新・木偏百樹

かき

別名
一般には中国が原産とされているが、岐阜県瑞浪市(みずなみ)で第三紀層から果実の化石が発見されていて、日本原産説もある。しかし、なぜか万葉集にはカキを詠んだ歌がない。
古今集になって初めて出てくる。それで柿本人麻呂の姓も樹木の柿ではなく、奈良時代には柿は日本にはなかったのではないかという人もいる。
しかし古事記や日本書紀には人名、地名で柿の文字がすでに現れていることから、かなり古い時代から存在していたと考えられている。
名前の由来は柿の実や紅葉の色にちなむものや、朝鮮語のカキの実のkamカムからの転移説などがあるが、決め手はない。
しかし、現在のカキは外国でもそのまま通っている。
英名もそのままで、ヨーロッパ各地で各国語のカキになっている。 学名はディオスピロス・カキDiospyros kaki Thunb.は「神の食べ物(果物) のカキ」の意味である。
日本の秋の情景を表すのにカキほどふさわしいものはない。各地の農家の周りには必ずカキが植えられ、樹、果実、干柿など、美術工芸品の題材に最も多く描かれてきた。昔の農家では、梢の先に柿が一つだけ残している事があるが、木守(きまもり)、「木守柿(きもりがき)」、「こもり」という習慣で、神への感謝と言われている。また鳥のために残して置くとの解釈もある。このような習慣は果実に限らず、動植物、鉱物、水産資源や焼畑の仕方でも、世界中であったのに、今では何も考えず、少しでも残す方がコストが掛かると一気に刈り取りとってしまい、心の余裕がないように思うのは私だけではないだろう。
明治時代には柿の生産量は果実の中で一番であった。つい最近まで、鑑賞、食、薬以外に産業、日用品の資材として重要であり、日本の果物の中で最高に評価されるものであった。現在ではみかん、りんごについで3位になっている。
柿の葉はビタミンA・Cが多く含まれているが、ビタミンCは、緑茶の三倍以上、レモンの二十倍も含まれている。野菜に含まれるビタミンCは熱を加えると破壊され、ほうれん草では三分茹でると含有量が半分になるが、柿の葉は熱に強く失われにくい。
利用するのは、ビタミンCが大量に含まれる五月から七月頃の若葉が最も良く、生で食べるか、天ぷらや混ぜご飯、煎じ汁で飲むのが効果がある。
また、よく乾燥して柿茶として飲めば高血圧、動脈硬化、成人病の予防になる。
木材としては柿ほど価格差の激しいものはない。黒色の縞や濃淡があるが、一面黒色のものを黒柿という。大きな材でも黒柿でなければタダ同然だし、黒柿と呼べるようなものであれば、小さな材でも立法米当たり百万くらいはする。黒柿は桑とともに銘木の双璧だが、残念ながら、良質の黒柿は見ることは少ない。高級家具、小物に利用されるが、黒柿材の印章は、用紙に深く食い込み、よく印づく。
柿渋生産は江戸時代の重要産業で、柿渋生産を目的とした品種が多かった。柿渋は乾くと、水に溶けないので。強度の補強、防腐防水と耐久性のため、布や紙をコーティングするのに使われた。雨傘、本の表紙、前掛け、のれん、うちわ、和紙のうるし下地、金箔を和紙に貼るときの接着剤などの文化生活に使われた。多く使われたのは漁網で次に多かったのは清酒生産の時の酒をしぼる袋の染めや触媒的利用であった。
学名
Diospyros kaki Thunb.
カキノキ科
カキノキ属
落葉高木
雌雄異株
 
英名
Japanese persimmon、kaki

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