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平井信二先生の樹木、木材研究

マンゴー属の樹木(その3)
11.ビンジャイマンゴー
 ビンジャイマンゴー(一名ブシュマンゴーMangifera caesia JACKはマレー、スマトラ、ボルネオ、フィリピン南部産で東南アジアの各地で植栽される。現地名はマレーでbinjai、binnu、サバでbeluno、フィリピンでbauno、buncoなどという。異名にMangifera verticillata ROXBURGHがあり、Mangifera similis BLUMEも多分その異名であろうといわれる。高さ15~30mになる高木で樹冠はあまり開張性でない。樹液はぶれをひき起す。葉は長楕円形または長倒卵形で長さ12~30cm、幅5~10cm、鈍頭で凸端または鈍端、厚い革質で側脉が20~30対と多く顕著である。
 葉柄の長さは1~1.5cm。円錐花序は大きく軸に細軟毛を布く。花は径が約8mmで淡紫色または淡紅色、萼裂片は5個、花弁は5個で線形、雄ずいは稔性のものが1個、小さい不稔性のものが4個ある。果実は楕円形などで長さ10~15cm、径5~12cmあり淡褐色~ 黄褐色、外面がふけ状のかさかさとなる。果肉は白色または淡黄色で樹脂臭があり、ふつう酸味が強いが品種により甘いものがある。未熟果の乳液はかぶれを起こす。材の気乾比重はサバ産のもので0.48、インドネシア産のもので0.52(0.45~0.57)とい う報告がある。  
12.ウママンゴー
 ウママンゴーMangifera foetida LOUREIROはマレー、ボルネオ産でかなり古くから各地で植栽されている。英名をhorse mango、coarse mango、gray mango、現地名はマレーでbachang、machangなど、サバでwangi、インドネシアでmembachangなどという。高さ10~30mになる高木で樹皮は灰褐色、樹液はかぶれを起こす。葉は長楕円形などで長さ15~40cm、幅6~15cm、通常鈍頭ときに凹頭、きわめて硬い 革質で上面で凹む。花序の長さは20~23cm、花序軸は紅褐色を帯び無毛、花は径約9mmで、淡紅色を呈する。花弁は5個、雄ずい5個のうち1個のみ稔性である。果実は卵形などで長さ7.5~14cm、径6~10cm、果皮は緑色ないし黄緑色で小さい黒点がある。果 肉は黄色または鮮橙色で甘味があるが強い酸味と樹脂臭があり繊維質が多い。ふつう塩漬、チャトニーなどに用い、またマンゴーの台木とする。
 材には一般に濃色の心材部分が見られず淡灰褐色などを示し気乾比重の値に0.55~0.79の範囲の報告がある。材質のl例をあげると、生材から気乾までの収縮率は接線方向1.6~1.8%、放射方向1.2~1.3%、縦圧縮強さ489kg/cm2、曲げ強さ919kg/cm2、曲げ ヤング係数14.5×10(4)kg/cm2、せん断強さ128~138kg/cm2である。加工は容易、乾燥も容易であるが狂いが出やすい。耐朽性は低い。建築の軽構造材・内部造作材、器具材などに用いられる。  
13.Mangifera longipes GRIFFITH
Mangifera longipes GRIFFITHはマレー、スマトラ、ジャバ、小スンダ列島、フィリピンのパラワン産で、現地名はマレーでmachang api、フィリピンでapaliという。高さ25mほどまでになる高木。葉は長楕円形などで長さ12.5~20cm、幅4~5cm、短鋭尖頭、薄い革質である。花は径約5mm、花弁5個、雄ずい1個が稔性で他は不稔である。
 材の顕微鏡写.真があるのでそれについて記載する。生長輪はほぼ明瞭。道管はおおむね単独で散花し、分布数は1~4/mm2、断面形で径は0.05~0.27mm、せん孔板は水平ないし傾斜する。基礎組織をなす真正木繊維の径は0.015~0.03mm、壁厚は0.0015~0. 003mmである。軸方向柔組織では道管に随伴型のものはほとんど翼状で横断面で、見ると道管の上下・放射方向に0~3細胞層、接線方向に2~5細胞のび、この部分は放射方向に1~8細胞層がある。またターミナル柔組織に連結するものがある。ターミナル柔 組織は放射方向に1~4細胞層である。柔細胞の径は0.015~0.05mm、壁厚は0.001~0.002mm。放射組織は多くは単列であるがときに部分的2列となり、まれに両端を除いて全体2列になるものもある。2~18細胞高。構成は異性で上下両端1層は直立細胞、中間 は平状細胞よりなる。細胞中にしゅう酸石灰の結晶および樹脂様物質を含む。この種の放射組織中に水平樹脂道が存在するという報告がある。材質では気乾比重0.69の記載がある。  
14.マレー近傍のその他のマンゴー属の樹木
(1)ケマンガ Mangifera kemanga BLUME:マレー原産でときに植栽され現地名をkemangaという。高さ25mに達する高木でビンジャイマンゴーによく似ている。葉は鋭頭で葉柄がない。花は淡紅紫色。果実は長楕円形、褐色、酸味が強く樹脂臭がある。現地では食用とする。
(2)アサムマンゴー Mangifera quadrifida JACK:マレー原産でときに植栽され現地名をasam kumbangという。高さ20mまで達する高木で葉は狭い長楕円形、長さ7.5~30cm、幅4~9cm、鋭尖頭、きわめて剛い革質である。花は白色に黄条があり花弁4個、雄ずい1個、芳香をもつ。果実は卵形で長さ4~6.5cm、熟して暗褐色になる。果肉は淡黄色で繊 維質が著しい。甘ずっぱくて食用となる。
(3)ランジュ Mangifera langenifera GRIFFITH:マレー、スマトラ産でマレーの現地名はlanjutである。高さ30mに達する壮大な高木で葉は狭い倒卵形、長さ5~15cm、幅2~5cm、鋭頭、きわめて剛い革質である。花の径は約1cmで紫色、内面オリーブ色、花弁5個、雄ずい5個は稔性。果実は楕円 形などで長さ15cmまでになり緑色、褐色または紫色を帯びる。ビンジャイマンゴーに似ているが外面は平滑である。果肉は汚白色ないし汚淡紅色で酸味強く繊維質が多い。現地で食用とする。材の気乾比重の値に0.58の報告がある。
(4)バンバンガン Mangifera pajang KOSTERMANS:ボルネオ産でときに植栽されることがありサバの現地名をbambanganという。中高木で果実は食用になる。材は暗褐色で気乾比重0.60という記載がある。
(5)Mangifera griffithii HOOKER FIL.:マレー産で高さ30mに達する。葉は長楕円形などで長さ10~17.5cm、幅4~6.5cm、鋭頭。花は径2.5mm以下で小さく、花弁4個、雄ずい1個。果実は長楕円状倒卵形で長さ約4cm、緑黄色を呈する。食用となる。
(6)Mangifera superba HOOKER FIL.:マレー産で大高木。葉は倒皮針形で長さ25~40cm、幅7.5~12.5cm、鈍頭、側脉が約30対あって著しい。花の径は約2mmで淡紫色、花弁5個、雄ずいは稔性のものl個のほかはきわめて小さく不稔である。
(7)Mangifera macrocarpa BLUME:タイ南部、カンボジア、マレー、スマトラ、ボルネオ、ジャバ産。
(8)Mangifera gedebe MIQUEL:スマトラ、ボルネオ、ジャバ産。
(9)Mangifera havilandii RIDLEY:ボルネオ産。
(10)Mangifera decandra DING HOU:スマトラ、ボルネオ産。
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