SEO対策で上位表示を目指す
会社のホームページを担当している方なら「SEO対策」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
SEOとはSearch Engine Optimizationの略で「検索エンジンの最適化」と訳されています。情報を求める人がインターネットで商品、サービスなどを探す場合、多くはヤフーやグーグルを利用して、調べたい内容のキーワードや固有名詞で探します。その結果、キーワードに合ったものがページに一覧として表示されます。通常1ページに10件ずつ表示され、とてもすべて見ること出来ないくらいのページ数になっています。
ここで1ページ目に自社のホームページリストが表示されているのと、2ページ目以降に表示されているのでは、ホームページを見てくれる度合いが大きく異なり、ビジネスに直接影響が出てきます。多くの人は2ページ目以降は見ないので、作成者は1ページ目、あるいはより上位に表示されるようにさまざまな対策をとりますが、これを「SEO対策」といいます。検索エンジンの仕組みはクローラーと呼ばれるプログラムが、日々ネット上を巡回しホームページの内容を収集しデーターベース化しています。
ホームページのソースと呼ばれるhtml文章やページ内容、どこからリンクされているか、どこへリンクしているかなどの情報を定期的に収集しています。その結果によって表示の順位が決まるわけです。検索エンジンは情報を求める人に欲しい情報や必要な内容を提供しなければなりません。
ユーザーが検索しても、その検索結果が求めていない情報ばかりであれば、ライバルの検索エンジンや他の方法で情報収集され、広告収入がなくなります。そのためたえずプログラムを改良して、検索の精度を高めています。 日本の検索エンジンはヤフーとグーグルで90%のシェアを占めています。2010年12月からヤフーはグーグルのエンジンを採用しましたので、SEO対策はグーグルだけにするのが普通です。SEO対策には、大きく分けて内部対策と外部対策があります。
内部対策とは主にホームページのソースを検索エンジン用に最適化することで、ホームページ作成経験のある方なら基本的なことはすぐに出来ます。少し専門的な話になりますが、ホームページ内容を表したキーワードとその回数、titleタグ、h1やh2という見出し項目タグ、descriptionなどの記述を適切に作成することです。わかりやすく言えば、検索エンジンに引っかかりやすい用語をホームページ内に埋め込むのです。具体的にひとつの例をあげます。
ソースに記述されているtitleタグというのはインターネットエキスプローラーですと、上部にホームページの名前などとして出てきますが、これだけの役割ではありません。titleに記載された単語はこのページの重要なキーワードになり、これを検索エンジンは最も重要視します。会社で販売するものが自転車ですと、このtitleには自転車という単語が入ってなければなりません、しかも前の方に記載する必要があります。悪い例としては「○○商会」などと社名だけのものがありますが、正しくはこれを「自転車の○○商会」、「自転車通販|○○商会」などとします。また他のページはその商品に応じて「折りたたみ自転車 ○○商会」、「子供用自転車|○○商会」などとして同じタイトルはつけないことです。このようなことを最適化といいます。これらは自社で出来ることばかりで、SEO関係の書籍も多く出版され、インターネット上でも多くの情報がありますので、個別の記載方法、やってはいけないことなどを参考にしてください。
一方の外部対策とは、自社のホームページ以外のことで外部への対策を行なうことです。
主な方法としては、外部からのリンクをもらう事がありますが、これについては相手がいないと成り立たちません。そのため費用が発生することもあります。ここではSEO対策として、優先順位の高い順に4つの例をあげておきます。
ホームページを開設したら、各検索エンジンへの登録をします。登録のやり方は誌面の関係で割愛しますが、グーグルの例では、グーグルアカウントが必要ですが、指定のページにホームページアドレスを入力するだけの簡単なもので無料です。
登録すると24時間以内にクローラーがホームページを見に来てくれて、ホームページ内容を収集します。これで検索エンジンのデーターべースの中に初めて情報がCOPYされ登録されたということになります。検索エンジンで自社の社名などを検索しても出てこない場合は、この登録をしていない可能性があります。グーグルへのインデックス登録は必ず行ないましょう。自社の商品や社名に知名度が少ない場合は必須です。
相互リンクとは「自社のホームページからリンクを設置するので、そちらのホームページからも自社ホームページ宛リンクをしてください」などと相手にお願いをして、お互いにリンクを設置するものです。これにより相手先のホームページを見ていた人が、リンクをたどって自社のホームページを見にくるというメリットがあります。インターネットが出現して以来からの手法です。関係のある団体などで会員のリンク集があればリンクのお願いをするのも有効です。
例えば所属団体や業界団体ページの名簿や取引先紹介などですが、会社関係で探すといくつか出てくるものです。ホームページというのは絶えずページが増加、更新されていなければ順位が下がるという宿命を持っています。
ただし、ブログやフェイスブックのように、簡単にホームページにコンテンツを作ることは困難な作業です。そこで最も手軽にできる対策が相互リンクページの更新になります。他のウェブサイトからリンクをしてもらうというのはSEO対策会社、検索エンジン会社の両者も認めているように重要なポイントで、SEOの基本となるものです。
またホームページは受けるリンクの質と数によって大いに影響を受けます。質が良くて、数が必要ということです。質が良いというのはペイジランク(注)の高いページからのリンクが必要だということです。例としては行政機関、大手の会社、業界のポータルサイトからのリンクですが、これらについてはよほどのことがない限りリンクを設置してくれません。そのため質のよいリンクを求めるより、まずは数を求めることになります。ただし、リンクの数を大量に増やす方法の中でしてはならないことがあります。
それは自社あるいは業者に依頼し作為的に大量で急ごしらえのホームページを立ち上げ、そこから大量のリンクを自社ホームページ宛に設置することです。そうすると自社ホームページのペイジランクが高くなり、検索エンジンでも上位に上がります。またSEO対策としてこのような手法でリンク販売というビジネスが広がりました。でもこのような結果のホームページは本当に支持されているものではないので、現在はグーグルがペナルティをかけるようになっています。また、グーグルはリンクの購入はガイドラインに違反していると宣言しています。
現在のところ、ペナルティはリンク効果をゼロにすることにとどまっていますが、将来はマイナスとなる可能性もあります。つまりいくら数多くのリンクがあっても作為的なものは評価を下げる可能性があるので、このような行為やリンク購入はしてはならないということです。しかし相互リンクであれば、リンクの設置をする前にお互いが相手のホームページを見ることができ、実体があり内容のあるウェブサイトかどうか判断できます。
別の見方をすれば、相互リンクをしようとする人はホームページの運営に問題意識を持った方々ですので、ホームページ自体に内容があり追加更新もされていることから検索エンジンの評価が高いということです。相互リンクの一番のメリットは、ホームページの開設時に発揮されます。
ホームページを開設したものの、サイトに訪問するのは自分だけ…というケースはよくある話です。いわば自分の土俵だけで勝負をしているようなものです。当然ペイジランクも高くないので、検索エンジンからの来場者もほとんどいません。 このような時に例えば10カ所のウェブサイトと相互リンクできたら、10の土俵を持つということになります。しかも相手はすでにその土俵の中で戦って歴史も築いていますから、ペイジランクも高く、アクセスも自社よりも多いので、これらの10のウェブサイトからリンクをたどって自社ホームページに来場する人かでてきます。また何よりも自社ページのペイジランクが低いのですから、他の実体のあるウェブサイトからのリンクの本数を稼いでペイシランクの向上に務める必要があります。相互リンク設置にかかわり、お互いがホームページを見ることとなりアクセス数が上がります。
たかが2~3回アクセスが増えたぐらいでは効果ないと思われがちですが、検索エンジンにはインターネット上の住所であるIPアドレス(注2)が同じものをカウントしないというプログラムがあり、住所が異なる(ドメインの異なる)ホームページからのアクセスが有効と言われています。極端に言えば、自分の会社で自社のホームページを1日1000回見ても1回のカウントにしかなりませんが、異なるIPアドレスの人3人が1回見れば3回のカウントになるということです。カウント数もペイジランクの評価の内のひとつになっています。SEO対策というのは先に述べたように、対策者と検索エンジン側のテクニックの知恵比べで、対策方法はつねに変わってきています。
しかしグーグルの上位ウェブサイトを調べてみると相互リンクを大量にしているところが多数あります。またホームページが発明されて以来相互リンクはいまだに活用されていることなどからも効果があり、中小企業のSEO対策としては必須と言っても過言ではありません。相互リンクに取り組む手順はこうだ
最初に取り組むことは、自社のホームページにリンク集のページを作り、実際のリンクをいくつか設置することです。
すでに多くのホームページが相互リンクのページを持っているので、いくつかご覧になってデザインや構成を勉強されたらよいでしょう。リンク集の基本構成はご自分で作成するか、業者に依頼するかですが、要点は次の3つです。
リンクはバナーなどよりもテキスト文字にリンクをとりつけるテキストリンクにするとよいでしょう。
検索エンジンは現在のところテキスト文字しか理解できません。見た目はよいのですがバナーからはキーワードは収集できにくいのです。単なる一行のリンクではなく、リンクの前か後にリンク先ホームページの解説を掲載します。前と後に掲載するのもOKです。
解説の文字数は制限ありませんし、多いほど効果が高いと言えます。例えば1行目に相手の会社名、2行目に相手の希望しているテキスト文字にリンクを設定、3~5行目に解説を記載し、それらを1つのグループにします。1つのグループが相手先の紹介文というようなスタイルです。1ページに掲載するリンクは50~80社ぐらいまでとします。
1ページ当たりに掲載するリンクが多すぎるとリンク効果が薄まりますので、複数ページになる事を想定しておきましょう。また、近い分野のものを集め、カテゴリ別にページを作るリンク集もより効果があります。例えば木材会社ですと、家具関係、住宅関係、木工関係などとなるべく自社に関係のあるカテゴリを作ります。リンク集のページを作ったら、自社ホームページに相互リンクを募集している旨を載せます。
そしてどのようにリンクをしてもらうかをホームページ上に記載します。例えば自転車販売をしている会社で折りたたみ自転車に力を入れている場合であれば、テキストリンクの文章は「折りたたみ自転車販売、大阪の○○商会」などと記載します。そしてこれの解説として「安価な折りたたみ自転車!! 大阪北区にある○○商会で豊富な在庫がある…(省略)」とします。どちらもキーワードの重要になるものを前にもってきます。
また場所の情報も入れることです。お客様が検索する場合は一つの単語ではなく「折りたたみ自転車 大阪」などと複数の単語で検索することが多いからです。また申込みの方法、申込みメールの見本などをメールアドレスとともに掲載します。
メールフォームを作ることも有効です。ここまでで準備は終わりです。しかし当初は準備だけでは、相互リンクの申込みはほとんどこないと思います。
そこで自分から動くことも重要です。具体的には以下のようなことになります。
① 相互リンクを募集しているところを探し、自分の方から申し込む。
② 相互リンクを希望する人たちが集まるウェブサイトを探す。
③ ソーシャルメディアなどで募集する。
④ 相互リンク募集中の文書、チラシ、名刺に記載などを作成し、友人や業界で配る。
相手としては、自社ウェブサイトと関係のある内容や同業者などがあればベストですが、そうもいかない場合は異業種でもかまいません。
最初は地道に相手を探し、相手ホームページが自社のリンク集の相手として釣り合いがとれているかどうか判断して申し込むのがよいでしょう。ある程度リンクが集まってきたら、次は相手から申込みをしてもらうような仕組みにしましょう。相互リンクで効果をあげるコツとは
相互リンクで効果をあげるには、相手がこのリンク集ページからリンクをしてもらいたいと思うような相互リンク集を作ることです。
そのためには、リンク集自体のペイジランク(注)が高いことが一番の説得力になります。多くのリンク集はペイジランクが無印か0が多いようです。2あるいは3が付いているだけで申込みたくなります。わかりやすく言えばペイジランクが1のリンクを100個もらうよりも、ペイジランク3のリンクを1つもらう方が効果的なのです。 考え方としては単なるリストだけのリンク集というより、相手のホームページを紹介するページという考えで作成するのがコツです。先の4の手順で述べた、1つのグールプの集まりが立派なコンテンツとなります。そしてグーグルは文章に囲まれたリンクは他のリンクより高く評価するという調査結果が出ていますので、相手先にとってはありがたいリンクとなります。
またテクニックとしてはTopページから各リンク集に内部リンクを設定することです。
リンク集のメインページにリンクするだけではなく、リンク集が5頁あれば、5つのリンクを設置するということです。同様に各リンク集からTopページにリンク設置しましょう(図1参照)。また、最近のグーグルではホームページの更新、受けるリンク数などについて時間的な計測も行なっています。
リンク集への追加は一気に行なうよりも、少しずつでも長期に続ける方がよいでしょう。最初は数多く設置して、後には何もしないというのはよくない方法です。これらの考え方とテクニックで、相互リンクページにはペイジランク1や2は付きます。
ページによっては3、4が付くことも可能です。強いリンク集になれば申込みが増えてくるでしょう。当社のウェブサイトのひとつで「ウッドデッキと四季の樹木http://wood-deck.com/」というものがあります。
12年前に作成しましたが、現在までコンテンツの追加修正はしていません。ホームページの常識からすればコンテンツの追加、更新がないとペイジランクが下がるのが通例ですが、ペイジランクは4あるいは5のままで何年も推移しています。ただひとつだけ実行していることは相互リンクページの追加、更新を10年間地道にしてきたことです。このウェブサイトを含め当社の相互リンクはお互いに効果があるとのお声を頂きます。よければご利用ください。述べてきたことは現在の初心者用SEO対策です。慣れられた方、ある程度スキルのある方は、中級、上級の対策があります。
しかし一番重要なことはホームページの内容ですグーグルが最近になって明らかにしていますが、コンテンツの内容、独自性を非常に重く見ています。他のホームページにはない、オリジナルで、来場者が見たくなる、読みたくなる情報が必要です。SEO対策ばかりに気をとられないで、またかっこいいデザインよりも内容に重点をおいたウェブサイト作成をしてください。注1 ペイジランク
グーグルの検索エンジンの核心的な仕組みで、グーグルがサイトの評価を点数化したもの。
0 1 ~10までの数字で表されている。http://www.pagerank.net/pagerank-checker/で確認できる。リンクを多く受けるとペイジランクが高くなる。中川勝弘(なかがわ かつひろ) 1948年生まれ、日本万国博覧会職員、総合商社でのインドネシア駐在など経て、現在中川木材産業の代表取締役。同社のオンラインコンピューターシステムを1978年に立ち上げた。ホームページは1995年から作成を行い、木材、林業関係の団体、会社のホームページも数多く制作、運用している。(社)全日本木材市場連盟の 木材アドバイザー、(一般社団)全日本SEO協会の認定コンサルタントでもある。