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小説と木

樹種「マツ」の素敵な文章

日本で国木(こくぼく、国を代表する木)というものがあれば、あるいは指定するとなれば、それはマツになると思われます。なぜなら木としては歴史的に見てもサクラより古くから親しまれていて、季節にかかわらずマツの葉の緑は永遠の象徴として鑑賞されました。門松、松竹梅、舞台の絵など、一番であること、めでたい事の意味を含んだ言葉や絵として利用され、用材としても住宅などの構造材として重宝されてきました。城の樹木にはマツが使われ、海岸にも防風林として風景に馴染んできています。万葉集に詠われている樹木の中では、松が77首もあり、一番多いことからも万葉の人たちの中で、身近な木であったのでしよう。
小説の中のにでてくる木としてサクラの次におおいのがマツです。
しかし、一位のサクラが58人ですが、マツを取り上げた作家は67人で、マツを記述する作家がより多いということがわかるでしょう。ただし、現在ご存命の作家を含めると、この差は縮まります。

マツが一度でも出てくる小説は229(サクラは132)ありました。この点もサクラよりはるかに多いですね。
出現回数は1106箇所ありました。

最も出現回数の多い作家は宮沢賢治で106箇所、 次は夏目漱石で89箇所です。
以下、川端康成の59箇所、三島由紀の夫53箇所、壺井栄の53箇所、谷崎潤一の郎49箇所、水上勉の48箇所、島崎藤村の46箇所、幸田文の38箇所、芥川竜之の介32箇所、田山花袋の20箇所、泉鏡花の20箇所、佐藤春夫の20箇所、志賀直哉の20箇所、山本周五の郎18箇所、遠藤周作の18箇所、井伏鱒二の18箇所、太宰治の16箇所、樋口一葉の15箇所、長塚節の14箇所、林芙美子の13箇所、山本有三の12箇所、山崎豊子の12箇所、北杜夫の12箇所、松本清張の11箇所、宮尾登美の子11箇所、高田宏の11箇所、尾崎紅葉の11箇所(以下省略)です。

また小説別では壺井栄の「二十四の瞳」に53が一番多く、次に幸田文の「木」の38、 以下、谷崎潤一郎の「母を恋うる記」36箇所、夏目漱石の「吾輩は猫である」31箇所、三島由紀夫の「潮騒」29箇所、島崎藤村の「夜明け前」27箇所、水上勉櫻守の「櫻守」24箇所、三島由紀夫の「金閣寺」23箇所、川端康成の「古都」23箇所、佐藤春夫の「田園の憂鬱」20箇所、川端康成の「山の音」20箇所、田山花袋の「田舎教師」20箇所、夏目漱石の「三四郎」18箇所、志賀直哉の「暗夜行路」17箇所、夏目漱石の「草枕」15箇所、井伏鱒二の「黒い雨」14箇所、長塚節の「土」の14箇所、遠藤周作の「黄色い人」12箇所、水上勉の「雁の寺」12箇所、島崎藤村の「千曲川のスケッチ」12箇所、北杜夫の「楡家の人びとの」12箇所、宮尾登美子の「寒椿」11箇所、高田宏「木に会う」11箇所、尾崎紅葉の「金色夜叉」11箇所、山本有三の「路傍の石」10箇所、でした。

小説の中でアカマツ、クロマツとあるものは今回の集計には含めていません。

以下に面白い、素敵、綺麗な表現のあるものをピックアップします。マツに関する情報と写真はコチラ

夏目漱石の「三四郎」
巨人の傘(からかさ)のようにを広げて玄関をふさいでいる。(250頁)
幸田露伴の「五重塔」
有楽形の燈籠に松の落葉の散りかかり、方星宿の手水鉢に苔の蒸せるが見る眼の塵をも洗ふばかりなり。(57頁)
尾崎紅葉の「金色夜叉」
感に打れて霜置くの如く動かざりし荒尾は、(347頁)
田山花袋の「田舎教師」
青い草を下草したぐさにした絵のようなの影があった。(113頁)
島崎藤村の「夜明け前」
枯松葉の煙のいぶるような朝が来た(277頁)
樋口一葉の「われから」
答える物は松の風(224頁)
長塚節の「土」
寒さは束ねた松葉の先でつつくように徹宵(よつぴて)隙間を狙つて止なかつた。勘(331頁)
志賀直哉の「暗夜行路
が叫び、草が啼いている高原の薄暮を一人、すうっと進んで行く。(238頁)
谷崎潤一郎の「痴人の愛
露のしたたる松の枝から、しずかに上る水蒸気にも、こっそり忍び寄るようなしめやかな香が感ぜられました。(215頁)
山本有三の「真実一路
松の木はかならず松の木としてのびていきます。(232頁)
岡本かの子の「鯉魚」
やや晴れた方の空に亀山、小倉山の松の梢だけが墨絵になってにじみ出ていました。(163頁)
岡本かの子の「蔦の門」
そのまゝ佇んで、しめやかな松の初花の樹脂臭い匂ひを吸ひ入れながら、(150頁)
芥川竜之介の「杜子春」
夜風と共に消え失せて、後には唯、絶壁の、さつきの通りこうこうと枝を鳴らしてゐるばかりなのです。(59頁)
佐藤春夫の「田園の憂鬱
引き分けると、は其時ほつと深い吐息をしてみせたやうに彼には感ぜられた。(44頁)
宮沢賢治の「暗い月あかりの雪のなかに
ひるなら碧くいまも螺鈿のモザイク風の松の影だらうか やっぱり雪が溶けたのだ(158頁)
宮沢賢治の「二十六夜」
風が少し出て来ましたので松の梢はみなしずかにゆすれました。(112頁)
横光利一の「春は馬車に乗って」
松の葉がどんなに美しく光るかって云う形容詞を、たった一つ考え出すのだね」(62頁)
太宰治の「正義と微笑」
別荘をかこんでいる松の林は、その赤い光を受けて、真赤にキラキラ輝いている。(74頁)
三島由紀夫の「潮騒」
松影がはだらに落ちているその白い二百段の石を仰いだ。(25頁)
城山三郎の「打たれ強く生きる」
もはや語りかけてくるのは、松籟(しょうらい) の音しかない(29頁)
マツ

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