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平井信二先生の樹木、木材研究

フウ属の樹木(その3)
9.モミジバフウの概要
 モミジバフウ(カエデバフウ、アメリカフウ、アメリカソゴウコウノキ)Liquidambar styraciflua LINNAEUS(異名Liquidambar barbata STOKES、Liquidambar gummifera SALISBURY、Liquidambar macrophylla OERSTED、Liquidambar styraciflua LINNAEUS var.mexicana OERSTED)はアメリカ中部・南部と、やや離れてメキシコ南部から中米のニカラグアまでに生じ、やや湿地に多い。英名をsweat gum、red gum(とくに心材をさすことがある)、American red gum、starleaved gum、sap gum(辺材をいう)、gum、alligator tree、satin walnut(心材の英国市場名)、hazel pine(辺材の英国市場名)、bilsted、独名をAmberholz、amerikanischer Amberbaum、Satinnussbaum、仏名をcopalme、copalmed'Amerique noyer satine、スペイン名をbilsted、copalm、メキシコでestraque、maripenda、ocozolという。
 高さ40m、直径1.5mまでになる落葉高木で、アメリカで最大のものは高さ41.4m、直径2.25mが記録されている。樹幹は、通直で、樹皮は灰褐色から紅褐色などとなり、縦の深い割れ目が入るようになる。2年生からの小枝にはしばしばコルク質の稜または 厚い翼を生ずる。葉は輪郭がほぼ円形ないし長円形で、掌状に5、ときに7中~深裂して裂片は開出、葉身の長さ・幅は4.5~18cm、ときに25cmまでになるものがある。裂片は長楕円状三角形などで、さらに牙歯状に欠刻があるものがあり、緑に細鋸歯を もつ。鋭尖頭で、基部は心形を呈する。上面は暗緑色で光沢があり、下面は淡色で、基部の脉腋に束毛があるほかは無毛である。葉柄の長さは6~15cm、2個の托葉は線状皮斜形で長さ3~4mm、早落する。秋に紅葉するがやや不規則で、紅色から暗紫紅色の ものに、黄色、緑色のものが混在することが多い。
 3~5月に開花し、雄花は雄ずいのみで、その4~10個が小さい球形の頭状花序をなし、それが多数総状に複成して長さ3~10cmの円錐花序となる。雌花は多数が合着し輪廓の径が3~4cmの球形の頭状花序をなす。一つの花は雌ずいが1個で、子房は花盤と 合着し、花盤の裂片の環のまわりに退化雄ずい5~8個をつける。子房は2室、花柱は2個で、先端部の柱頭は内側に向って曲がる。頭状果序はさく(朔)果が多数合着した集合果で、球形、径は2.5~4cm、褐色を呈し、冬の間樹上に残っている。種子は多数 できるが、各さく果の下部のごく少数のみが稔性で、楕円形などを呈し、長さ8~10mm、端部に翼をもつ。不稔の種子は小さく長さ1~2mmで翼はない。
 庭園樹、街路樹として多く植栽され、わが国でも近年街路樹に多く用いられるようになっている。次のような栽培品種がある。
 Liquidambar styraciflua LINNAEUS cv.Rotundifolia:葉は短い円頭の裂片をもつ。
 Liquidambar styraciflua LINNAEUS cv.Pendula:大枝は上向し、樹姿は円柱状であるが、小枝は下垂する。
 Liquidambar styraciflua LINNAEUS cv.Veriegata:葉に大理石模様などに、淡緑色や黄色の斑が入る。
 Liquidambar styraciflua LINNAEUS cv.Burgundy:秋の紅葉は遅いが、深紅色になって長い期間続く。
 Liquidambar styraciflua LINNAEUS cv.Palo Alto:紅葉はすべて橙色となる。
 Liquidambar styraciflua LINNAEUS cv.Festival:枝は上向性で、紅葉は黄色、淡紅色および桃実色が混じって明るい。  
10.モミジバフウの材の組織
 散孔材。辺・心材の区別はほぼ明瞭で、辺材は白色、黄白色など、心材は淡紅褐色、褐色、紅褐色などを呈し、ときに暗色の縞がある。木理は一般に不規則で交走するものが多く、肌目は精で均質である。生長輪は一般に顕著でないが、おおよそ認める ことができる。材に特別な味や匂いはない。
 道管は単独および放射方向などに2~5個が接続する。道管要素の上下接続傾斜面が長いため、横断面で接線方向に2個が接続した形で現れる。分布数は120~200/mm2である。単独道管の断面形は楕円形などで、その輪廓は角ばっている。道管の径は0.03 ~0.10mmである。せん孔板は著しく傾斜し、階段せん孔でバーの数は20ほどである。接続道管の間の有縁壁孔は横長の長楕円形などで階段状に配列する。道管・放射組織間の壁孔は横長の長楕円形、楕円形、卵円形などで、階段状、対列状の配列をする。
 チロースをもつものがある。
 材の基礎組織を形成するのは繊維状仮道管で、その径は0.013~0.025mm、壁厚は0.004~0.005mmである。
 軸方向柔組織は少く、道管の周辺も含んで単独で散在する柔細胞が大部分である。柔細胞の径は0.015~0.04mm、壁厚は0.001~0.002mmほどである。
 放射組織は1~2、ときに3細胞幅、2~35細胞高である。その構成は異性で、単列部は直立細砲または方形細胞の層、他は平伏細胞の層からなる。細胞中には樹脂様物質を含んでいる。  
11.モミジバフウの材の性質と材その他の利用
 材の気乾比重に0.50~0.95の範囲の記載があるが、0.50~0.65のものが多い。含水率1%当りの平均収縮率は接線方向0.37%、放射方向0.18%の報告がある。また含水率12%のときの標準的材質として次のものがあげられている。重量は全乾、容積は試験 時のものに基づく気乾比重0.52、縦圧縮強さ442kgf/cm2、横圧縮比例限度43kgf/cm2、縦引張強さ1.211kgf/cm2、横引張強さ53kgf/cm2、曲げ強さ875kgf/cm2、曲げヤング係数11.5×10(4)kgf/cm2、せん断強さ112kgf/cm2、ヤンカ硬さは縦断面386kgf。
 乾燥はあまり遅くないが、狂いが出やすいので注意を要する。製材、切削加工はおおよそ容易で、仕上げ面は通常良好である。加工中、材の粉塵で皮膚に炎症を起こすことがある。接着、釘の保持などについてあまり問題はない。材の耐朽性は一般に低 い。
 材の利用は建築造作材、ときに下見板などのシングル、縞があって美しい材面のものは建築内装材、家具、キャビネットなどに用いられるほか、器具、箱・パレットなどの包装材、野菜・乾物などの樽、枕木・舗木などの土木材その他である。これらの うちにはベニヤ、合板で用いられるものがあり、またパルプにも使われる。
 傷ついた樹幹に滲出する樹脂からアメリカ蘇合香(American storax、American styrax)が得られる。黄褐色で透明な半固体または固体のバルサムで芳香がある。薬用として咳、風邪、赤痢などに内用され、人間および家畜の傷、腫物などに外用される。またチュイングガムのような噛み料となる。香料としては石けん、化粧品、香水 の揮発分保留剤、たばこの賦香料、薫香料、接着剤・塗料の配合物に用いられる。産地の原住民は樹皮・根なども樹脂と同様の薬用に用いた。  
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