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木材流通

第2章商流のポイントー与信管理と情報管理

環境の変化を見通し、経験の智恵に学ぶ

 ある銀行では、最近の製材所の経営を見て、「いままでは、外材を挽いている所は、商社が十分に調査をして売ってくる、大問屋が長期の手形で売ってくるので、信用のおける所だと思っていた。だが、長期の手形を出して手元がゆっくりしたので、土地を買い、工場に金をかけ、個人の資産も増やして固定してしまったので、不安が出てきた。一方、内地材を挽いている所は現金支払いが多いので安定している。いまは内地材製材の方が安心だ」と言っていました。

 このように、業界を囲む環境の変化によって、取引先の信用度に微妙な変化が生じてくることにも注意をしてゆく必要があります。原木輸入から製品輸入へと比重が変わってくる、国産材製品が相対的に増加する、こうした状況の変化にしたがって、外材製材所の条件が次第に悪化することは明らかです。また、良い製材所には商社が直接売り込んでいますから、その中で商社から直接買わずに残っている所は、経営状態が悪い所か、あるいは一船またはロットの大きい材を買えない所か、込材の中の一部を広く集めている所か、ということになります。もっとも、「悪い業界というものはないのであって悪い会社があるだけだ、絶対によいという業界はないのであって良い会社があるだけだ」という言葉があることにも注意する必要がありますが。

 ある製材問屋の責任者は、
 ①手形相というものがある。決まった日が手形の支払日になっているか(買手の言うがままの支払日になっていないか)、支払日が一定しているかを見る。
 ②他の店から木材が入っているかどうかを見る。
 ③事務所の黒板の使用状態、電話のかかっている状態、その内容を注意して見る。
 ④利益の出ている商売をしているか、投げ・自転車操業をしていないかを見る。
 ⑤社長のいる所が一五分以内につかめるかどうかを見る。
 ⑥客の出入りが多いか少ないかを見る。
 こうしたことに注意して毎日得意先回りをしているということでした。

 以上のように、つぶれる企業はどういう所かを知り、業界を囲む環境の変化を見とおし、信用度判断における業界の方々の経験の智恵に学びながら、与信管理を進めてゆかねばならないと言えましょ

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