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木材流通

第4章 木材供給の変化をどう見るか

外材との価格競争では、国産材の方にまた余裕がある

とは言え、国産材の供給力が増大していると言っても、現在のような木材不況の中で、木材価格が低下すればするほど、外材(とくに米材)の方がコスト的に優位にあるので、ますます外材輸入に拍車がかかり、国産材はその供給力の有無に関係なく、より一層排除されるのではないか――という危惧の念が、国産材業者にはひろく抱かれているようです。外材と国産材との競争は今後とも激しく続けられるであろうし、そのためにどういう具体策を講じてゆかねばならないかは後の第九章において考えることとしていますが、国産材が一層排除されるだけなのではないかという考え方は、根本的に誤っていると私は考えます。今後においては、むしろ国産材の方が有利に動いていくのではないでしょうか。その点を、ここでは説明しておきましょう。参考のために五六年七月と五八年一二月と両時点での調査結果をあげてみます。

 国産材の杉中目丸太の価格は、(昭和五六年七月現在)、栃木県の市場価格で?当たり二万七千円、和歌山の御坊市の市場価格で三万円と、それぞれの市場で若干違っていますが、いま、御坊市の場合を例にとり立木価格(山元手取価格)が幾らになるかを出してみましょう。伐採・搬出費が?当たり一万五百円、トラック運賃が二千二百円の合計一万二千七百円となり、その費用を差し引いての立木価格は一万七千三百円となります。 ◎内地材(和歌山県御坊市)?当たり 杉中目材市場価格、30,000円-(トラック運賃2,200円+伐採搬出費(10,500円=17,300円(差引立木代金) 一方、当時、米栂材は?当たり二万八千八百円です。アメリカの伐出・運搬費は平均して九千円であり、日本よりは確かに安い。しかし、保険や日本に入荷してくる船運賃及び入港後の荷卸費用合わせて一万二千六百円となり、合計二万一千六百円の費用がかかり、それを差引いての立木代金は平均して七千二百円に過ぎません。 ◎米栂材(アメリカ西海岸)?当たり 大阪市場価格28,800円-(アメリカでの伐採運搬費9,000円+アメリカ~日本運賃,保険,日本の港の整理費12,600円)=7,200円(差引立木代金)

 ただアメリカの場合、国内向けと日本向けでは立木価格に差があります。(もち論、それはアメリカだけでなく、インドネシアにもあります)。日本向けには高級な材が来ているのでその価格が高いのはむしろ当然ですが同じ規格でも米国内の需要が少ないときは、国内向けは日本向けよりも四〇%も安くなることもあります。米松高級材で、一時期、立木価格一千スクリブナー(約四?)当たり五百ドルであったものが百ドルに下がっており、米栂コースト材で同じく三百二〇ドルであったものが、現在、五〇ドルといった状況です。この価格だと、日本の杉と競合する米栂が立木で?当たり三千円にしかなりません。国産材の杉中目丸太の立木一?当たり一万七千三百円と、大きな差があることは事実です。 しかし、それは、原価がそれぞれその価格であるというのではなく、その価格でしか売れないのですから、これから?当たり三千円値下がりすれば、米栂の立木価格はゼロになり、国産材の杉は?当たり一万四千三百円になるということです。

 この一連の計算は大変大雑把なものですから、昭和五八年一二月現在、大阪で国産材流通研究会が詳しく調査した数字を、以下にわかりやすく表にしてみました。

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