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変わる! 日本林業の常識

・日本経済新聞 2011/5/22

5月22日は「国際生物多様性の日」である。多様な生物が暮らす森や里山という平和な印象があるが、日本の林業に視点を変えれば、後継者不足、高齢化で廃れた産業という印象が長く定着してきた。最近では、外資による森林の買収騒ぎもあった。実務家たちが指摘する日本の林業界の弱点は、山林の所有権や境界線が明確でないという所にあり、それは相続や売却段階で顕在化する。今回の買収騒動を踏まえ、森林を含む土地の所有権が移転した場合、市町村長へ届出をすることが新たに定められた。日本の林業は変わりつつある。「林業は儲からない」という通説に反論するのが内閣官房国家戦略室の梶山恵司氏だ。その根拠は、戦後に植林された資源が収穫の時期を迎えている点、木材は重くかさばるため近場での消費が有利である点、今後はエネルギー利用の観点からもチャンスがあるのではないかという。日本と同様に土地が急峻でコストが高いにもかかわらず成功している欧州にモデルを見出し、林業のマネジメントと専門知識を持った人材の育成をといている。ただ、日本の林業の今後の展望を、氏は海外や国内での限られた成功事例に求めている。また、道や伐採法の議論に終始する余り、シカ、イノシシなどによる獣害への言及は少なくなっている。そもそも、森林所有者を含む「無関心」が課題だという声は少なくない。どの国のモデルを導入するのか、保全と生産のどちらを優先するのかなどの議論はごく一部のみとなっており、思いの外白けムードが漂っているということは否定できない。 今年は国連の定める「国際森林年」である。その裏には、各国の森林と林業の実情が知られていない事と、所有者を含めた国民的無関心がある。日本全土が自然環境の影響を強く感じている今こそ、森林の土砂崩れ防止などの防災と費用対効果、自由貿易と地域の環境・雇用の維持との相克について、真剣に議論すべき時である。

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