指導統率力」というのは、部下を良く掌握してリードして行くことでしょうが、まず本人が一生懸命に仕事をやるということ、それから率先垂範――ひとの先頭に立って自らが模範を示すことが大事です。それが、「指導統率力」の基本になると思います。 ひとつの会社における「指導統率力」というのは、それが小さな企業体においてであればある程、池の波紋と同じです。一つの石を池に投げ込むと、波紋が拡がってゆくけれども、その波紋はやがて池の末端に行くと、かすれてなくなってゆく。しばらくそのままにしておいたならば、波紋は全くなくなってしまいます。だから、常に石を投げ込んでおかないと、あるいは中心になる者がしょっ中動いていて、ピストン運動を続けていなければ、波紋は途切れてしまう。波紋が池全体に、いつも到達している状態にならなくなってしまう。したがって、一回だけ石を投げたからそれでもう大丈夫だと考えるのではなく、常に皆の先頭に立って動き、石を投げ続けていなければならない。また、部下に自分で動いて波を作り出す能力をつけてやることが必要です。
さらによいことは部下に、悪いことは自分がかぶる、これが指導統率力において根本的なところで大事な問題です。良い結果が出たらそれは自分の手柄だと、たいていの人は言いたがる。悪い結果が出ると、それは部下のせいだ、あるいは上司のせいだと言いたがる。しかし、その反対でなければ、管理監督者としての指導統率力に欠けるということになりましょう。前の竹田全木連会長は特にこの「良い事はおまえ達の手柄・悪い事は皆わしがかぶってやる」といったタイプの先輩でした。