木材流通

第6章 材価格のメカニズムと対応策

国産材の有利さを生かすこと

それから、外材の場合には、二m材も、三m材も、四m材も、六m材も、?当たりの価格は同じです。逆に、短い材ほど高い。また、九cm角、一二cm角、三〇cm角と、逆に太い材ほど?当たりの価格は安い。径の小さいものは、ノコ道の分だけ歩止まりが悪いので高いということになっています。これはもち論原則的なことで、その時々によって価格の変動はありますけれど、米材素材は太く長いから当然ですが、原則的にはそういうことです。

 一方、国産材の場合には、長さが長くなるほど価格が高く、その価格の高さは、長さにつれて割高になります。例えば、六m材と四m材とを比べたら、値段が格段に違う。四mの九cm角と比べたら、三mの九cm角はその何割かは安い。二mの九cm角になると、四m材の六掛けになり、一mになるともっと安くなるというように、短い材であればあるほど、原則として国産材の?当たり価格は安くなります。このことは、国産材の強味の一つになります。

 例えば、建築材の中で火打ち材は長さ九〇cmでよく、一軒の家を建てるには何一〇本も要るわけですから、大工さんは普通、四mで木出しをし、米栂であれば四m材を買ってきてそれを大工さんが九〇cmに切って使っている。しかし、これから国産材時代への移行がだんだん進んでゆけば、国産材の場合には短い材ほど安いのですから、初めから九〇cmで木出しをしておけば、外材の半分の価格でいいということになります。外材に対して国産材の持っている競争力は、そういうところにもあるわけです。

 同じように、内地材の場合には、径級の小さいものほど、例えば九cmと一二cmとを比べれば九cmの径の材の方が一二cm角より?当たり単価が安い(時には一二cm角の方が安い時もあるが)。また、外材と違って三〇cm角といった材は、国産材の場合には莫大な値になってしまうということがありますけれど、こうした国産材と外材との価格のあり方の違いをどうとらえて対処してゆくかということは、これからの過渡期において、非常にむつかしい問題になりましょう。むつかしいと同時に、そこに商売の面白さというものも出てくると言えます。と言うことは、大きな、かつ長い材だけは外材で受けて、短い材は国産材で行くとなると、材の長短による国産材と外材との価格差分だけ、国産材が安い。その分だけで、儲けることができるということです。

 最近、木材小売業のご主人が私に「ここ十数年は忙しくて忙しくてしかたがなかったので、木材の市売市場へも行く時間がなかったので、電話一本で材を送ってくれる米栂の方が、口銭は少なかったが大量に扱えたので、外材に頼ってきたが、だんだん暇になって時間ができてきたので、米栂なら二mも三mも四mも同じ値段だが、国産の杉なら、母屋角は四mと三m、二mと短くなれば価格が大幅に値下がりするから、専門の知識をフルに生かし国産材を沢山扱って、利益を多く上げるようにして帳尻を合わせています」というのです。川下のこうした対応が、自然と国産材指向に変わっていることをわれわれは知るべきでありましょう。

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