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木の魅力|

学校教科書に採用された、唯一の木の話です。
この教科書は高校3年用ですが、同様の内容が

中学3年の道徳の教科書にも採用されています。

kohara

情報提供者 小原二郎先生

私たちは、機械文明の恩恵の中で、工学的な考え方に信頼を置くあまり、数量的に証明できるものにのみ真理があり、それだけが正しいと信じ過ぎてきたきらいがあった。だが、自然が造ったものは、木のように原始的で素朴な材料であっても、コンピ ユータでは解明できない側面を持っているのである。 自然がこんなにもかけがえのない大切なものだと思われるようになった時代は、かつてなかったに違いない。「二十世紀は機械文明の時代だが二十一世紀は生物文明に移る。」という意見がある。今、私たちにとって大切なのは、科学万能主義の行き過ぎを反省し、生命を持つものの神秘さにもっと目を向けることであろう。木綿や木のよさを見直そうという最近の動きは、そのことを示唆しているように私は思う。 私たちはこれまで、木は時代遅れの原始的な素材だと思っていた。だからそれに新しい技術を加え、工業材料のレベル(6)に近づけることが進歩だと考えた。その結果、改良木材(7)と呼ばれるものが次々に生み出された。それらは従来の木の欠点を補い、大量の需要に応じ、生活を豊かにするのに大きく役立ってきた。確かに木材工業は発 展したのである。

だが一方、最近になって、一つの疑問が持たれ始めてきたように思う。それは木というものは自然の形のまま使ったときがいちばんよくて、手を加えれば加えるほど本来のよさが失われていくのではないか、という反省である。考えてみるとそれは当たり前のことだったかもしれない。木は何千万年もの長い時間をかけて、自然の摂理に合うように、少しずつ体質を変えながら出来上がってきた生き物だったはずである。 木は自然の子で、そのままが最良なのである。

だから木を構成する細胞の一つ一つは、寒い所では寒さに耐えるように、雨の多い所では湿気に強いように、微妙な仕組みに造られている。あの小さな細胞の中には、人間の知恵のはるかに及ばない神秘が潜んでいると見るべきであろう。それをはいだり切ったり、くっ付けたりするだけで、改良されると考えたこと自体、近代科学への 過信だったかもしれない。それはちょうど、一時流行した自然を征服するという言葉が、実は思い上がりの面があったことが、今反省されているのと同じ事情ではないだろうか。

 


【学習の手引き】
1.「本文は大きく三つの段落に分けられている。それぞれの段落ごとに、筆者が述べていることを整 理してみょう。
2、筆者は「木の魅力|」とはいったいどのようなものだと述べているのか、一で整理したことをもと にして考えてみょう。
3、「二十世紀は機械文明の時代だが二十一世紀は生物文明に移る。」という 意見について、各自の考えをまとめ、話し合ってみよう。

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