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神谷のインドネシア点描

『幻のコーヒーを求めて』…の巻

 

インドネシアはコーヒーの産地です。
ジャワにもカリマンタンにもスラウェシ(セレベス)にもスマトラにもコーヒーは出来ます。 それぞれが特徴を備えたコーヒー達でお味は好き好き、通には堪らないものでしょう。

ジャカルタで一緒にワイワイ飲んで騒いだかつての仲間達で『魑魅魍魎の会』という 集まりを作って毎年末に飲んでおります。その会に出席した際、会員の一人から
『インドネシアに幻のコーヒーが有ると言う噂を耳にしたが知っているか?』、と聞かれました。
何でも獣が美味しい熟れたコーヒーの実だけを食べて糞をするそうです。
そうするとその糞の中からコーヒーの種だけが出てくるのだそうです。

人間は早く収穫したいので熟れてもいないコーヒーの実を穫って倉庫で熟らしたり
儲けたい一心で美味しくもない実を混ぜたりします。

獣は正直です。熟れていない実は食べません。美味しくない実は食べません。
食べろと与えてみ食べません。まして野生の獣には強制もできません。
よってこの獣が食べる実は美味しい実だけなのです。
邪な人間の手を経ていないだけに間違いがないのです。

この獣はその名を『MUSANG・ムサン』、と言います。 猫より少し大きめの動物だそうです。イタチのごときものでしょうか…
絵を見ますとトラのような縞模様も背中に見えますがその姿はトラというよりネズミです。 まさにツチノコのごとく眼にすることのない幻の獣、『コーヒーの実大好き獣』、なのです。

皆さんはコーヒーの色を知ってみえますか?
小職は仕事柄セレベス島のパロポと言う所へ行きますのでその行き帰りにかの
有名な天国に一番近いといわれるトラジャへ立ち寄ります。
トラジャはセレベス等の背骨のごとき800~1000mクラスの山岳地帯にあり
パロポはそこからイロハ坂のような急坂を下りきった海岸にあるからです。
ここは昔からコーヒーの産地ですので色んな段階でのコーヒーを眼にする機会を得ました。 
その色はまさに、【赤】-【鶯】-【茶】、と三変化するのです。

実のうちは【赤】色です。これを収穫するのです。
その実から種を取り出します。コーヒー生豆といわれるものです。これは【鶯】色です。 これを天日乾燥させた後に焙煎します。 この時点でようやく皆さんにお馴染みの焦げ【茶】色となるのです。

ムサンはこの赤色に熟れた実だけを食べるのです。

トラジャにはトラジャ族というモンゴリアンが住んでおり葬式の為に働くことで有名です。 そのトラジャには多くのコーヒー園があり日本向けにもキーコーヒー(木村珈琲)が30年前より ここに自社コーヒー園を構え、『幻のトアルコトラジャコーヒー』、として売り出しています。

でも、こんなのは幻ではありません。人間が作れるものは幻にはなりえないのです。
黒檀は植林が出来ず天然木の本数が極めて少ないが故に幻と言われるのです。
これが植林でいくらでも人工的に作れるようになれば銘木でも幻でもなくなりましょう。
幻の本マグロとは言っても近大の手による養殖本マグロに幻は付けないでしょう。
同様な事情により『幻のトアルコトラジャ』は、キーコーヒーの宣伝文句なのです。
30年前の復活前は幻でしたかもしれませんが今のごとく復活して植栽でいくらでも出来て 来ますともう幻ではなくなってしまうのです。
幻でなくしたのはキーコーヒー本人でしょう。

それに比べこのムサンコーヒーは本当の『幻』です。
人間の経済原理をムサン(獣)は知りません。
本当に美味しい実だけを食べます。
その結果出てきた糞の中からのみこのコーヒー豆は得られるのです。
人間はただムサンの糞のみを探すだけです。
ムサンの糞から出て来た豆のみをムサンコ-ヒーと呼びます。
美味しいかどうかはムサン次第、動物の正直な勘に頼っているのです。
ムサンは嘘をつきません。
熟れていなかったり不味かったりすれば食べません。当然糞の中に種は出ません。
このように人間の邪な作為が入らないから安心なのです。
ギャランティーを正直な獣である【ムサン】がしてくれるのです。
ムサンコーヒーが珍重がられているのはそれだけ人間が人間を信用していない証拠です。

では、糞から出てきたと偽って違う豆を混ぜたら?

そんなことを考えるから信用がなくなるのです。

・・・・・・・・・インドネシア人はそんな姑息なことを考えません。

・・・・・・考えないと思います。

・・・考えないと祈ります。

(追伸)
こんなムサンコーヒーを探し回りコタ(ジャカルタの旧市街)で見つけたコーヒー豆専門店で 買いました。メダンコーヒーがkg当たり6万ルピア(約600円)、ジャワコーヒーが7万ルピア、 カリマンタンコーヒーが8万ルピア、バリコーヒーが9万ルピア(900円)、スラウェシ(セレベス)の トラジャコーヒーでも10万ルピア(1000円)なのになんとムサンコーヒーは18万ルピアもするのです。
しかも販売制限をされました。入荷が少ないのでお得意様に在庫を保管しておかねばならない、 というのがその理由です。
このムサンコーヒーの焙煎豆を買って帰国しました。
御興味御有りの方が居られましたら、焙煎豆が宜しいか、粉に挽いた方が宜しいか、住所に 書き添えてメールで小生までお知らせ下さい。 少量ですが実費でお分け申し上げます。

インドネシア写真
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コタのコーヒー豆屋   ムサンコーヒーの焙煎豆
インドネシア写真
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スラウェシ(セレベス)コーヒー10万ルピア  バリコーヒー9万ルピア
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カリマンタンコーヒー8万ルピア  ジャワコーヒー7万ルピア
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メダンコーヒー6万ルピア   幻のムサンコーヒー18万ルピア 
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トラジャコーヒー豆干し
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トラジャ族の子達 焙煎前のトラジャコーヒー豆
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ムサンが好きなコーヒーの実   幻のムサンコーヒー豆

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