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平井信二先生の樹木、木材研究

ギンゴウカン属の樹木
1.ギンゴウカン属
 ギンゴウカンLeucaenaはマメ科Leguminosaeのネムノキ亜科Mimosoideae、またはマメ科の3亜科をそれぞれ独立の科とする場合のネムノキMiemosaceaeに属する。北米および南米に約40種があるとされ、その分布の中心はメキシコである。ただしギン ゴウカンLeucaena leucocephala DE WITは世界中の熱帯、亜熱帯の各地に帰化して野生化している。この属全体の名称として英名はwhite popinac、leucaena、jumby bean、lead tree、中国名は銀合歓などがあるが、これらはまた代表種ギンゴウカンの名でもある。
 常緑の低木または小~中高木で、刺はない。托葉は小さく早落性である。葉は互生する2回偶数羽状複葉で、小葉は数多くふつう小さい。常に総葉柄に腺体をつける。
 花は無柄で密集して球状の頭状花序になり、この花序は葉腋に単出または数個が蔟生する。通常両性花で、蝶形でなく、5数性である。ふつう2個の苞があり、がくは鐘形の筒状部に短い5歯がつく。花弁5個は離生し、雄ずい10個も離生し花外に長く挺出 する。葯の頂端に腺体をつけない。常に細軟毛を被むる。雌ずい1個、子房は有柄で多数の胚珠を含む。花柱は糸状である。豆果は捩れることなく、扁平な帯状で、革質、無毛、熟して2弁に裂開する。中に横の隔膜はなく、種子は多数で卵形、扁平で横生 する。
 材の組織、性質と利用は種によってあまり相違がない。これらは代表種ギンゴウカンの項で記載する。材以外のものの利用もギンゴウカンで代表される。  
2.ギンゴウカンの概要
 ギンゴウカン銀合歓、ギンネム、タマザキセンナ、イピルイピル)の学名をLeucaena leucocephala DE WITとし、種の範囲を広くとって、Leucaena latisiliqua GILLIS、Leucaena glauca BENTHAM、Leucaena pulverulenta BENTHAM、Leucaena greggii S.WATSON、Leucaena glabrata ROSEはその異名とする見解に従っておく。原産地はメキシコからガテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルなどにわたる中米地域とされるが、現在は世界中の熱帯、亜熱帯に広く帰化しまた植栽もされている。わが国では小笠原諸島、琉球で野生化してよ く繁茂している。
 英名はwhite popinac、leucaena、wild tamarind、jumby bean、jumpy bean、lead tree、hedge acacia、独名はBleibaum、中国名は銀合歓、白合歓、マレーでputai jawa、putai belanda、putai tiga bulan、インドネシアでlamtoro、フィリピンでipil ipil、ハワイでkoa haoleなどという。
 常緑で高さ2~9m、直径10~20cmの低木~小高木のものが多いが、高木型のものは高さ20m、直径30cmまたはそれ以上となり、葉、花、果実の各部もそれぞれ大きい。ここでは低木~小高木型のものについて記載する。樹皮は褐色を呈しほぼ平滑に近い。
 刺はない。若い枝は初め細軟毛を被むるが後に無毛となる。
 葉は互生する二回偶数羽状複葉で、長さ15~25cm、葉軸に細軟毛がある。羽片は4~10対で長さ5~10cm、最下羽片の着点に黒色の腺体1個をつける。各羽片に小葉は4~15対あって、その葉身は線状長楕円形で長さ6.5~13mm、幅1.5~3mm、先端は急に凸端 となり、基部は広楔形である。全縁で辺縁に細軟毛があり、中助は上辺に少し片寄っている。下面は粉白を帯び、ほとんど無柄である。托葉は三角形で小さく、早く脱落する。
 花は多数が径1.5~3cmの球状の頭状花序に密集してつき、白色で無柄である。花序はふつう1~2、ときに3個が葉腋に蔟生し、花序柄の長さは2~4cmある。
 豆果は線状長楕円形で扁平、長さ10~18cm、幅1.2~2cm、頂端は凸尖し基部は楔形で有柄、細軟毛があり、熟して褐色になり縦に裂開する。種子は6~25個が含まれ卵形で長さ約7.5mm、扁平で黒褐色を呈し光沢がある。  
3.高木型ギンゴウカン
 ギンゴウカンは痩せた土地にも生育し、生長がきわめて速く、萌芽と種子による繁殖力が旺盛なので、熱帯、亜熱帯地域の緑化または早成樹種として注目されている。ふつう二つのタイプにわけて扱われている。
 低木型:Hawaiian typeまたはPeruvian typeといわれるもので、ふつうに野生化している在来のものの多くはこれに入る。高さ8mくらいまでで、薮状に密生し、若齢時から開花しまた年間を通じて開花、結実するものが多い。
 高木型:Salvador typeといわれるもので、キョダイ(巨大)ギンネムgiant ipil ipilと通称される。学名を与えるならばLeucana leucocephala DE WIT cv.Salvador(異名Leucana salvadorensis STANDLEY)となる。高さ20m、直径30cmに達し、葉、花、果実もそれぞれ低木型の1.5~2倍の大きさとなる。開花に達するのが遅く、開花、結実は年1回である。このタイプは以前からハワイとフィリピンで植栽が進められていた。J.L.BREWBAKER等は両系統 のものの育種について研究し、生長の速いもののみならず、葉に有毒なmimosineを含むことが少いもの、耐寒性の大きいものなどの優良なタイプを選抜、開発している。  
4.ギンゴウカンの材の組織
 材は散孔材。辺・心材の区別はふつう明瞭で、辺材は黄白色~黄色、心材は黄褐色、褐色、紅褐色などで、ときに暗色の縞がある。木理は通直またはやや交走し、肌目は中位からやや粗である。
 道管は単独および2~4、ときに6個までが放射方向に接続、また小道管を含めてより多くが集まるものもある。分布数は6~12/mm2、単独道管の最大接線径は0.19mである。道管相互間の有縁壁孔は交互配列をし、径は約O.006mmありベスチャード壁孔であ る。単せん孔をもつ。チロースは見られない。一部樹脂様物質を含むものがある。
 材の基礎組織は真正木繊維または繊維状仮道管で、1~数個の隔壁もつ隔室繊維が一部または全体的に見られる。繊維の長さは1.6(1.0~2.1)mm、接線径は0.015~0.025mm、壁厚は0.002~O.004mmである。
 軸方向柔組織では、周囲柔組織とあまり発達しない翼状柔組織があり、また単独で散在する柔細胞がある。個体によっては狭いターミナル柔組織が現れる。多室結晶細胞は全般的に多く一杯に散在し、隔室が30個までのものが見られる。
 放射組織は1~3ときに5細胞幅まであり、5~30細胞高である。その構成はすべて平伏細胞からなる同性である。シリカは含まれない。  
5.ギンゴウカンの材の性質と材その他の利用
 材の気乾比重に0.69~0.86の記載があり、やや重硬という程度である。
 ジャイアント・イピルイピルでの材の化学的組成の例をあげると、ホロセルロース69.8~73.9%、ペントザン8.9~20.1%、リグニン21.8~26.0%、温水抽出物1.1~2.7%、アルコール・ベンゾール抽出物1.4~3.0%、1%NaOH抽出物13.0~16.4%、灰分0. 7~0.9%を示す。低木型のものにくらべると、ホロセルロースが多く、アルコール・ベンゾール抽出物、1%NaOH抽出物が少く、パルプ用には適しているとされている。
 材は堅硬で、耐朽性はやや高い。樹が小さいので一般用材には重要でないが、パルプ、パーティクルボード、ファイバーボード用に考えられ、また燃材として好適である。
 樹の用途として最も注目されるのは、枝葉や果実を家蓄の飼料にすることであるが、アルカロイドのミモシン(mimosine、一名ロイカエニンLeucaenine)を含み、馬、ロバ、ラバ、豚、兎では量を多くとると脱毛をひき起こす。牛などの偶蹄類は反芻胃 中でジヒドロオキシピリジンに転換されて支障はないという。なお加熱や硫酸第一鉄の添加で毒性を減ずることができ、またミモシンの含有量が少い品種の育成が研究されている。
 枝葉は各地で緑肥に多く用いられている。地方によって新葉、若い果実を食用とし、種子をコーヒーの代用とするところもある。また樹皮、果実、種子は痛み止めの薬用とすることがあり、染料、皮なめしに用いることもある。ハワイなどでは種子をつ ないで首飾りなどの土産物として売っている。樹は土地改良、土壌の侵蝕防止その他緑化樹として熱帯、亜熱帯で広く植栽される。  
6.その他のギンゴウカン属の樹木
 その他のギンゴウン属の数種をあげる。
 (1)Leucaena esculenta BENTHAM:メキシコ産。高さ7~17mの高木である。種子を食用とする
 (2)Leucaena guatemalensis BRITTON et ROSE:ガテマラ産。材は強く耐朽性があり美しい。供給量が少いので地方的利用に限られる。
 (3)Leucaena pseudotrichoides BRITTON et ROSE:西インド諸島産。低木~小高木である。
 (4)Leucaena retusa BENTHAM:メキシコ産。高さ約8mの低木~小高木である。庭園樹に植載される。
 (5)Leucaena shannonii DONN.SMITH:メキシコからニカラガに至る中米産。材は強く耐朽性があり美しい。供給量が少く地方的利用に限られる。
 (6)Leucaena trichodes BENTHAM:コロンビア、ベネズエラ、ペルー産。低木~小高木である。庭園樹に植栽される。
 
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