ちょっとおかしな木のおはなし

生きる

注:この記事は「生物青年の主張」の弁論大会で優秀賞を取った 「樹木さん」の発表内容です
我々木も生き物ですから、「生きたい」と思っています。

その気持ちはあなた方動物に優るとも劣らないと言えます。


実際私は先祖の行為に泣けてくる時があります。

家族を守るために次の世代を守るために上の者が身を犠牲にしてまでも家業の木を守ろうとする姿は我々は毎日見てきました。


しかも我々木は他の者との争いは好みません。


相手を攻撃するようなことはしませんし、ましてや相手を殺して栄養を取ろうなどと動物がしている行為などは絶対にしません。

自分達はただただ太陽のエネルギーを利用して炭酸ガスと水から栄養を作るだけなの平和主義者なのです。

しかし相手が攻撃してきた時は守ることはします。

(戦争は放棄しても自衛権はあります)我々のほとんどがしている自衛行為とは、心材を作るという行為です、丸太を切り口から見ますと、木は周辺部の2-3cmのみが白くなっていますがこれが辺材と呼ばれている木の若い部分で、水や栄養分を通しているところで、この部分のみが木で生きているところなのです。

この部分は木も柔らかく栄養もあるので白蟻を始め黴や菌がもっとも好む部分です。

しかし我々木としては食われてばかりでは倒れてしまいますので、表面部分以外は木の細胞の中に何やかやと虫や菌に食われないようなものを詰め込みます。

その為に細胞の穴はふさがってしまって木としては死んだ状態になります。

しかし死んでも木を支えることはできますので、心材は木を支えるだけの為に存在していることになります。

しかしさすがの死んでしまった心材もそれが長くなりすぎると死んだ細胞ですら腐ってしまうので、木の真ん中が腐って空洞になったりします。

よく大きな木で真ん中が完全に腐ってからっぽなのに生き生きとしている木がありますが、木というのはあなた方人間で言うと、社会の中で小学生だけが働いていて中学生になると体中に毒を(いわゆる毒薬とは違いますが)溜め込んで死んでしまって人柱になるという社会なのです。

そして高校・大学・壮年期と人柱になってさすがに老年になると自分だけは腐ってなくなる。

しかも他の人の迷惑にならずに人知れず木の真ん中で静かに死んで空洞になると言う非常に可哀想な運命を背負った生物なのです。

そんな可哀想な木の小学生に攻撃をかける奴がいます。

微生物・黴・菌です。

彼らとは何億年も前から相性が悪いのです。

故に我々は生き残るために彼らに対して毒を持ちたいのはやまやまですがすべてうまく持てるとは限りません、しかし進化の過程でいくつかの木は持つことができました。

桧はあの独特の匂いは黴をよせつけませんし、楠の匂いの強烈なのは防虫材として使われています、チークは木の中の独特のオイル成分が腐ることを防止しています。

これらは広い意味では毒です。

木はその進化の過程で微生物と徹底的に戦ってきました。

それ故、ほとんどの木の心材は微生物には敵対的です。

しかし動物に関しては、木の実を食べて、種を運んでくれたり木にとっては持ちつ持たれつの関係でほとんどの場合は友好的な関係を結んできました。

しかし中には動物に対して敵対的な行為をするものもあります。

例えばうるしの木はかぶれますし、桧系統の木は製材の時のオガ屑は喘息を起こしたり,人によってはかぶれたりします。

アフリカ材のマコレと言う木は木の中にシリカを溜め込んで製材の刃物はボロボロにするは、オガ屑は猛烈なアレルギー反応を生じさせるとか徹底的に自分が加工されることに抵抗します(しかし加工されてしまえば高級な家具に使用されたり、あきらめの早い木です)・・・と言うことで、我々の心材には広い意味での毒があります。

しかし人間が作る人工的な毒や木材に使用されている防腐剤と比べて木の毒と言うのは大きな違いがあります。

基本的に木は自分を守れば良い訳ですから、防虫性は持っていますが、殺虫性は持っていないと言うことです。

例えば楠から作った樟脳をいつも洋服ダンスに入れていたから、体内に毒が蓄積されたり、漆職人は漆の毒が体内に蓄積されると言うことはありません。

実際、製材所で朝から晩までオガ屑を吸っていた人が何年働いていても体を悪くはしませんが、石やセメントを扱っている人は長い間の労働で肺が機能しなくなったり防腐剤や殺虫剤を扱っている人が、段々その毒が体内に蓄積されそれが人体の器官を犯したり、ホルモンバランスを崩したりします。

我々はそんなことはしません。

我々は自分の身を守るためのことしかしません。

ですから我々木が生きるために多少廻りの動物に害を与えた時も暖かい目で見て欲しいのです。

木にかぶれた方には申し訳ないと思っています。

漆にはよく言ってあるのですが、彼は単に自己主張をしているだけなのです。

我々は平和に生きたいのです。

どうか我々の気持ちを認めて欲しいのです。



主催者注:だからと言って木を伐採してはいかんと言うことを発表者は言われているのではありません。

発表者が言われましたように樹木が炭酸ガスを吸って酸素を吐き出しているのは、樹木の若い時だけなのです。

樹木は伐採して植林する限りはむしろその方が良いと言う意味ですので、誤解のないように
発表者:そのとおりです

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