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平井信二先生の樹木、木材研究

コチレロビューム属の樹木
.Cotylelobium lanceolatum CRAIBの概要
 Cotylelobium lanceolatum CRAIB(異名Cotylelobium malayanum VAN SLOOTEN、Sunaptea lanceolata KOSTERMANS)はタイ半島部、マレー、ボルネオ産で、タイでkhiam、マレーでresak batu、resak bukit、サバ、サラワクでresak kelabu、ブルネイでresak bukit、インドネシアでgiam padi、resak gagil、resak daun kechilという。
 中~大高木で高さ45m、直径1.3mまでになるが、ふつうはずっと小さい。通常枝下高は少なく、樹幹はしばしば曲ったり捩れたりしている。板根は低い。樹皮は灰色などでやや平滑であるが、次第に粗くなり裂片化して剥がれ、老木では渦紋が現れる。小 枝の若令部に淡褐色の絨毛があるが後に無毛となる。葉は狭い卵状皮針形で長さ5~8cm、幅1.5~3cm、葉縁は反巻し、先端は短い尾状になり基部は広い楔形、側脉は10~12対、その先端は葉縁の内側約2mmの処でループになる。下面に灰褐色などの絨毛を 密布する。
 花は長さ6cmまでの円錐花序になって腋生または頂生し、花弁は黄白色である。果実は球形で径は約1cmあり、密に灰褐色の絨毛を布く。がく裂片のうち2個は大きい翅になり長い倒皮針形などで長さ6.5cmまで、3個は小さい翅で通常皮針形、長さ2cmまで である。  
8.Cotylelobium lanceolatum CRAIBの材の組織、性質と利用
 散孔材。心材は灰褐色、褐色などを呈する。道管はほとんど単独で散在し分布数は8~15/mm2、径は0.08~0.18mmせん孔板は水平に近く単せん孔である。チロースが多く見られる。
 材の基礎組織を形成する織維状仮道管の径は0.015~0.03mm、壁厚は0.005~0.008mmである。軸方向柔組織では、(1)周囲柔組織は横断面で見て放射方向の片側の帽状になるものが多く0~2、ときに3細胞層である。
 (2)不規則な短接線柔組織があって 放射方向に1、ときに2、稀に3細胞層、接線方向に6細胞まで連なって波曲し、また単独・散在の柔細胞に移行する。
 (3)垂直樹脂道を囲む柔組織は1~3細胞層で、ときにやや翼状になり接線方向に5細胞まで連なり、道孔を外れて放射方向に2~7細胞層 である。柔細胞の径は0.02~0.04mm、壁厚は0.001~0.002mmである。垂直樹脂道はおおよそ散在し分布数は3~6/mm2、径は0.04~0.07mmである。
 放射組織は単列型と多列型とにやや分かれる傾向がありその構成は異性である。単列のものは2~6細胞高で、直立細胞、方形細胞または高さの大きい平伏細胞の大形細胞のみからなる。多列のものは2~5細胞幅、25~80細胞高で、上下両端の単列部1~4 層および周縁のかなり多い部分、ときに内部のごく一部も大形細胞からなり、他は高さの小さい平伏細胞から構成される。細胞中にシリカを含む。
 材の気乾比重に0.81~1.16の範囲の記載があって重硬からきわめて重硬である。材質数値では曲げ強さ972kgf/cm2、曲げヤング係数14.8×10(4)・kgf/cm2が報告されている。材の加工的性質、耐朽性は属としての通説にあげたことと同様である。
 材はマレーシア地域でresakとして扱われ、またタイ半島部にも出材がある。その利用も属としての通説にあげたことと同様であるが、とくに重構造材、鉄道枕木、橋梁、木柱、杭、ボートなど耐久性が要求される用途に適している。  
9.Cotylelobium melanoxylon PIERRE ex HEIMの概要
 Cotylelobium melanoxylon PIERRE ex HEIM(異名Cotylelobium beccarii PIERRE、Cotylelobium harmandii HEIM)はタイ半島部、マレー、スマトラ、ボルネオ産で、タイでkhiam daeng、khiam、dam、khiam khaao、マレーでresak、サバでresak tempurong、サラワク、ブルネイでresak hitam、インドネシアでgiam tembaga、resak tembaga、resak daun lebarという。
 中~大高木で高さ50m、直径1.6mまでになる。樹幹はしばしば捩れがあるが、枝下高30mに達するものがある。板根は低く円頂である。樹皮は灰色に黄褐色の斑紋が混じり、始め平滑であるが後に粗く裂片化して剥げる。老木では渦紋を残す。小枝などに 灰色の細かい絨毛を布く。葉は卵状皮針形などで長さ5~10cm、幅2~6cm、先端は短い尾状になり基部は広い楔形または鈍形、縁は僅かに反巻し、側脉は10~13対、その先端は互いに連結して葉縁の内側2mmくらいの処でループをなして走る。短い中間側脉 が出る。下面はほぼ無毛である。
 花は長さ8cmまでの腋生する総状または円錐花序につく。果実は卵形などで径は約0.6cm、短い淡黄褐色の絨毛を布く。がく裂片のうち2個は大きくなり長楕円形、鈍頭で長さ4.5cmまで、3個は小さくほこ形、鋭頭で長さ1.5cmまでである。  
10.Cotylelobium melanoxylon PIERRE ex HEIMの材の組織、性質と利用
 散孔材で、心材は褐色などを呈する。道管はほとんど単独で散在し分布数は5~9/mm2、径は0.08~0.18mm、せん孔板は水平に近く単せん孔、チロースを含む。材の基礎組織を形成する繊維状仮道管の径は0.01~0.025mm、壁厚は0.005~0.008mmである。
 軸方向柔組織のうち、(1)周囲柔組織は比較的薄く0~3細胞層。
 (2)不規則な短接線柔組織と単独で散在する柔細胞は比較的多い。
 (3)垂直樹脂道を囲む柔組織は0~4細胞層である。柔細胞の径は0.02~0.04mm、壁厚は0.001~0.002mmである。垂直樹 脂道はほとんど単独で散在し分布数は1~4/mm2、径は0.05~0.12mmを示す。
 放射組織は単列のものと多列のものとの2型にやや分かれる傾向を示し、その構成は異性である。単列のものは稀に一部2列になり、4~20細胞高で、方形細胞または直立細胞、高さの大きい平伏細胞の大形のものからなる。多列のものは3~6細胞幅、15 ~75細胞高で、上下8層までの単列部および周縁の一部は大形細胞、他は高さの小さい小形の平伏細胞で構成される。細胞内にシリカが含まれる。
 材の気乾比重に0.83~1.16の範囲の記載がある。材質数値の例をあげると、インドネシア産のもので生材から全乾までの全収縮率は接線方向10.4%、放射方向6.1%、縦圧縮強さ698kgf/cm2、曲げ強さ1,377kgf/cm2、曲げヤング係数19.0×10(4)・kgf /cm2、せん断強さ71~76kg/cm2を示す。
 この種類は樹が大きくなり、量が比較的まとまるので、この属では最も代表的な有用樹種である。材はマレー地域では一般にresakとして扱われ、属の通説にあげた構造材、土木材をはじめとして多くの用途に広く用いられる。 平井先生の樹木木材紹介TOPに戻る
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