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前回の「最適化された部材」について、少し掘り下げます。今回は束石についてお話します。束石は、ウッドデッキを作る際に避けては通れない重要な部材です。その目的は、束を腐らせないために水に触れさせないこと、荷重を分散して受け止めることです。
ウッドデッキを作る上で、最も困難な作業は床板の水平を出すことです。その理由は、床板の水平はそれを支える束石の設置に左右されるからです。デッキがいくら精密に作られていても、デッキを支える複数の束石のレベルが異なっていると、デッキにガタつきがでたり水平でなくなるからです。
デッキを設置する地面は、通常水平になっていません。微妙に凹凸があるだけでなく、土の密度も少し離れるだけで異なります。また、ほとんどの場合土地は沈下します。そして、沈下の度合いも、それぞれの束の位置で異なります。つまり、デッキ設置の地面には2つの問題があります。
1.土地の形状が異なり、レベルが微妙に異なること。
2.1ヶ月後、半年後、1年後と、土地が沈下するが、場所によって沈下度合いが異なること。
1に対応するために、地面を完全に水平にすることは不可能に近いため、束石のレベルが異なっていても、束で調整する方法が取られます。古来からの建築でもこの方法が採用されています。現在の住宅建設では、業者がコンクリートで完全な水平を出すことが一般的です。
2に対応するためには、束石を簡単に外せるようにすることが必要です。地面が沈下している場合、束が下方に引っ張られます。多くの場合、束を一旦外して土を加え、再度束を取り付ける必要があります。
これらのことから、束石は通常の住宅の束石とは考え方が異なり、ウッドデッキ専用の束石が必要になります。デッキ発売当初、日本中の束石を調べましたが、不適当なものが多く、理想のものがないため、当社で開発することになりました。
当社で開発したものは、小型でスマートです。必要十分な大きさで、余計なものはついていません。
現在デッキ用として発売されている3つの束石も写真に入れていますが、写真の①②は束を埋め込むため、デッキ設置後に取り外すことは不可能です。③は金具がついていますので、取り外すことはきわめて困難です。地面が沈下した場合、束が下方にひっぱられます。④のオリジナル束石は、束石の本来の用途である束を地面に触れさせないという目的と限りなく小型という2つの条件を満足しています。高さは7センチ、17センチ角です。
束に関しては、当社ではオリジナル調整束や束のカットサービスなどがあり、DIY未経験の方でも作りやすいシステムになっています。
- 掲載日
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- 2023/4/27
- 写真
- 1枚
- URL
- https://www.facebook.com/wood1911/posts/pfbid0ez8Me6qQVp6KEZqkpgxjCG7vbVycx1QXPKbMDw2LgEeYfnY7i6QpsGXqhkq8x1h2l