国産材の流通経路を見てみると、次のようになります。 ①山林家(国有林を含む。森林組合もこのポジションに入る)。
②素材生産業者
③素材流通業者(原木商、素材業者と呼ばれることが多い。原木市場もこの部分ですし、外材については商社の木材部もここに入る)。
④製材所
⑤製品問屋(木材製品市場、木材センター、付売問屋もこの部分に入る)。
⑥小売業者(納材問屋は規模的には問屋部門に入りますが、商行為の実態からはこの部門に入る)。
⑦建設業者(造園、エクステリア、インテリア業者も含まれる)。
⑧一般需要者
以上のとおりです。農林水産省統計情報部で行った「木材流通構造調査(昭和五五年)」によると、全国の経営組織別事業所数および素材(国産材)と製品(国産材)の流通経路は、次の表及び図のようになっております。
ここで注意しておきたいことは、⑥の「小売業者」のことです。通産統計などでは、木材の小売業者の中に、納材問屋、仲買業者(小売店)を入れていません。なぜかと言うと、納材問屋及び仲買業者(小売店)はいわゆる建設屋さんに材を売っていて一般需要者とはつながっていないので、という理由からです。したがって、私たちの言う「小売業者」は問屋業の中に入れられ、当然「小売業者」の中に入れられるべき「納材業者、仲買業者」は入れられないで統計処理がなされています。これでは、国産材の流通システムを改善しなければならないと考えて、流通量や流通実態をとらえようとした時に、通産統計や府の商工部が出している数字が参考になり難い。
大阪の場合には、京都もそうだと聞きましたが、木材業者登録をしていないので、木材業者が何軒あるのか、また、その内訳はどうなのか、いまだに分からないというのが実情です。私たちは大阪にだいたい一、五〇〇軒くらいの木材業者がいると思っていましたが、農林統計事務所が行った「流通実態調査」によると、二、三〇〇軒位あるという数字が出ました。「ほう、そんなにあるのか」ということで、「では一遍、自分たちで調べてみよう」ということになって、木材流通研究会の豊中地区の人の手で、まず豊中市内を含む北摂地域だけを調べてみましたら、予想していた倍くらいの件数がありました。と言うようなことで、実態が全然つかめていない。これでは、表 木材流通にかかわる経営組織別事業所数観念的に「これから国産材が多く入ってくるようになるな」と思っていても、増えてくる国産材を受け入れるスペースが流通面であるのかどうかすら分からないわけですから、ぜひ各ポジションの実態がどうなっているのかを明らかにしてゆく必要がありましょう。この点でも、初歩段階で木材業界は努力していなかったことになります。