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平井信二先生の樹木、木材研究

フサマネノキ属の樹木(その3)
14.Parkia bicolor A.CHEVALIER
 Parkia bicolor A.CHEVALIERは、熱帯アフリカのギネアからザイールに至る地域の森林に生ずる。ナイジェリアでigba odo、ogirili okpi、kakpajaなどという。
 高さ30mまでになる高木で、樹冠は広くてやや平頂となり、樹幹は通常屈曲している。薄くてよく発達した板根をもつ。樹皮は淡褐色から暗紅褐色を呈し、やや平滑であるが、薄いバッチになって剥げる。
 葉は互生する2回偶数羽状複葉で長さ30~45cm、葉軸に細軟毛がある。羽片は10~26対で細く、長さ7.5~15cm、対生またはほぼ対生する。各羽片に小葉は20~55対あって常に対生し、密生するので、その縁は互いに接触する。小葉は長楕円形などで長さ 6~12mm、幅3mmまで、円頭、基部は切形に近く、下側基部の角は小さい3角形の耳状となる。
 花は淡紅色または青味を帯びた紅色で、頭状花序に密集してつき、多くは側生の小枝の頂端につく。花序柄はParkia biglobosa R.BROWN ex G.DONにくらべて著しく短い。豆果は線形などで長さ25~40cm幅1.8~3.2cm、表面から種子のある処がよくわかる。
 J.ILIC氏の『CSIRO Atlas of Hardwoods』所載の7によって材の組織の二三を記す。散孔材。道管は単独が多く、分布数は少ない。単せん孔をもち、樹脂様物質を含むものがある。軸方向柔組織では、周囲柔組織がよく発達して翼状および連合翼状柔組織になるものが多く、また放 射方向に2~4細胞層のターミナル柔組織が見られる。多室結晶細胞が現れる。放射組織は1~5細胞幅で、3細胞高以上のものが多く、2~20細胞高で低い。構成は平状細胞からなる同性である。  
15.Parkia biglobosa R.BROWN ex G.DON
 Parkia biglobosa R.BROWN ex G.DON(異名Parkia africana R.BROWN、Parkia clappertoniana KEAY)はアフリカのセネガルからスーダンに至るサバンナに自生し、ときに植栽される。英名はAfirican locust、monkey cutlass、オートボルタでnere、ナイジェリアでdorowa、narehi、nune、igba、ogiriliという。このものの和名にヒロハフサマメノキを用いている著書があるが、ヒロハフサマメノキはアジア産のParkia sumatrana MIQUELにあてる方がよいと思われる。
 高さ20m、直径35cmまでになる高木で、通常樹冠は開帳し、樹幹は屈曲し枝下は短い。樹皮は灰色で、縦の割れ目が入り角形のパッチになって剥落し粗い。
 葉は互生する2回偶数羽状複葉で長さ20~45cm、葉軸に細軟毛を布き、基部近くに大きい1個の腺体をもつ。羽片は6~11対で長さ7.5~14cm、対生または互生する。各羽片は小葉14~30対があり通常互生する。小葉は長楕円形長さ12~18mm、幅2~6mm、円 頭、基部の下側は小さい3角形の耳状になり、縁のほかはほぼ無毛である。
 頭状花序は側円錐形などで、太い部分の径は2~6.5cmあって、長さ20~40cmの花序柄をもつ。小さい花が密につまっていて暗紅色を呈する。
 豆果は線形で長さ15~40cm、幅2.5~4cm、淡褐色を呈する。種子は12~20個が含まれていて黒色、それらの間 を帯黄色、粉質のパルプが埋めている。
 材は汚黄色で軽軟である。雑用材に用いられる。現地民は種子を醗酵させて味噌のようなdaudawを作り調味料に用いる。また種子を炒ってコーヒーのような使い方をし、種子を包むパルプを食用とする。樹皮はタンニンを含み、薬用、皮なめし、染料に 用いられる。  
16.ニシアフリカフサマメ
 ニシアフリカフサマメParkia filicoidea WELWITCH ex OLIVER(異名Parkia hildebrandtii HARMS)は熱帯アフリカの森林に生ずる。英名はAfrican locust、African locust bean、West African locust bean、fern-leaved nitta tree、ナイジェリアでirugba、olibracha、ケニアでmnienzi、mkundeなどという。
 高さ20m、直径50cmまでになる高木で、樹冠は開帳し平頂となる。板根は小さい。樹皮は灰色から暗褐色で、鱗片化しまたは割れ目が出る。
 葉は互生する2回偶数羽状複葉で、羽片は5~14対が対生またはやや対生し、各羽片の小葉は通常15~30対、長楕円形で僅かに彎曲し長さ12~20mm、幅は約6mm、基部は下側で耳状となり、葉脉は葉身基部から3行脉になって出る。
 頭状花序はきわめて多数の小さい花が密集してつき煉瓦紅色を呈する。花序の上部は球形に近く下底部は円筒状となる。花序の径は5~6.5cmあり、長さ30cmまでの花序柄で下垂する。
 豆果は少数花のみが成熟し、線形などで長さ15~45cm、幅2~2.5cmのものが果序柄の先端からぶら下がる。暗褐色から紫黒色を呈し、中に黒色の種子と黄色の粉質で甘いパルプをもつ。
 材は辺・心材の区別がなく一様に淡黄色、帯青白色を呈するか、または多少辺・心材の別があり辺材部分は汚黄色、心材部分は鈍い褐色を呈する。肌目は粗である。材の気乾比重に0.45~0.51の記載がある。切削などの加工は容易で仕上げ面も良好であ るが、材の接地耐久性は低く、また生材で青変色が入り易い。建築、器具その他の雑用材に用いられるが、その価値は低い。
 樹皮に12~14%のタンニンを含み、布、皮などの染色に用いられる。種子は醗酵させて味噌のような調味料daudawにする。  
17.Parkia bussei HARMS
 Parkia bussei HARMSは熱帯アフリカ産の大高木である。同地域でmuaviという。muavi毒の原料である。  
18.Parkia gigantocarpa DUCKE
 Parkia gigantocarpa DUCKEはアマゾン産の高木である。ブラジル名をfaveira otanaという。  
19.Parkia multijuga BENTHAM
 Parkia multijuga BENTHAMはアマゾン地域に生ずる高木である。同地でfaneira caumeという。  
20.Parkia oppositifolia SPRUCE ex BENTHAM
 Parkia oppositifolia SPRUCE ex BENTHAMはアマゾン地方を含むブラジル北部の森林中に生ずる。同地でarara tucupe、core、japacanim、visgueiro、paricaという。
 高さ10~15mの高木である。葉は対生する2回偶数羽状複葉で、羽片は3~7対あって長さ7~13cm、小葉は20~30対あって長楕円状線形で長さ8~12mm、幅2~3mm、鈍頭、下面は淡褐色を呈する。葉柄の長さは15cmある。
 頭状花序は頂生し、全体倒卵形であるが、中間でややくびれて上下2段のだんご状または下方のもの幅が少し狭まってひょうたん状となる。各段はほぼ球形で径は7~8cmである。多数の花からなり、帯黄色を呈する。豆果は長線形で湾曲し、長さ20~ 25cm、幅4cmである。
 材はパルプ原料となる。樹皮はタンニンを含み、またサリチル酸の匂いをもつ。煎液で止血および腫物、潰瘍の洗浄に薬用し、溶剤で子供の泣き止めに使う。アマゾン、ペルーで樹は早成樹として造林に用いられる。  
21.Parkia pectinata BENTHAM
 Parkia pectinata BENTHAM(異名Inga pectinata HUMBOLDT et BONPLAND ex WILLDENOW)はブラジル西北部のアマゾン地方の高地森林中に生ずる。同地でparicaという。
 高さ10~15mの高木である。葉は互生する2回偶数羽状複葉で長さ20~30cm、羽片は10~15対あって長さ7~10cm、小葉は30~40対あって線形で長さ6~8㎜、 幅2mm、鈍頭で、無毛である。
 頭状花序は頂生し、2個の球形部分が上下2段に連なったややだんご状となり、花序の横径は7~8cmである。花は長さ12mmで淡紅色を呈する。豆果は長線形で長さ25cmである。
 樹皮はタンニンを含み、煎液で止血および腫物、潰瘍、切り傷の洗浄に薬用される。  
22.Parkia platycephala BENTHAM
 Parkia platycephala BENTHAMはアマゾン地方を含むブラジル東北部のカチンガ乾燥地域に生ずる。同地でvisgueiro、fava de bolota、pracariという。
 高さ8~10mの小高木である。葉は2回偶数羽状複葉で長さ15~30cm、羽片は6~12対あって長さ8~10cm、小葉は30~100対あって線形で長さ6mm、鈍頭、無毛である。
 頭状花序は下垂し、花序柄を含む長さは15~30cm、花序部分は扁球形で径は5cmである。花は紅紫色を呈する。豆果は線形で長さ10cm、幅2~4cmを示す。
 材は箱に用いられる。樹皮はタンニンを含んで収斂性がある。煎液を潰?や切り傷の洗浄に薬用 する。果実から鳥もちが得られる。  
23.Parkia pendula BENTHAM ex WALPERS
 Parkia pendula BENTHAM ex WALPERS(異名Inga pendula WILLDENOW)はブラジル北部(アマゾン地方)・東部、ギアナ地方の森林中に生ずる。仏領ギアナでkouatakama、ブラジルでfava de bolota、rabo de arara、visgueiroという。
 高さ20~30mまで、直径80cm~1mまでになる高木である。葉は互生する2回偶数羽状複葉で長さ15cm、羽片は10~20対あって長さ3~5cm、小葉は50対以上あって線形で長さ4mmである。やや鋭頭ないし鈍頭、葉脉は不明瞭である。
 頭状花序は球形で、長い花序柄を含む長さは60~90cm、花序部分の径は3~4cmで、花序は下垂する。花は多数で紅色を呈する。豆果は長線形で長さ8~20cmである。湾曲する。種子は広楕円形で長さは1cmである。
 材の気乾比重に0.54の記載がある。材は建築内装材に用いられる。
 樹皮はタンニンを含んで収斂性がある。煎液を止血を腫物、切り傷の洗浄に用いる。果実にゴム質の樹脂を含み、アラビアゴムに似て、鳥もちに用いる。悪臭がある。  
24.Parkia nitida MIQUEL
 Parkia nitida MIQUELは仏領ギアナに生ずる高木である。   平井先生の樹木木材紹介TOPに戻る

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