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中川会長に深謝

IIWC:国際木質文化研究所代表取締役雨宮陸男
悔いを残さないと云う事は出来ないのでしょうか、会長と最後にお会いしたのは亡くなられる数日前の全国ログハウス振興協会の理事会の時でした。

私は、考えるところがあってそれまで勤務していた木構造振興株式会社を退職する決意を固め、必然的に協会の役員も辞任せざるをえなくなり、当日辞任を申し出たのです。

ある事情からオープンにすることができず事前の相談もなしにです、常識では謀れない行動であっただけに、会長は、さぞかしご立腹されたことだろうと思えてならないのです。

不愉快な出来事でお別れしてしまったことに云い様のない寂しさと勝手な振る舞いをし、それに悔いてる自分が情けないのです。

後悔先にたたずとはこのことをさすのでしょう。

今更お詫びしてもしょうもないことですし、この追悼文集の寄稿も溜めらったのですがこの機会にお許しを頂きたく思い立ちました。

私が中川会長と最初にお会いしたのは、一九七四年だったと記憶しています。

当時はツーバイフォー構法が我が国でオープン化して間もない時で、黒船の襲来とか流通革命をもたらすとか、業界が揺れ動きその対応が注目されているときでした。

先見性に優れた人達はこの事を正面から捉え、木造建築と業界の将来を考えてそれぞれの目的に合わせた対策を講じておりました。

勿論、進取の気象に富んだ中川会長が関心を持たない筈がありませんでした。

30代そこそこで生意気盛りの私のような者の話を真剣に聞いてくれたことが思い出されます。

そして、約10年後国内森林資源の充実と貿易摩擦問題を背景にした木材需要拡大策を官民が一体となって取り組んで行こうとする時で、中川会長は全国間伐材対策協議会の代表としてご活躍されており、業界の対応が迫られる大切な節目にまたしてもご一緒に仕事をさせて戴くことになった訳であります。

それが冒頭の全国ログハウス振興協会につながるログハウス研究会で有志による任意な組織であり、会員の経済的負担と行政の協力にも限界があっただけに会長の持ち前の先見性と指導力によって、全国組織に拡大させた政治力と己の未熟さを痛感せずにおられませんでした。

不思議な巡り合わせでご指導とご協力を頂きしかも、若輩の勝手さを大きな心で許容してくれた中川会長に最後まで甘えてしまった私は、これからは広い視野で事にあたり思慮深く対処していくことを亡き会長に約束し、多くの親しい方々の仲間に加えて頂きこの文を書く機会を与えてくれた御遺族と発起人各位の好意に報いたいと思っています。

そして、最後まで業界の発展と啓蒙に情熱を傾けた会長の御冥福を心からお祈り申し上げると共に、その御心を継承し伝承して行きたいと思います。

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