不良取引先、あるいはつぶれる企業には共通点があります。つぶれかかっている小企業経営者の言い分を聞いていますと、必ず「人が集まらない、育たない、辞めていく。古い人の頭の切り換えができない。従業員の育成とレベルアップが困難である」「ライバルとの競争がきびしい。将来が不安。立地条件が悪い。なぜか原因が分からないけれど売上げが減少している」「利益が減り、資金繰りが悪化している」と言います。また、こういう会社ほど、社長の公私混同がはげしいものです。中小企業において、次のような事態が生じていたならば、その会社には危険な赤信号がついたと考えてよいでしょう。
○手形の払出残や決済期日を社長が知らないで担当者まかせ。手形の印も経理にまかせっきり。
○金庫(現金)の保管は厳重にしているけれど、回収方法については対策なし。
○売上げが増大すれば運転資金がどうなるのか知らない。
○自社だけ儲けたらよいとうまく立ち回って業者間の協定を守らない(いつの時にか皆から袋叩きに会う)。
○資金繰りが困難になった原因を知らない。
○値引き、返品、不良在庫などの原因を究明し、販売のやり方を改善する意欲がない。
○日常の財務面において経営者に直言する者がいない。よいことはともかく、悪いことを社長に報告できるシステムがつくられていない。
○営業本位の経営方針になっている。
○設備投資の償却を行わず繰り延べをしている。
○回転率の早い商品、利益率の高い商品はなにかの分析がなされておらず、平均回転率も考えていないし、不良在庫の処分も考えていない。 ○取引先が少なく、一ヵ所に集中している。
また、中堅企業と言われているところでも、次のような状態のところは、取引先として要注意です。
○独自製品や独自の販売組織を持っていない。
○自己単独で生産または販売計画が立案できない。
○主力銀行を持っていない、あるいは主力銀行との連けいがまずい。
○仕入れ先との精神的なつながりがない。
○高度経済成長下の市場拡大によって自然発生的に規模を拡大したにすぎない。
以上をチェック・ポイントとして、取引先の経営実態がどのようになっているか、その会社がこれから伸びてゆくのか、つぶれる寸前にあるのか、冷静に判断してゆく必要があります。