からなる掌状複葉で小葉は皮針状長楕円形または長卵形、長さ13 ~22cm、鈍頭で微凸端、基部は鈍~円形、全縁、側脉は判明しない。花は8~12個が無柄で頭状に集まりその小花序が長さ2~3cmの小花序柄をもって直立する長い花軸に総状につく。花は8~11数性で果実は球形である。
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