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住宅の研究に生物学的発想が欲しい

インテリア業界への提言

工学的物差しと生物学的物差しの違い

二番目の例は清潔は大事だが、その度合いが過ぎると、生物のためにならない場合もある、という話である。順天堂大学の藤田紘一郎教授は、「清潔は病気」 というちょっと驚くような警告をされている。その意味は清潔も度が過ぎると抵抗力がなくなって、病気になる場合もある、ということである。

例えば O157という菌は東南アジアにはいない。 日本にあるのは学校給食で清潔にしすぎたからだという。皮膚も洗いすぎるのはよくないそうである。藤田先生はカイチュウを飲んで抵抗力を強める方法を研究されているそうだが、予防注射というのは菌を体の中に入れて抵抗力をつくるという話を思い出すと、なるほどと納得できそうである。工学的な立場からいうと、ゼロ%とか一〇〇%といった絶対的な数字が模範答案だと思いがちだが、生物系ではそれが、常に正しいとは限らない。何%かの余裕を持つ数字のほうが正解に近いこともある。水を例に取ると、不純物ゼロ%の 水は蒸留水だが、これは飲み水にはならない。 飲み水がうまいのは何ほどかの不純物を含んでいるからである。

月の探検をした宇宙飛行 士の毛利衛さんから聞いただが、宇宙船は飛行中に蒸留水ができる。だがまずくて飲めないので、塩と一緒に飲み込むとのことであ った。要するに工学的な物差しと生物学的な物差しとは、目盛が同じではないということである。だから測る対手が物と人とでは答えが違ってくるのである。

 もう一つ物差しの目盛が違う話をしよう。
それは住まいに刺激を求めている人もいるということである。昨今はよい住宅の条件として、「ソフトでやさしく」とか「癒しの空間」といったような形容詞が使われているようである。ところがそれとは反対の意見もある。
 音楽家の三技成彰さんにどんな家が好きですかと開いたら、「やさしい家は嫌いだ」 という答えであった。三技さんは十年かかって忠臣蔵のオペラを作られたが、その期間は「睡眠は四時間、一日一食」 という生活を送ったそうである。そういう大きな仕事を完成させるには刺激のある家でないと駄目らしい。

その話を聞いて思い出したことがある。以前に画家の岡本太郎さんとテレビで対談したことがあった。そのとき私が人間工学の立場から座りごこちのよい椅子の研究をしている話をしたら、岡本さんは 「そんな椅子は役に立たん」 といって、陶器製で座面にゴツゴツした彫刻のある椅子を持って来た。それが有名な「座ることを拒否する椅子」であった。
ひとつの目標を完成させるために、睡眠を削り食事を減らして、煩悩と闘う人にとっては、そういう厳しい家や椅子が必要なのであろう。
大部分の人はやさしい憩いの家を好むが、今後はそういう違った物差しに合わせた家を設計する技術も必要になってこよう。アメニティだけが模範答案ではないのである。

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