御出身が木の国紀州であり、学ばれたのが三重の林科であり、ご家業が木材業であり、又、三重大で長らく林科の講師を勤められた。
然しそれ等のご経歴をも越えて、計り知れぬ程深く木材を愛され、木材の為に積極果敢に行動し尽力されてまいりました。
そして最後には現在我が国林業の重大問題になって居り、森林維持に絶対必要な間伐材の利用について、東奔西走されたのに頭の下る思いでございます。
今こそ地球環境の保護が世界的に叫ばれ、森林の破壊が地域全体に開いた最大の傷口であります。
もう若干遅きに失した感じがいたします。
現在日々森林は消滅しつつあり、地球の砂漠化は土壌、又水資源の問題であり、人間が健康を享受できる環境が亡びゆくことであります、中川さんはその辺の事情を数十年前から先見して居られ、その深遠な洞察力には敬服するばかりであります。
中川さんは行動力の人であり、その理想に向って、一刻も猶予せず前進されました。
ご遺族からお話をうかがっても、会社であれ、家庭であれ、どこの場所でも一刻も無駄にせず、行動し、物を書き、何かなさって居られた由です。
私も一度中川さんの車に乗せていただいた事がありますが、電話設備は勿論、メモ筆記具類、書類、何冊もの書物、などさながら走る社長室の様で、走行中の時間も無駄にされる事なく、仕事をこなし、木材のため森林のため、献身されて居るのだなーと感心致したことがありました。
中川さんは猛スピードをだして走りすぎ去られた。
誠に惜しい、得がたい人を失った。
ご遺族の愛惜の念堪え難きをお察し申し上げますとともに、又遙かに日本の隅々まで、中川さんの愛された山々の木々も、森達も、私共と一緒に痛恨の極みと涙して居ることと思います。
ご冥福を祈ります。