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大型テーマパークと木材

中川木材産業㈱ 中川勝弘
どのようにしてどこから受注したか

今から11年前に大阪工業会のリゾート視察旅行で米国を訪問しました。私にとっては2度目の旅行でしたが その印象は強烈でした。会社の長期戦略に2つの影響を受けました。ひとつはヒルトンヘッドのリゾート地を みたときは、今後日本もウッドフェンス、ウッドデッキが商品になると思い、その後日本で最も早く、ウッド デッキ等を商品化しました。またもうひとつはテーマパークです。大型テーマパークでは 多くの木材を利用しており、日本でもこのようなテーマパークが出来れば、このような仕事ができるのでは、 またしてみたいと思ったのです。 その後、大阪に大型テーマパークできると聞き、いろいろ調べました。当初は現在の会社ではなく 企画会社でした。飛び入りで当社の屋外木造施設の実績や、施工写真などを持っていきました。 また、その後株式会社USJの社長や幹部の方、また建設関係のトップの方とも知り合いになりましたが 私が行った、トップセールスは何の影響もありませんでした。 USJの工事は3つの工区を3社のスーパーゼネコン(大林組、竹中工務店、鹿島)でわけられており、それ ぞれが、その下請け、孫受けと仕事を請け負っていました。あるとき、そのうちの孫受のサブゼネコンさん から工区のほんの一部分の見積もり依頼を受けました。初めて扱う樹種で、米国から直接輸入しなければ いけないことなど、さまざまな障害がありましたが、話は順調にすすみました。見積もりの段階で社員2名 が本国の大型テーマパークを見学し、其の仕様をつぶさに調べました。社員の熱意が通じたのか その工事は受注することがてぎました。 当初USJの工事に関しては大阪においても、熾烈な競争であり、日本各地からいろいろな業者が営業をかけ ていたようです。私たちの会社は私が社長になった15年前から、営業マンがいないため USJの工事に関しては、営業で負けてしまうかも知れないという考えがあり、夢にまでみるテーマパーク でしたので、少しの部分だけでも工事できればよいと思っていました。 そんなことですから、その一部分の工事が受注でき時には本当にうれしかった。 ところが、この一部の仕事を受注したおかげで、となりの工事も、次の工区も、どんどん紹介というか、 先方のサブコンやら、商社から声がかかってきて、気がついたら、屋外の木造施設工事、(エクステリア、 木造景観施設工事)はほとんど当社でさせていただいていたということになりました。 約10社からの受注でした。
どのような仕事を仕事をしたか

仕事は全般には2種類でひとつは土木仮設材の納入とでもうひとつは屋外用木造施設の企画、設計、施工です。 土木仮設材の納入は通常の仕事と同じで測量杭、バタ角、貫などで、約150立方メーター納入しました。屋外用 木造施設はラグーンの周辺のボードウォークや手すり、階段、ポール、看板、電車回転盤、梯子、防舷材、 ホンツーウン、ベンチなど、ウエスタンエリア、ジュラシックパーク、アミティビレッジではフェンス、塀、 門扉、手すり、フェンスなどの木部、ロープ、金具を作らせていただきました。 仕事内容は企画開発、提案、設計、材料手配、組み立て、施工、塗装、特殊加工、調整などをさせて いただきました。特殊加工については、USJさんの秘密の範囲なので詳しくお話できません。 USJでの仕事の特徴は、いくら承認された図面とおりに製作しても、現場の(パーク)の雰囲気にあわなければ、 やりなおしということがあります。私たちに限らず、他の業種の方でもこれには困ったようです。 幸い、当社の現場責任者はデザイナー、作家の仕事もしており、英語も堪能でしたので、USJのアートディレクター の話はすぐに飲め込み、途中から非常にスムーズに事がはこんだようです。 また、安全性に関しては特に厳しく、注文があり、これも商品、構築物が感性したからもやりなおしをしたものも あります。また、日本の工事と異なる点は、木がもつ自然さを理解していることで、割れ、ソリなどは基準の強度 や性能がでていれば、なんら問題になりませんでした。
どんな樹種を利用したか

一番多く利用したのは米国産のサザンイエローパイン材です。これはラグーン周辺のボードウォークのデッキ、杭、 防舷材、護岸材などに利用しました。ラグーンは人口の湖ですが、杭のメンテナンスとしてはパーク開幕したら、 あと水を抜くことはないので、腐らないような防腐処理が必須です。日本の規格では性能的に心配でしたので、 米国の規格で、現地で注入し輸入しました。 木の塀もわりあい多く、カナダ産ウエスタンレツドシダーを利用しました。従来の日本の塗装とは異なる感じの ものにしていますが、これはパークと非常によくあっています。そのほか、シベリアの唐松、ニュージランドの ポンデロッサパインなどをフェンスやベンチなどに利用しました。またな内地杉も利用しました。特に間伐材を 利用したフェンスは、当社で開発したもので、仕上がりはウエスタン風になっていますが、金具が回りから見え なく、曲がったいる丸太、末口、元口の寸法差が大きくでもOKで、周りの雰囲気にも合っています。
USJとTDS

USJは大くの木材を利用していますが、東のディズニーはどうでしょうか、同昨年開園したディズニーシーはテレビ な写真で見る限り多くの木材を利用しているようですが、どうでしょうか。実は仕事の話がなかつたので、どの程度 利用されているのか、また木材は何が使われているか、興味があり、社員らと4人で、昨年11月に見学に行きました。 おどろくことにUSJでは木材が使われているようなところはほとんど疑木や化粧コンクリートでした。ウォータフロ ントの杭なども多くが疑木で一部簡単に取替えできるところは、本物の丸太でしたが、防腐処理はされていません でした。また、デッキなども人が入ることができないところ、つまり雰囲気のため見るだけの箇所は本物の木材を 利用されていました。 どうしてこのような差があるのか自分なりにかんがえましたところ、TDSのお客様は小さい子供が多く、反対にUSJは 若い人から中年というような客層です。一般には年齢層は少ししか違わないようですが、実際はかなり開いている ように思います。TDSは子供なら疑木でも木と見えるだろう、また、それよりも安全性を優先した。USJは大人では安全性よりも本物重視をした、という解釈です。
USJがこれから与える影響

USJのパーク内を歩いてもらえばわかりますが、日本の従来の公共工事の木材の仕上がりとは異なります。 一見、木材の欠点が多くでているようですが、、ワレや、ソリなど木であれば当然のこと、見てくれだけで 欠点を限りなくなくそうとすれば、性能的に問題がなくても、コストが高くなってきます。USJの使い方は木材の 価格を抑えることができ、ハネ材も少なくなり、地球環境にとってもよいことです。仕様や検査の厳しい USJでこのような使い方ができたのですから、この種の使い方は普及すると思います。

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