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もう一つ別の角度から、納材業の在庫管理の場合を例にあげましょう。
一軒の家を建てる木材を納めるときには、柱が何%、梁が何%、タルキが何%、板が何%で一軒の家になるということになっており、しかも、一軒の家の柱約六五本の中には、一方無地、二方無地、三方無地というのが二〇本あって、ピン角の一等品が二〇本あり、あとは二等品でもいいものが二五本あるというようなことが自然に分かっているものですが、その時に、並材ばかりが倉庫に残っていたり、あるいは柱はあるけれどタルキが足りないといったことのないように、常時、在庫管理をうまくしておかなければなりません。 だから、ある業者は、倉庫に材を立てておく時に、倉庫の床に赤い線を引いておいて、その赤い線のところまで材が減ってきたら次の材を注文しなければならないとか、その赤い線よりも材が出ている時は「この柱については在庫が多いんだな」と知ることができるように、一軒の家を建てる材のバランスによって在庫の赤い線を変えるという工夫をしています。また、最近はコンピューターが出てきたから、在庫が足りなくなるとコンピューターに赤いマークが付くようにしておいて、それによって発注の時期を考えることもできましょう。こうしたことが、在庫管理です。