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平井信二先生の樹木、木材研究

オリーブ属の樹木(その4)
22.ブラウン・オリーブ
 ブラウン・オリーブOlea africana MILLERの学名の異名にはOlea europaea LINNAEUS subsp.africana P.S.GREEN、Olea chrysophylla LAMARCKがあり、オリーブOlea europaea LINNAEUSの亜種またはオリーブそのものと同一種にするとの考えもある。アフリカ東部・南部のケニア、タンザニア、モザンビーク、ローデシア、ナミビア、南アフリカに分布する。英名はbrown olive、wild olive、ケニアでmutamaiyu、yemdit、lorienその他、全アフリカでswartolienhoutという。
 枝の分岐が多く樹冠が広がる小~中高木で、高さは5~10mであるが、ときに18mまでとなる。樹幹は曲がり溝が入り、また独特な凹陥部ができる。樹皮は灰色から褐色を呈し、初め平滑であるが年とともに粗くなる。葉は対生する単葉で、線状皮針形、 狭長楕円形など、長さ2~10cm、幅0.7~1.7cm、鋭頭でしばしば短凸瑞、基部は楔形、全縁、側脉は縁の近くで互に連なって一つの線となる。上面は灰緑色から光沢ある深緑色を呈し、下面には銀白色または黄褐色、褐色の鱗片を密布する。葉柄の 長さは0.6~1cmである。
 花は小さく白色、緑白色、黄白色などで、長さ2.5~6cmの腋生ときに頂生の円錐花序につく。石果は球形から卵形で長さ0.3~1cm、熟して暗褐色から紫黒色を呈する。やや苦いが食べられる。
 散孔材。辺材は黄白色~淡褐色、心材は金褐色で暗色の紋様が出て装飾的である。道管は単独または数個が放射方向に接続する。中に黄色の内容物をもつ。気幹比重に1.12~1.14の記載があり、きわめて重硬で強く耐朽性もきわめて高い。乾燥、切削加 工は困難であるが、仕上げ面は良好である。
 高級家具、キャビネットに好適で、またパネル、施削物などに用いられるが、大きい寸法のものは得にくい。柱など家屋建築材、柵・杭などの土木材にも良い。燃材として優良で、かつてケニアで鉄道燃料に多く用いられた。
 現地民は新しい樹皮の煎汁を腹痛の薬とし、また葉の煎汁を洗眼、のどのうがい薬とする。樹は栽培オリーブの台木に用いられる。  
23.ブラック・アイロンウッド
 ブラック・アイロンウッドOlea capansis LINNAEUS(異名Olea laurifolia LAMARCK)はモザンビーク、ローデシア、南アフリカ産で、英名はblack ironwood、ironwood、ironwood olive、南アフリカでysterhoutという。
 ふつうブッシュ状の低木から、高さ10mまでの小高木であるが、ときに高さ40mに達するものがある。樹皮は淡灰色で、年を経て暗灰色となり縦の割れ目が入る。傷ついた処から特徴的な帯黒色のゴム質のものを滲出する。葉は対生する単葉で、皮針形か らほとんど円形に近いものまであり、長さ3~10cm、幅1.5~5cm、上面は光沢ある淡緑色~暗緑色、下面は淡緑色で、しばしば紫色を帯びる。先端は広くテーパーしほとんど円頭までのものがあり、基部は楔形、全縁、縁は厚くなり、しばしば著しい波状 を呈する。また蝋質で被われるものが多い。葉柄の長さは0.3~1.7cmで、しばしば紫色を帯びる。
 花は白色または黄白色で小さく、甘い匂いがあり、腋生または頂生の長さ3~8cmの円錐花序に多数がつく。石果は卵形などで長さは2cmまで、熟して黒紫色を呈し美味である。材は重硬である。
 果実の大きいもの、葉の幅が広いものなどで3亜種がわけられている。  
24.コースト・オリーブ
 コースト・オリーブOlea exasperata JACQUINは南アフリカ南部の海岸砂丘に生じ、英名をcoast olive、南アフリカでbasterolienhoutという。
 高さはふつう1~2m、ときに7mまでになる叢生する低木または小高木で、樹皮は灰褐色を呈する。若枝はもり上がった皮目で著しく粗ソウである。葉は線状長楕円形で長さ3~7cm、幅0.3~1cm、鋭頭であるが最先端は微細な凸頭になり、基部は楔形 を呈する。全縁で、薄い革質、微細な凹点があり、ときにさわってややざらつく。葉柄の長さは0.4~0.7cmである。
 花は頂生の頭状に近い短く幅の広い円錐花序に多数がつく。白色で小さい。石果は卵形で長さ1cmまで、薄い果肉があり、熟して黄紫色を呈する。現地でかっては根を蛇に咬まれたときの解毒に用いたという。  
25.イーストアフリカン・オリーブ
 イーストアフリカン・オリーブOleahochstetteri BAKER(異名Olea capensis LINNAEUS subsp.hochstetteri FRIIS et P.S.GREEN)はナイジェリアからケニア、タンザニア、ウガンダなどに至る熱帯アフリカに分布し、英名はEast African oliveという。ケニアでは重要な木材樹種の一つでmusharagiといい、この名は材の取引名にも用いられる。なおケニアにmasgat、loliondet、muukuruその他の名称があり、ナイジェリアでzitumという。
 高さ27mまで、直径0.6~1.5mになる高木で、分岐が多く枝は斜上し樹形はあまり良くない。樹皮は灰白色などでほぼ平滑である。
 葉は楕円形~楕円状皮針形で長さ7.5~10cm、幅2.5~3cm、鋭尖頭、基部は楔形、全縁である。革質で、全くまたはほとんど無毛である。
 花は長さ5~10cmの円錐花序につき、小さく白色、花冠裂片は長い。石果は楕円形を呈し長さ2cmほどである。
 辺材は褐白色、心材は淡褐色で不規則な濃淡の縞があり装飾的である。木理は僅かに交走し、肌目はきわめて精で均質である。材の気乾比重に0.88、0.90の記載があり、収縮は大きい。重硬で強靭である。乾燥は遅く割れや狂いが出やすい。厚い材の人 工乾燥では内部割れを生ずるおそれがある。製材、切削加工はやや困難であるが、仕上げ面は良好である。旋削は良好で、着色、研摩なども問題はない。釘打ちには前穿孔が必要である。耐朽性は高い。
 建築造作材、重構造材、道具の柄などの器具材、家具、パネル、旋削物、彫刻、寄木その他に用いられるが、耐摩耗性がとくにすぐれているので、フローリングとしてメープルの代用材となる。  
26.Olea kilimandscharica KNOBL.
 Olea kilimandscharica KNOBL.はケニア産で、現地名をmutamaiyuという。森林生で高さ20mまでとなる。小枝に顕著な皮目がある。葉は楕円形~倒卵状楕円形で長さ7.5cm、幅1.5cmまでである。鋭頭、基部は楔形、膜質で、両面とくに下面に鱗片を散生する。花は腋生の円錐花序 につき白色である。  
27.Olea mildbraedii KNOBL.
 Olea mildbraedii KNOBL.はケニアに産する高さ15mまでの低木~小高木である。枝の分岐が多く、樹皮は灰色で平滑である。葉は楕円形または狭倒卵形で長さ14cmまで、幅5cmまで、鋭頭または鋭尖頭を呈する。
 花は集散花序が円錐状に複成したものにつき、主軸の分枝が不規則で長さ7.5cmまでのものがある。花冠の外面は淡紅色、内面は黄色、裂片は肉質で卵形または楕円形、長さ9mmほどで、花梗は長い。石果は楕円形で長さは1.3cmまであり鮮紅色になる。  
28.エレゴン・オリーブ
 エレゴン・オリーブOlea welwitschii GILG et SCHELLENB.はケニア、タンザニア、ウガンダに産し、英名をElgon olive、ケニアでloliondo、musharagi、bumondet、muukuruなどという。
 高さ30mまでになる高木で、直径は板根の上で75cmとなる。樹幹は円柱状で一般に通直である。樹皮は淡灰色からほとんど白色を呈し、縦の割れ目が出る。葉は皮針状長楕円形で長さ7.5~15cm、幅3.7~5cm、長い鋭尖頭、基部は楔形を呈する。花 は長さ4~9cmの円錐花序にきわめて多数がつく。白色で花冠筒部は裂片の半長である。石果は楕円形で長さ1cmほどである。
 散孔材。辺材は黄白色、心材は黄褐色から淡紅褐色で暗色の縞が出る。木理は通直または交走し、肌目はかなり精である。
 道管は単独のものが少く、多くは2~5個が放射方向に接続し、また小径の道管が介在しこれらはときに接線方向に2~3個が接続する。全体として10個以上からなる道管群がある。せん孔板は水平に近く単せん孔をもつ。チロースが見られる。
 基礎組織は真正木繊維が形成する。軸方向の柔組織では、周囲柔組織は量が少く道管の周辺に不規則に存在する。ターミナル柔組織は不明瞭である。放射組織は1~3細胞幅、1~25細胞高、その構成は異性で、単列部は直立細胞ときに方形細胞、多列部 は平伏細胞からなっている。
 材の気乾比重に0.78~0.83の記載がありやや重硬である。収縮率は小さく生材から気乾までで接線方向2.4%、放射方向1.5%の報告がある。乾燥はあまり困難がなく、ほとんど低質化することはない。鋸断、鉋削などは普通であるが、ときに面の荒れが 出る。着色と研磨は良好である。針打ちでは割れが出やすいので前穿孔が必要である。耐朽性はかなり高い。
 重構造材、建築造作材、とくにフローリング、家具、器具、橋梁、枕木、旋削物、彫刻などに用いられる。
 
29.フォレスト・オリーブ
 フォレスト・オリーブOlea woodiana KNOBL.は南アフリカの東部沿海地域、モザンビークの最南部に産し、英名をforest olive、南アフリカ名をbosolienhoutという。
 高さ10mまでの高木であるが、ときに20mに達する。樹皮は淡灰色で平滑である。葉は狭楕円形で長さ4~8cm、幅1~3.5cm、鋭尖頭、または円端ときに凹むものがある。基部は楔形、全縁、縁は下面に反巻し不規則に波打つ。側脈は縁の近くで互いに結合 してループとなる。下面に孔になるような微細な鱗片があり、有毛または無毛である。葉柄は1cmまでである。
 花は長さ2~4cmで腋生または頂生する頭状に近い疎らな円錐花序につき、白色で長さは約5mmである。石果は卵形で長さは約1cm、薄い漿質の果肉があり、熟して黄緑色を呈する。材は淡褐色~暗褐色できわめて重硬である。かつて"steel- like"と記載されたことがある。
 
30.Olea paniculata R.BROWN
 Olea paniculata R.BROWNはオーストラリアのニューサウスウエールズ、クィーンズランド産で、英名をironwood、native olive、marblewoodという。
 J.ILICの『CSIRO Atlas of Hardwood』の材の写.真によって組織の二、三の要点をあげる。散孔材。道管は単独および2~3個が放射方向に接続する。せん孔板はやや傾斜し単せん孔をもつ。材の基礎組織の繊維(真正木繊維または繊維状仮道管)が形成する。軸方向柔組織では、周囲 柔組織の発達が不規則で、道管の周縁に0~4細胞層あり、ときに接線方向にやや翼状となるものがある。ターミナル柔組織は明瞭で、放射方向に2~4細胞層である。また単独で散在する柔細胞もある。放射組織は1~2、ときに3細胞幅で、2細胞幅のもので は軸方向の中間に1個の大形の細胞が介在するものがある。2~30細胞高。その構成は異性で、単列部は直立細胞または方形細胞、多列部は平伏細胞である。
 材は緻密、重硬、強靭で耐朽性が高い。旋削物、彫刻、桶材に利用されるとの記載がある。  
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