商工中金が先ほど行った、中小企業経営における人材育成のアンケート調査があります。中小企業の経営者が、管理監督者にどのような能力を求めるかを答えてもらったアンケート調査です。
その結果をみますと、「指導統率力」を求めるというのがトップにきておりまして、八四・四%、この調査では、ひとりの回答者が複数のマルをしてもよいという方式を採用していますから、トップのパーセンテージが高いわけですけれど、八四・四%ということは、百人のうち八四人は「指導統率力が欲しい」というところへマルをしたということです。その次の二番目が「創意企画力」で、四七・三%。三番目が「判断力」で四五・五%。四番目が「積極性」で四三三%、五番目が「人間的魅力」で三一・四%、以下六番目以降は、「先見性」が二一・八%、「知識・技能」が一六・三%、「行動力」が七・九%、そして「責任感」が一・〇%、というように続いています。
この回答順位は、私が管理監督者に求める能力の順位付けとは一寸感覚が違いますが、それはともかく、商工中金の質問に対して三〇〇人からの中小企業経営者が、自分の部下の管理者にはこういう能力を持った人を求めていると回答しているのですから、ここには中小企業経営者の平均的な"期待される管理監督者像"が示されていると考えられます。そこで、問題は、このアンケート調査のトップにあがっている「指導統率力」というのはどういうことなのか、何であるのか、ということになります。中小企業経営者がどのようなイメージのもとにこの「指導統率力」というところへマルをしたのか。そこまで突っ込んで考えてみなければならないでしょう。