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木材流通

第2章商流のポイントー与信管理と情報管理

与信限度はこのようにして決める

 商取引において取引先にどこまで信用を与えるか、具体的に言うと、取引先にどの範囲までならば売掛金を許すのか――、これを与信限度と言いますが、この与信限度決定の権限は社長にあります。と言うことは、主要取引先の主人、営業所長には必ず会って、その経営上の考え方を聞いた上で、社長自らが判断しなければならない、と言うことです。

 与信限度を見直し・決定をするためには、まず受取手形未決済分、実質未回収残高のチェックをしておかなければなりません。 月一、〇〇〇万円の取引の場合、五月二一日に木材を納入、六月二〇日に〆切、七月一〇日に四ヵ月の支払手形受領、一一月一〇日に手形決済期とすると、月末で決算の場合は七、〇〇〇万円の枠が必要だということになります。往々にして手形の期間×一、〇〇〇万円、つまりこの場合には、四、〇〇〇万円の枠でよいと間違い勝ちですが、実際には、木材納入から手形決済までの足掛け七ヵ月間×一、〇〇〇万円=七、〇〇〇万円の枠が必要だということに注意する必要があります。

 ところで、与信限度というのは、七、〇〇〇万円までは大丈夫というのではなく、その取引先に対し七、〇〇〇万円ならばいざというときに逃げ切れる、七ヵ月以上前に悪いと判断して撤退できるということです。このため、仕入先負債(買掛金及び支払手形)に対する我が社の取引限度ウエイトをみなければなりません。仕入先負債の額は、売上高、仕入原価率、支払条件などを、社長に聞く、営業部長に聞く、平社員に聞く、運送屋に聞く、というようにして把握します。

 月商一億円、仕入原価率八〇%(荒利益二〇%)、支払条件平均一ヵ月据え置き、一二〇日手形であれば、仕入先負債は次のようになります。

  100百万円×80%×(30日+120日)=400百万円 この仕入先負債に対して、新規取引先では一〇%以下、継続取引先では二〇%以下を与信限度とします。この範囲ならば、まさかの時に手を引いても相手はなんとか繰り回してゆける、また、他社への肩替りもできる、ということになります。二〇%以上になると手を引くのがむつかしいし、三〇%以上を超えると手を引くことによって相手先の倒産をきたすことになります。そのため、三〇%以上を超えると、先方の経営実態にかなり立ち入る関係を作っておかねばなりません。

 以上を基準として、取引先に倒産歴があり不況業種であったりした場合には与信限度額を減らし、取引先の社長に個人資産があるとか取引環境がよいとかで与信限度額を増額します。繰返すと、この与信限度の増減はトップの判断だということです。

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