この様な立派な指導者で、実行力のあるお方をなぜ早く天に召されたのでしょうか、世の無常を嘆かずにはおれません。
中川様は、和歌山林業界の名門のご出身で、木材界の先覚者であると共に、三重大学林業科の講師として、二十余年の永きに亘り、立派な人材を育てられました。
中川様は各方面のリーダーとして、国家に対する偉大なご功績により先年、藍綬褒賞ご受章の栄誉に浴されました。
今後国家の為に益々のご活躍を続けられ、大いに期待致しておりましたのに残念至極です。
中川様は、特に愛馬家でありまして、戦後、焼土大阪から乗馬界復興の生みの親として、ご苦労を重ね、大阪府馬術連盟の結成にご尽力され、昭和二十七年より大阪府馬術連盟の初代理事長にご就任され、其後、財団法人大阪乗馬協会の設立発起人として奔走されまして、今日迄、両団体の役員として、馬術界の育成発展に大きくご貢献頂いた大恩人であり、ご功労に深く感謝申し上げています。
馬を愛される中川様が、全国から蒐集された貴重な、馬のコレクション数百点を、大阪乗馬協会にご寄贈頂き、馬術大会にご来場頂きました常陸宮殿下、同妃殿下にも中川様のご説明でご覧頂きましたのも想い出になりました。
尚、中川様は、社団法人清交社の有力メンバーとして、ご活躍されると共に、大阪西ロータリークラブの会長として、奉仕の理想の実現に努力され、現在は、国際ロータリー第二六六地区米山奨学委員会委員長の要職にあり、海外よりの留学生の指導援助等を通じ、国際奉仕に率先しておられた任期中のご逝去で残念至極です。
中川様が、実業界、教育界、国家社会の発展に終生を献げられた偉大なご道徳は永久に不滅であり、後世の鑑として、受け継がれる事と存じます。
永年に亘り頂きましたご高恩に深く感謝して心よりご冥福をお祈り申し上げます。
合掌