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木材流通

第9章 国産材時代を切り拓くために

製材工場は、資源のピンからキリまで使いこなす

製材工場は、製材工場として採算をとるようにするために、建築材を挽くとともに、いまは大径木が少ないので板は幅はぎ板によって作り、なおかつそこで生じた木っ端はオガクズで売るとかペレットを製造するようにしなければならないわけですが、その場合に、ペレットを製造するとすればどれだけの廃材が最低限必要なのか、その製品は夏冬消費してくれるのか、というところまで考え、これだけのテリトリーがないと柱も幅はぎ板もペレットもまかなえないという範囲を見定め、そうするとこの県では何ヵ所の製材工場が可能なのかと、経営規模を考えて建ててゆかなければならないでしょう。

 昭和二九年に、アメリカのシンプソンの会社に行ったとき、同社の説明を聞いてビックリしたことは、百年計画の輪伐期でその会社の経営がなされていることでした。「羊かんを切って出すように、山を百に割って年に一〇〇分の一ずつ伐って出しているので、百年経った時には、百年前に伐った所は前と同じボリュウムになっている。無限に同じボリュウムでやれる計画で経営している」ということで、もち論、当初の五〇〇年も六〇〇年も経過していた天然林の木の径と、一〇〇年生の木の径とではその太さは違っているけれども、ボリュウムという点では百年経っても変わらない輪伐期方式を採用しているのでした。それには自社の手山だけでは無理なので、シンプソンの会社所有の山が六〇%、国有林が四〇%ということで、国有林もまき込んで必要な経営規模を確保している。そして、そのテリトリーの中で、製材工場、合板工場、パルプ工場を作って、その全部が一〇〇年間、次の一〇〇年間と安定的に稼動できるように計画されていることでした。シンプソンの会社の製材工場、合板工場、パルプ工場というのは、先に述べた建築材、幅はぎ板、ペレットと同じことを意味しています。このように、山から供給される木材資源のピンからキリまでを材料として使いこなすという構想のもとに、製材工場のテリトリーはどの範囲が妥当であるかを考え、県や国の指導される方も指導してゆかなければならないと考えます。

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