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平井信二先生の樹木、木材研究

キンキジュ属の樹木(その1)
1.キンキジュ属の概要
 キンキジュPithecellobiumはまたPithecolobiumと綴られることがある。マメ科(Leguminosaeネムノキ亜科(Mimosoideae)に属し、これまで記したアメリカネムノキ属SamaneaおよびウズマキサマンEnterolobiumともきわめて近縁で、この2属とそ の近縁をすべてPithecellobiumに含めてしまう考えもある。狭義の属としての形態をあげる。
 おおよそ常緑で低木または高木、大高木になるものはきわめて少ない。樹皮はほぼ平滑かまたは細かい裂け目が入る。枝は一般に無刺であるが有刺の種類もある。葉は2回偶数羽状複葉で羽片および小葉は対生する。葉柄・葉軸・羽軸上に腺体がある。
 花は小さくふつう黄白色で、小さい球形の頭状花序ときに集散花序をなし、それが円錐状ときに偽散状に複生する。がくは筒状で短い5裂片がつき花弁5個は中部くらいまで合着する。雄ずいは多数あって基部合着して単体雄ずいをなす。雌ずいは1個。豆 果は扁平な線形で典型的にはコイル状に巻き、ときに裂片化する。ふつう薄い革質である。種子は着部の縁は波状をなし、裂開または不裂開で内面は橙色などを呈しているものが多い。種子は黒色または褐色でしばしば糸状の柄で垂れ下がる。
 以上はネムノキ属Albizziaともきわめて似ているので、P.F.COCKBURNはAlbizziaPithecellobiumの異名とするのが妥当と考えるが、それをすると混乱が起きるので一応別属にしておくと述べている。
 散孔材で心材は黄褐色~褐色、生長輪は不明瞭、木理は交走するものが多く肌目はふつうやや精または精である。道管はやや小~小、材の基礎組織は真正木繊維で、軸方向柔組織には周囲柔組織。翼状柔組織。ときに連合翼状柔組織と少ない散在柔細胞 がある。放射組織は多く単列、ときに2~4細胞幅でその高さは低く平状細胞のみからなる同性である。材の気乾比重は0.31~0.88で一般に加工容易である。
 おもにアジア、アメリカの熱帯に60種ほどがあり二次林に見られるものが多いが、timber sizeになるものが少なく木材としては重要でない。  
2.キンキジュの名称・分布と形態
 キンキジュPithecellobium dulce BENTHAMは世界中の熱帯地域で広く植栽されているので各地にそれぞれの名称がある。中国名:牛蹄豆;台湾名:金亀樹;英名:Madras thorn、Manila tamarind、golden beetle tree、cat's claw、ramshorn、snake jaws、black bead、bred and cheeses;メキシコ名:guamachil、guamuche;コロンビア名;buche;ハワイ名:opiuma、inga;インド名:sime hunase;マレー名:asem krandij、asam tjina;インドネシア名:asem landa、asem korandji;フィリピン・グアム名:kamachilなどと数多い。自主の原産地はメキシコ、中米、南米北部である。
 新葉が出るとすぐ古葉が落ちるというおおよそ常緑の小~中高木で高さ12m、直径60cmくらいになるが、高さ17mの記載もある。樹皮は灰色でほぼ平滑、白色の皮目が見られる。老木では裂け目が入る。枝分れが多く枝端が垂れ少数の細い鞭のような小枝 がからまって出る。1対の托葉は刺に変形しその長さは6~8mmある。葉は2回偶数羽状複葉であるが、羽片もそれにつく小葉も1対のみ、合計4個の小葉がそれぞれ対生しカニの爪のような特異な形を示す。小葉は左右不同の斜卵状長楕円形で長さ2~5cm、幅0 .6~2cm、鈍端、鈍脚、全縁である。葉柄の長さは約2.5cm、羽片柄の長さは約0.7cmで上面に小さい腺体をつける。若葉は淡紅褐色を呈よく目立つ。花は7~16個が小さな頭状花序を作り、それが頂生した長さ40cmまでの大きな円錐花序様に複成する。1個 の花は長さ約8mmで緑白色である。豆果は12~15cm、幅1.5cmほどのやや扁平な線形であるが、かたくコイル状に捩れて下垂する。種子を含む部分の間でくびれ淡緑色で多少ととも桃紅色に染まる。種子は5~9個で広楕円形、黒色、厚い白色のパルプで包ま れているが、裂開すると長さ6mmほどの紅色の糸状柄でぶら下がる。
 
3. キンキジュの材の組織・性質と利用
 散孔材。辺心材の境界はふつう明瞭でなく辺材は白色~淡黄色、心材は紅褐色。木理は通直ないし不規則、肌目はやや精である。道管は単独または放射方向に2~3個が接続し、接続したものも1としての分布数は3~7/m㎡、管孔は広楕円形、径は0.06~0 .15mm、単せん孔、せん孔板は傾斜ときに水平に近い。真正木繊維の径は0.015~0.03mm、壁厚は0.002~0.003mmである。軸方向柔組織は周囲柔組織~翼状柔組織~連合翼状柔組織が主で散在する柔細胞は稀である。周囲柔組織では管孔の上下の放射方向に3 ~10細胞層あり、多くは接線方向に伸びて翼状から連合翼状柔組織を形成する。管孔を含まぬ帯状部は接線方向に6~20細胞層である。これら柔組織中に多室結晶細胞が散在する。結晶は鎖状に5~20個が連なる。柔細胞の径は0.02~0.04mm、壁厚は0.001 ~0.002mmである。放射組織は1~3、ときに4細胞幅、4~20細胞高で、同性、着色内容物を含む。
 材の気乾比重に0.64がある。かなりの耐朽性がありとくに水湿に耐えるという。しかし大きい材がまとまって出ることがあまりないので木材として重要でない。一般構造材、造作材、器具、車両、杭、包装材などに使われるがむしろ燃料となることが多 い。樹は街路樹、庭園樹、庇陰樹として植栽されるが、刈込みに耐えるので生垣に用いられているのがよく目につく。一般に木材以外の部分の利用が数多くあってよく知られている。果実は家畜の飼料、種子を包むパルプは甘酸味があるので食用および飲 料の原料となり(メキシコ)、樹幹に滲出する暗紅褐色の樹脂は粘着料、樹皮はタンニンを含むので鞣皮用および黄色染料、葉と樹皮は薬用、種子はハワイでレーの材料とされ、花蜜は養蜂に好適といわれる。  
4.新大陸産のキンキジュ属の樹木
(1)Pithecellobium anguis-cati MARTIUS
 キンキジュときわめてよく似ており、英名も同一のcat's claw、black bead、bread and cheesesがある。フロリダ、西インド諸島、メキシコから南米北部にかけて分布しまた植栽される。高さ5~7mになる低木ないし小高木で枝には托葉の変化した小刺が多い。葉は1対の羽片と各々につく1対の小葉よりなる。小葉は斜卵形、卵形。花序はキン キジュと同様で花は乳白色、雄ずいが挺出する。豆果はコイル状に巻き長さ8~10cmで下垂する。材、果実、樹皮の利用もキンキジュ同様である。  
(2)Pithecellobium jupunba URBAN
 西インド諸島産でpipirie、savonette、dalmare、wild tamarindの名がある。高さ27mまで、直径50cmまたはやや大きくなる中高木である。心材は淡黄色で紅色の縞があり木理は通直、ときに交走し肌目は粗である。乾燥は速いが割れる傾向があり、加工は容易、耐朽性は低い。パネルや縁材などの内部造作、 家具その他に用いられる。  
(3)Pithecellobium trapezifolium BENTHAM
仏領ギアナ産でbois macaqueの名がある。直径30cm、長さ15mの材が出材される。材は淡紅色で軽軟、気乾比重0.40の記載がある。指物、包装材などに用いられる。
4)Pithecellobium incuriale BENTHAM
ブラジル産でangico rajadoという。フローリングに使われた7があるのであげる。(このwebでは未掲載)  
5.オーストラリア産のPithecellobium pruinosum BENTHAM
 オーストラリア東部産で、キンギンゴウカンの和名がある。常緑の小高木で全体に褐色の軟毛がある。葉は長さ5~8cm、羽片2対、小葉は2~3対で広卵形、広菱形など、花は緑白色、豆果は長さ約15cmでコイル状に巻き珠数形にくびれる。植栽される。
6.アジア大陸南部産のアカハダノキ
 学名はPithecellobium lucidum BENTHAMで、和名にはほかにタマザキゴウカンといい、中国名:亮葉園涎樹;台湾名:領垂豆などがある。琉球(石垣島、西表島)、台湾、支那南部、海南島に分布する。高さ2~10mの常緑低木または小高木で刺は出ない。小枝・若葉;花序に褐色の軟毛 を布く。葉は互生またはやや対生様で羽片は2~4対を対生、小葉は3~4対を対生またはやや互生する。小葉は歪んだ長楕円形で長さ6~9cm、幅1.2~4cm、鋭尖頭、下面は褐色を呈する。花は黄白色、頭状花序は径約2cmの球形をなしそれが円錐状に複生する 。豆果は長さ15~20cm、幅2~2.5cmで扁平、コイル状に捩れ径6cmほどのほとんど円環となる。紅褐色。種子は扁平で円形または楕円形、径約1cm、黒色で細い糸状柄で莢の縁からぶら下がる。
 材は柱・窓枠・板などの建築材、器具材、燃材に用いられる。枝葉は薬用とされるが、果実は有毒である。樹皮にはタンニンを多く含む。   平井先生の樹木木材紹介TOPに戻る
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