カナダからの製品輸入が増加してきていますが、カナダの製品価格構成の考え方は、次のようなものです。
製品価格が五万円とすると、それから逆算して、製材所での上乗せ分を計算し、製材所の原価は幾らであったらよいかと考え、立木価格は五千円にしょうと発想します(カナダ国有林の場合)。このように、カナダでは、製品価格を前提に製材所と運送業者の手取りを保障したうえで、立木価格を決めています。現在、日本で販売されている米栂製品価格は四万二千円ですが、それを逆算してゆけば、立木価格をゼロにしてもなおソロバンに合いませんが、スタンペイジ(カナダでの立木価格に当たる)をゼロ円というわけにはいかないので、カナダでは一千スクリブナー一五ドル(?当たり約七百二〇円)にしています。しかし、そこまでしてもらっていながら、カナダ製品の取扱いについては、原木伐採業者は損、製材所も損、商社も損というように関係業者は皆損をしています。そして、その価格が基準となって現在の国産材の価格は決められているわけですが、私は米栂材関係者がすべて赤字であるというそういう状態はいつまでも続くわけがないと思っています。現に、商社の方は、四~五年前から半分以上も関係者を減員しています。
それではソ連材はどうか。いまの価格水準ではどうも採算に合っていないようです。採算に合わないが、外貨不足という事情もあって、日本向け輸出を続けているのが実情です。原価のいかんにかかわらず日本の相場にソ連材価格を決めて来るということです。したがって、ソ連材についても、国産材との競争力という点では日本に軍配が上がると思います。
これからは、いままでのように、国内需要量-外材の供給量=国産材の供給量と考えるのは間違いです。国内需要量-国産材供給量=外材供給量と、とらえ直さなければなりません。日本国内の需要に国産材の供給が応じられない分、外材が入荷されてくるのです。現に、今度のように木材需要が減少すれば、国産材の供給量も減っているけれども、それ以上に外材の供給量が数倍減少するという現象があらわれています。こういう傾向は、今後とも続くのではないでしょうか。